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[米国株週間展望]9月FOMC会合での利上げ可能性はまだある。8月米CPIの前に中古車価格を見るべし

7月17日週の米国株式相場は来週にFOMC会合を控え、ブラックアウト期間に入るため様子見ムードが流れるだろう。

米インフレ動向を見極める上で重要な2つの指標、雇用統計とCPIを通過した後の静かな一週間となるだけに大きな動きはないものと思われる。先週のサプライズは何と言ってもCPI、特にコアCPIが予想を大きく下回ったことだが、翌週末までそれを引っ張ることは無さそうだ。

経済指標では18日の21時30分に発表される小売売上高、19日同時刻の住宅関連の数字が注目される。

おそらくこれらの経済指標では米国経済の底堅さが示され、7月はこのまま利上げ路線、9月はまだまだ読めないという展開が続く可能性が高い。しかし、その結果になろうとも今の状況から何かが大きく変わることはないため、株式市場への影響は軽微だ。

個別企業の動向では大手金融機関の決算発表が予定されており、何事もなく通過することが望まれる。

今週の経済指標発表スケジュール

雇用統計とCPI後、年内利上げは1回か2回か

良好なCPIの結果を受け、年内2回の利上げを予想していたが7月のFOMC会合でターミナルレート(最終到達点)に達する可能性が高まった。

ただ、個人的にはまだ年内2回の利上げの可能性の方が少し高いと見ている

市場ではCPIを受け、記事執筆時点で9月の利上げ見送りを84.1%が織り込んでいる。

CPIの内訳はほぼ全項目でインフレ減速

CPIの内訳を見ると前月比では多くの項目で横ばいとなり、インフレ圧力が沈下しつつあることがわかる。

7月12日発表 6月の米CPI内訳

コアCPIの内訳ではアパレルが横ばい、医療ケアが微増なことを除けば、他の項目は前月比で低下している。特に中古車が大きく減少している影響は大きい。前月から5ポイント近く減少している。

6月CPIの減速は中古車価格下落の影響が大きい

上記のCPI内訳のうち「All Items less food and energy」の中に入っている項目がコアCPIの内訳となるのだが、中古車価格だけが異常に減少しているとわかる。

中古車のCPIへの寄与度は約2.7%だ。先月のコアCPI(前年同月比)が5.3%、今月のコアCPI(前年同月比)が4.8%という数値から、中古車価格の下落の影響が多分に含まれていることは想像に難くない。

反対に言えば、中古車価格の大幅の下落が無ければコアCPIはここまで減速していなかったことになる。

これが私が年内2回の利上げの可能性の方がまだ高いと踏んでいる理由のひとつだ。

6月の米中古車価格は3年ぶりの大幅下落だった

あまり注目度が高くない指数だが、米自動車オークション会社「マンハイム」が発表している中古車価格指数(マンハイム指数)が参考になる。

6月のこの指数は前月比 -4.2%とコロナ禍入りした2020年4月以来の下落率でコロナ禍を除くとリーマンショック以来の下落率だ。コロナで新車生産が減った後、半導体不足の影響やサプライチェーンの問題があり、中古車の供給も減り、市場が高騰していたのが収まりつつある。

しかし中古車価格のピークは過ぎたとは言え、この先も同じ速度で下落していくかが見通せない。というのも、中古車価格指数は昨年7月から今年3月にかけて一度下落した後、4月、5月とまた価格が上昇しているからだ。

中古車価格指数:米労働統計局

また、参考までに、新車価格はいったん横ばいとなっているが、完全にピークかはまだ断言出来ない状況になっている。

新車車価格指数:米労働統計局

昨年からの急速な利上げがあるにも関わらず、2023年4月~6月の米国新車販売は前年同期比で23%も増えており、価格指数も高止まりしている。

つまり、米国内での自動車購買需要は今なお根強いということだ。

ちなみに中古車がCPIへ約2.7%の寄与度と紹介したが、新車は約4.3%とさらに影響が大きい

高金利下で車の価格は急減速していくのか

正直なところ、上記で見せた2つの指数を見る限り、価格が下落すると断言できる要素はないと言えるのではないだろうか。

ピークを付けた可能性は高いが、高止まりする可能性も十分ある

こうした点を踏まえると、6月のCPIの減少は手放しにインフレ鈍化バンザイ!これでピークアウトして目標の2%まで下落する!とは言い切れない。

CPIの細かな他の内訳も見ていかなければならないが、7月のFOMC会合後、9月に利上げがあるのかを見極める上では6月のCPIに大きな影響を与えた中古車価格が引続き下落するか否かに注目しておくべきだろう。

来月上旬にそれらが発表されるので、それまでは他の経済指標と個別企業決算を中心に見ていくと良さそうだ。

まとめ

・来週のFOMC控え、様子見ムード
・小売売上高などの経済指標発表はチェック
・個別の企業決算を見るべき
・米CPIを受けた流れはそこまで長続きはしなさそう
・他の項目もチェックすべきだが、6月のCPIに大きな影響を与えたのは中古車価格
・米CPIの今後を見極めるには中古車価格を注視

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