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コロナがレギュラーと補欠の分断を生む?部活動の「本質」について、今だから考えてみました

GODAI note編集部です。

昨日(2021年5月11日)の「Number Web」に公開されたこの記事を読んで、心を痛めています。

レギュラーはマスク練、補欠は自粛?

記事の前半を要約すると、おおよそ次のとおりとなります。

・4月15日から部活動の自粛が要請されている大阪府では、5月15日からバスケットボールの全国高校総体の予選が行われる予定。
・府からの(部活動に関する)通達では「公式戦があれば平日は1時間、土日は2~3時間は練習OK」とされている。
・クラスター感染や家庭内感染の危険性に高校生自身やその家族が不安を抱えるなか、「大会に備えて練習するのはレギュラーだけで、そのほかの生徒は自宅待機」とする学校もあるという。

この「レギュラーはマスク練、補欠は自粛」の分断は、大阪府と同じく緊急事態宣言が発令されている東京都でも起きているとのことで、記事では都内の私立高校でサッカー部の顧問を務める教員のコメントを紹介しています。

「公式戦があるならば練習はOK。ただし、練習していいのは出場する選手だけ。そして敗退した時点で活動停止」になる。これは都立高校に倣うかたちだという。

日本の部活動に関する著書もあり、(プロフィールによると)「ブラック部活」の問題をいち早くメディアに提起したことでも知られる筆者は「感染確率を下げるリスク管理のためといえばそれまでだが、これでは生徒が分断されてしまう」と、この現状に対して警鐘を鳴らしています。

あわせて、「大会に出場する主力選手だけが活動していいなんて、意味不明なルール。部活動は教育の一環ではないのか」との有識者のコメントを紹介しています。

「今は、日本のいたるところで部活が教育活動とは真逆の方向に突っ走っている。コロナで仕方ないから補欠の生徒たちは活動しなくていいと、関係者は本気で思っているのでしょうか。部活は、そこにいる部員全員のためにあるはず。部活があるから学校に行ける、生きていられるという子もいる。試合は必要だけれど、それを名目にして選手を分けるのは間違っている」(スポーツコーチユニオン・REVERSE代表 久保田大介氏)

「補欠で引退」だけで終わらせない「何か」を考える

「コロナ禍での部活動」は、部活動指導員の養成に取り組むGODAIとしてもなかなか見過ごせないテーマです。そして、この筆者の主張にはおおいに共感できるところがあります。

GODAIの部活動指導員養成プロジェクトでカリキュラム策定と講義を担っているGODAIスポーツアカデミーの安藤美穂講師も、

「高等学校の場合は、部活動が学校経営の特色として影響を与えているケースも多く、仕方がない側面は正直ありますが……」

と、レギュラーと補欠を区分せざるをえない部活動の現状に一定の理解を示しつつも、次のように話します。

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「とはいえ、その場合であっても何もないまま『補欠で引退』で終わらせない『何か』を考えてあげるのも、生涯にわたって運動に親しんでもらうという観点から指導者がすべきことだと思います」

私立中学校・高等学校で水泳部や硬式テニス部などの顧問を長年務めた経験を持つ安藤講師は、現在も教員の知人などから「今の学校現場」のリアルな声を聴くことが多いそうです。

自治体、教育委員会や保護者、競技団体……さまざまなステークホルダーに囲まれ、意見やクレームを受けながらも「今の子どもたちにとって何がベストなのか」を、現場の指導者の方々は必死で考えていることでしょう。
安藤講師もその苦悩をよく理解しているからこそ、その上で「学校教育の一環である以上、練習の機会はできる限り平等に与えるべきでしょう」と話します。

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スポーツは大勢の「敗者」で支えられている

本当に、誰が悪いわけではありません。「ぜんぶコロナのせいだ」と声に出して叫びたい。
でも、こういう時だからこそ、「部活動の目的って何だっけ?」と本質に立ち返ることが求められているのかもしれません。

この記事にもあるように「部活動は勝利至上主義であってはいけない」という主張はよく聞かれるところです。
その主な理由としては「才能ある選手を潰してはならない」「体罰を助長する」「教員の働き方を改善すべき」などが挙げられます。

それらに加えて、「将来スポーツを『支える』側にまわってもらうために、スポーツをずっと好きでいてほしい」という理由も大きいのではないでしょうか。

野球でもサッカーでもテニスでも、最終的に「勝者」と称えられるのはわずか1チーム、わずか1人だけ。その他大勢は「敗者」となるシビアな世界です。
その「敗者」が、後に指導者になる。メディアで伝える立場になる。いちファンとして応援する。チームのオーナーになる――日本のスポーツ文化は、その大勢の「敗者」が支えていると言ってもいいでしょう。

部活動の「本質」に目を向けた建設的な議論を

体罰だ、ブラックだと、何かとネガティブな批判にさらされやすい日本の部活動。しかし、イギリスや中国でも教鞭をとった経験を持つ安藤講師は力を込めてこう話します。

「でも、学校教育の一環として多面的に子どもたちを見る部活動は、日本の教育の質の高さがうかがえる、世界に誇るシステムなんです」

勝者・敗者にかかわらず、子どもたちがスポーツを好きになって、後々スポーツを「支える」側にまわってもらう。そのためにも、このコロナ禍を機に部活動の「本質」に目を向けた建設的な議論が進むといいですね!

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