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これが映画だ!
『ミスター・グッドバーを探して』を探して…
半月ぶり…また、ふざけたタイトルをつけてしまった。しかし無いのだ。無いのである。本作ソフトの日本版が無いのである。正式に言うとビデオテープの時代は一般にレンタルされ、CS放送の時代に入ると“ザ・シネマ”というチャンネルで2016年頃吹き替え版、字幕版、計4回くらいだろうか、放送されている。主人公の女性テレサがポリオを患っているからかとも思ったが、そうでもないらしい。本作は破滅的結末に進んでいくが、私は紛れもない名作だと思っている。私は劇場公開にも行っているし、運良くCS放送も観た。何度見返しても問題作であるし、『弾丸を噛め』と双璧を成すリチャード・ブルックス監督の傑作であろう。
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原作は1973年に起こったロズアン・クイン殺人事件を基に記されたジュディス・ロスナーの小説。監督・脚本は先ほども記したリチャード・ブルックス。音楽にはアーティ・ケインがクレジットされているが、申し訳ないが私はよく知らない。しかしテーマ曲、そしてオープニングの当時の音楽の洪水のような扱い方、とてつもなく素晴しい。
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セックス、ドラッグ…当時のアメリカの縮図のような街で、テレサは夜の奥底に沈んでいく…。そこにリチャード・ブルックス監督の暴力的演出が光る。後に『プリティ・ウーマン』(1990)などでスポットを浴びるリチャード・ギアが若いながらに、いい仕事をしている。終盤、画面が激しく明滅する。撮影では三種類のストロボを焚いて、編集時に露光状態の良いコマを選択、調整する加工が行われた。ストロボの明滅効果が及ぼした影響は、後のデヴィッド・リンチ監督作品にも影響を与えているといわれる。
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今回の主役級映画
ミスター・グッドバーを探して Looking for Mr. Goodbar
監督 リチャード・ブルックス
出演 ダイアン・キートン
リチャード・ギア 他
1977年/アメリカ/カラー/135分