病院大奥/詩と朗読 poetry night 第50夜
その暗くて長い廊下を
まっすぐ行くと
突然 明るい一角にたどり着きます
🌿「詩と朗読 poetry night」
第50夜は「病院大奥」
スキマ時間に聴いていただければ幸いです。↓
「病院大奥」
その暗くて長い廊下を
まっすぐ行くと
突然明るい一角にたどり着きます
お揃いのユニフォームの
若くてかわいい腰元にかしずかれ
パジャマ
ネグリジェ
スウェット姿の
熟女
コギャル
ただのオバさんが
たくさんの小部屋のベッドに
詰め込まれて
殿のお渡りを待っている
使われる言葉は
ぷれどにん
ぺるさんちん
しんちぐらふぃ
えりてまとーです
下々の者にはわかろう筈もなく
「今日は大殿(主治医)は
お渡りにならぬのか」
「私のほうは若殿(担当医)だけが
お見えじゃ」
「えりてまとーですのほうは
どうなっておるのでしょう?」
「宿下がり(外泊)のご相談を
せねばならぬのにのう」
ここは病院大奥
外界とは異なる時間が
ゆっくりと流れる
政治も
戦争も
社会の喧騒は
入り込む余地などないが
病を宿したこのいのち
しっかり抱えていないと
すぐに落としてしまう
如何ですか
一度おいでになりませぬか?
貴方が知らないだけで
確かに存在するこんな世界
はまったら
なかなか抜け出せません