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超大容量ドラム音源「IGUANA Karma Edition」

まずは音をお聴き下さい

スネアやハイハットにバリエーションが多いのが感じられると思います。

ここ最近のデモ的な曲で使っていたドラムサンプル、実はいつも使っているSuperior Drummer 3ではなくDeadline EntertainmentというブランドのIGUANA - Karma Editionというドラムでした。アフィリエイトリンクを貼っておくので、参考になった方はご購入される際にご使用頂けると幸いです。

レビュー動画も置いておきます。素の音や使い勝手が何となく伝わると思います。

大容量 is パワー

容量が多ければいいというものでも無いですが、生々しさをサンプルで表現しようと思った時に、バリエーションがあること自体が大きな価値を持ちます。

昨今のドラム音源は小容量でとにかく個性的なハードヒットを詰め込んだリプレイスメント、レイヤー用のサウンドデザイン系と、大容量でドラム本来のニュアンスをなるべく再現するリアル系に二極化していますが、このIGUANAは明らかに後者です。しかも超大容量。収録キット数が2つなのに120GBほどあります。インストールに必要な空き容量は500GBを超えます。

一般的な大容量のサンプルだと100~200GBほど収録されていますが、大抵の場合ドラムキットが数多く収録されていたり、様々な部屋で収録されていたり、おびただしい数のマイクを並べていたりします。それに対し、IGUANAはドラムキットの数が厳選されている代わりに右手と左手のヒットが個別に収録されていたり、キックがビーターの素材別に収録されていたりと、少ないキットを余すこと無くサンプリングしていることがわかります。勿論、マイク間の被り(bleed)も全て収録されています。

コンセプト is パワー

ドラムに限らずですが、どんな音楽のために録音するのかというのはそのサンプルの使い勝手や品質に大きく影響します。IGUANAは実際にバンドが自分達のレコード制作のために行ったサンプリングで生み出されたものなので、やりたいことがはっきりしています。

また、はっきりしているのと同時に後処理の自由度を最大限残してくれているため、ロック〜ポップスであればある程度幅広く汎用的に使うことの出来る懐の広さも兼ね備えています。

収録スタジオ is パワー

これもドラムに限らずですが、録音されたスタジオの響き、容積はトーンと密接に関係しており、ある程度の広さがあった方がデフォルメ感の無い自然な音が録れます。

そういう意味でIGUANAはとても恵まれた環境で録られていることが写真や映像から推察されます。

タイにあるスタジオということで恐らく金銭的にも長期間レンタルしやすかった(=サンプルを沢山録れた)のではないかと思います。

ドキュメンタリーを見てみるとサンプリング期間の中盤で機材が故障していたことが発覚したりと中々波乱の多いセッションだったようですが、出来上がったライブラリの音を聴くと、非常に良い仕事をされたことがわかります。

再生時のドロップアウトに困ったら

機能面の概要はレビュー動画で紹介していますが、実際に導入してみると恐らくネックになるのが同時発音数の多さだと思います。

全部のマイクに全ての楽器の音が被っているため、普通に鳴らすと発音数が500を一瞬で超えます。速いNVMe SSDを使っていれば大丈夫かもしれませんが、他にも色んな楽器のサンプルを使うことを考えると発音数は最小限にとどめたいところ。

問い合わせてみたところ残念ながら特定の楽器の被りだけをパージするのはKONTAKTの仕様上難しいそうです。ただ、Bleedmixer上で被りのフェーダーを一番下まで下げてしまえば発音されないらしいので、全体の印象に影響を与えないサンプル(例えばハットに混ざったタムやキックに混ざったシンバル等)の被りは積極的にオフにしてしまって良いと思います。

あと個人的にスネアのトップに被った左のハイハットは結構小さくした方が実際の被りのバランスに近いと思います。-6dBくらい。

まとめ

試してみてくれという依頼を頂いて触らせてもらったライブラリだったのですが、嫌なレゾナンスもなく本当に綺麗に録られている印象でした。「豊富なプリセットがあって直ぐに良い音が出し放題!」といったお手軽系のライブラリでは無いかもしれませんが、録り音が美しいのでこれを何もせずに書き出せばエンジニアに非常に喜ばれると思います。少なくとも僕がもらうならこういうデータが嬉しいです。また、ドラムのレコーディングにある程度精通した作家さんであれば自分自身でミックスを楽しめるライブラリだとも思います。

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