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恐山に泊まる③(宿坊と朝の恐山)

前回の続きです。

宿坊での夕食は17:30から。5分前に食堂に集まるよう館内アナウンスが流れます。

わーい

豪華です。

精進料理なので肉や魚を使用しないメニュー。
味噌汁も出汁を引かず、お味噌だけのシンプルな味わいです。

霊験あらたか箸

恐山オリジナル塗り箸でいただきます。

食事の際には“五観の偈(ごかんのげ) 食事五観”を全員で読み上げました。

一つには功(こう)の多少(たしょう)を計(はか)り彼(か)の来処(らいしょ)を量(はか)る

*このお米は八十八回と云われる程大変な苦労を重ねて出来たものでありこの食膳に上るまでに沢山の人の手を経て今始めて戴けた事に先づ感謝する
二つには己(おの)れが徳行(とくぎょう)の全缺(ぜんけつ)を忖(はか)って供(く)に應(おう)ず

*私は今この食事を戴ける程日夜精進努力しているかどうか反省する
三つには心(しん)を防(ふせ)ぎ過(とが)を離(はなる)ることは貪等(とんとう)を宗(しゅう)とす

*お腹がへると怒りっぽくなったりしてとかく過ちを犯しがちなもの、そうかと云っておいしいから沢山食べ嫌いなものだからと云って少しでやめたりはしない
四つには正(まさ)に良藥(りょうやく)を事(こと)とするは形枯(ぎょうこ)を療(りょう)ぜんが為(た)めなり

*食事する事は薬を戴くのと同様でやせ細ったり命が絶えたりしない為に戴くものである
五つには成道(じょうどう)の為(た)めの故(ゆえ)に今此(いまこ)の食(じき)を受(う)く

*自分自身の本分を完うし、よりよき人間として素晴らしく生き続ける為に今この食事を戴きます 
霊場恐山

本来ならば適度に働いて、翌日働けるだけの食べ物を摂取して、それを繰り返して只生きていくだけでいいはずなのに、
人間って何でこんなに複雑なことになっているんでしょうかね。

閉門後の風景
硫黄成分が強いので長湯は厳禁の温泉

お風呂には3分〜10分で入浴を終えてくださいと注意書きがあります。
目に入ると危険なので、洗顔や洗髪も禁止。 
今まで入ったことのないような、形容し難い不思議なお湯でした。

内風呂の大浴場に入ったあとはもう何もやることがないので、部屋に置いてあった本を読んで20時半には寝落ちしました。

翌朝は日の出前に散策したかったので5時に起床。

硫黄の匂いが凄すぎて、友人とくさい…と言いながら起きました(何故か外より宿坊の中の方が強い硫黄の匂いがします)

朝風呂のあと寒さ対策をして外に出ると…

わ…
わあ〜…

異世界………🥺

霧なのかガスなのか
昼間と全く異なる光景

地獄ゾーンにはあたり一面霧が立ち込めていて、我々が歩く音と風車が回る音、水が静かに流れる音だけが聞こえます。

朝の賽の河原

地獄を抜けて極楽浜へと向かうと

………

果てだ


水面に山々が映り込み、霧が立ち込め、霧の中の湖にカモが浮かび、シルエットだけ遠くに小さく見える……

風車の傍らにはお花が供えられていました。
硫黄のガスの影響で、生花はすぐに枯れてしまうそうです。

少しずつ陽が差し始める

昨日お供えしたふたつの風車も、朝の極楽浜を見つめていました。

この早朝の恐山は、宿坊に泊まらないと見ることができない光景です。
この宿に泊まってよかった…

朝日がのぼってきた

散策のあと、6:30からは朝のお勤めがあります。

本堂などの写真はありませんが、読経と御祈祷のあと貴重な仏像を間近で拝見することができました。
こちらも宿泊客しか見ることができないそうです。読経は低音の美声と太鼓のビートの相性が良すぎてテンションが上がりました。

お勤めのあと7:30からは朝食です。お箸を持参して食堂へ。

朝から豪華です

朝も五観の偈を読み上げてからいただきます。

美味しく完食いたしました

その後10:00にチェックアウト。

バスが来る前に門の外にある三途橋を見に行きました。

田園に死す〜

老朽化で橋を渡ることはできませんでした。

2024年に再建予定で、石造りになってしまうそうです。この赤い橋が見られるのも来年いっぱいかもしれません。

水の透明度がすごい。
リサイクルガラスのような淡いブルーグリーンが本当に美しいです。

また映らない電光掲示板

大満足で下山します。

後々調べたらまだいくつか地獄があったらしく、見逃してました🥲
次回は地獄を全制覇したいです。

宿坊はスケジュールが決まっているのでとても楽。
観光とお風呂の時間もたっぷり取れて、ストレスフリーの宿泊でした。

恐山観光の際には是非宿坊に泊まってみてください。

恐山宿坊「吉祥閣」

▼霊場恐山

●寺名/恐山菩提寺
●本尊/延命地蔵菩薩
●開基/慈覚大師円仁
●住所 青森県むつ市田名部宇曽利山3-2
●本坊/曹洞宗円通寺 青森県むつ市新町4-11
●開山期間/毎年5月1日~10月末日
●開門時間/6:00~18:00(大祭典・秋詣り期間は別設)
●入山料/個人:1人 500円  小・中学生:1人 200円  団体:1人 400円(1団体20名以上)
●祈願・供養時間/6:30~ 11:00~ 14:00~

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