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老人ホームの探し方 vol 5

パンフレットから情報収集、そして現地の見学をして理解を深めて、さて決断の段階へと移り、ここにしようと決めたところで簡単にはいかないのが、老人ホームへの入居です。入居する本人の意思だけではダメなのです。

ほとんどのホームが契約時に身元引受人という名の保証人が必要になってきます。

そうです!子供がいらっしゃる方はその方が、いない場合は親族がされる方が多いです。身寄りのない方は後見人がされるケースも、最近は増えてきたようにも思いますが、何れにしても自分以外の誰かの承認が必要なのです。

検討前から、初期段階から子供などにホームへの入居意思を伝えておられれば、スムーズに進めることもできるでしょうが、大体は入居の申し込みになってから、ここに決めようと思うとお話しになられるです。

えっ! いくらするの? そんなに高いところじゃなくても!

自分が面倒みるからこっちに越してきたら良いじゃん!

(自立型ホーム)まだ元気なんだし、早いのと違うか?

急に言われた子供たちは大抵、こんな反応になるのです。まぁ聞いてないから当然といえば、当然でしょう。特に高額な入居金が必要なホームであればあるほど、本人が入居したいのに金銭面で反対される家族さんが多かったように思います。

ホーム見学には、できるだけ身元引受人になってくれる人と一緒に行きましょう!

自分が聞きたいこと、家族が聞きたいこと、本人の考え、家族の考えなどを入居相談員と一緒に整理しながら進めていけば、自分の入居したいタイミングを逃すことは少なくなりますよ。介護型ホームの場合は、入居したい(要介護状態)時には、自分で見学が困難になりますので元気な内に見学をして候補先を絞り込んでください。そして、その時が訪れたら家族に再確認で見学してもらえれば、自身の思い通りのホームへ入居できる可能性が高いですね。

老人ホームへの入居は、家族の問題になるし、本人を含めてこれからの暮らしの選択という意味でもとても大切な判断になりますので、自身だけで進めるのではなく、大切な家族とも相談しながら納得のいくホーム選びをしていただければと思います。

また相談を受けた家族も老人ホームごとに、高齢者住宅ごとに(例、シニア分譲マンションやサービス付高齢者向住宅など)入居要件や退居要件、自立型か介護型か、もちろん費用の違いなどもありますから、老人ホーム=介護が必要になってからのという固定概念は捨ててください。それぞれの特徴を理解して、本人の意向に沿う形でお話していただければと思います。

あと一番に困ったケースとして、本人と家族の意向は一緒に相談しながらですので最終的に一致するのですが、身元引受人とそれ以外の家族、親族との意見の相違で、振り回されてしまうこともありました。長男と長女、長女と次女、姪御同士などなど関係者が増えれば増えるほど、より複雑になるのとそれぞれの思い込みの違いから家族関係も悪くなってしまうこともありました。

できれば、それぞれ忙しいでしょうが本人を囲んで意見を纏めていただければホームとしては助かります。そう簡単ではないでしょうが、入居後に最も近くにいている方(面会などホームに訪れる機会の多い)の意向を優先されてはいかがでしょうか?

遠方に住む親を引っ越しさせて…

これは私の家族に起こった実体験です。

祖母(母方)は私の実家(両親)がある大阪で長年、同じ地区に住んでおりました。早くに祖父を亡くして一人暮らしでしたが、社交ダンスにカラオケなど外での活動が多く、友人もたくさんおり元気に暮らしておりました。80歳を迎える頃、一人暮らしの不安が高くなり東京に住む伯父が、面倒をみるからと同居することになりました。

大阪から東京に引っ越して伯父家族との同居が始まりましたが、共働き、孫たちは学校に仕事にと昼間は一人っきりで過ごすことが多くなった祖母、見知らぬ土地では買い物一つでも苦労したんでしょうね。当然、関西から離れたことがない祖母に東京には友人はおりません。

一人っきりの時間が長く、話し相手はテレビだけ孤独感に包まれるようになり、2年も経たないうちに、元気だった祖母にも少しづつ認知症の症状が見られるようになってきました。話していることがおかしい、金銭感覚にズレが生じてきたりと。

そうしている内に、伯父が大病を患い入退院を繰り返すこととなり、再び大阪に帰って今度は母が祖母の面倒を見るということで同居が始まりましたが、症状の進行を止めることはできずに、最終的に近くのグループホームでお世話になりました。

高齢者にとって環境の変化は、心身ともに大きな影響をもたらすものです。我が家は最悪の選択をしたことに気づいたのは、祖母がグループホームに入所した時でした。はっきり言えば遅すぎる!!

これからホーム選びをされる方には、こういうこともあるのだと思っていただきたいです。住み慣れた環境で、本人が無理なく暮らせる環境を整えていただくことも大切なことですので、お手頃なホームが近くにあるからとの理由だけで、親御さんを安易に呼び寄せることはしないでください。

次回は入居のタイミングについて話していこうかと思います。最後までお読みいただきありがとうございました。

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