「詩と朗読 poetry night」第96夜/林芙美子「秋のこゝろ」と秋の朗読イベント報告!
女のやうにうるんだ夜空は
たまらなくいゝな
朝の空も
夜の空も
秋はいゝな。
(林芙美子「秋のこゝろ」より)
🌿「詩と朗読 poetry night」 第96夜は
林芙美子の詩「秋のこゝろ」と秋の朗読イベント報告!
スキマ時間に聴いていただければ幸いです。↓
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「秋のこゝろ」林芙美子
秋の空や
樹や空気や水は
山の肌のやうに冷く清らかだ。
女のやうにうるんだ夜空は
たまらなくいゝな
朝の空も
夜の空も
秋はいゝな。
青い薬ビンの中に
朱いランタンの灯が
フラリフラリ
ステツキを振つて歩るく街の恋人達は
古いマツチのからに入れて
私は少女のやうにクルリクルリ
黄色い木綿糸を巻きませう。
夜明近くの森の色や鳥の声を見たり聞いたりすると
私のこゝろが真紅に破けそうだ
夜更けの田舎道を歩いて
虫の声を聞くと
切なかつた恋心が塩つぱい涙となつて
風に吹かれる
秋はいゝな
朝も夜も
私の命がレールのやうにのびて行きます。