福岡のスタートアップ支援を廃校になった校舎で行う理由
2024年10月10日、先にオンラインで取材させていただいた福岡のスタートアップ支援施設「FGN(Fukuoka Growth Network)」の池田事務局長をカメラマンの方と訪問した。
その日は快晴、10月とは思えない暑さだったが、折しもFGNの隣にある福岡大名ガーデンシティでは「RAMEN TECH」が開催中。炎天下の中、屋根のないイベントスペースに並べられたイスに座っている人はまばらだったが、ステージ上では海外のスタートアップ、エンジニア、投資家が集い、なにやら対談が交わされているようだった。
「今週は福岡スタートアップウィークなんですよ」と池田さんは教えてくれた。
「忙しいときにうかがってしまった…」と反省したが、逆に考えればFGNがもっとも活気づいているときに訪れることができてラッキーだ。FGNの建物内では事務局の方がひっきりなしに訪問者の対応に追われ、池田さんも廊下で立ち止まっては起業家と思われる方々と情報交換をしておられる。
外の会場をぐるりと囲むように福岡のソウルフード、博多ラーメンを提供する屋台やお店も出店しているのに気付くが、なぜスタートアップのイベント名に「RAMEN」?あまりに安易すぎないか?
あとで「RAMEN TECH」の公式HPをみると、「大陸から伝わったラーメンが福岡で独自の進化を遂げ、豚骨ラーメンとして世界に広がったように、福岡での出会いが新たな価値と驚きを生み、グローバルに広がることを目指します」とのこと。やっぱり意外に安易にネーミングをつけたんやね。
記事でも言及しているが、FGNは140年の歴史をもつ旧大名小学校を活用している。スタートアップはここに相談にやってきて、あたかも「入学」し、グロースして「卒業」していく。ここに集う「同級生」とともに、自分の価値を見つけ、それを高め合い、「豚骨ラーメン」のように広がっていくのだ。
「なるほど」と思った。それで、FGNにはゆったりとした時間が流れているのだ。池田さんはまるで校長先生のように、未来の孫正義を目指す若き起業家たちを優しいまなざしで見つめていたのか。
廃校になった小学校の校舎をFGNが選んだのは何も象徴的な意味を持たせる目的はなかったようだが、あまりにもシンボリックだ。
小学校の隣にそびえたつ大名ガーデンシティが10月とは思えない陽光を浴びてやたらとまぶしかった。
PHOTO:小田賢治