静謐な、時間の重なり。私が障害のある方の作品が好きなワケ
障害者アートが好き
そんなふうにいうと
「アートに障害の有無は関係ない!!」
と不快に思われる方もいるかもですね。
えっと、そういう意味じゃないんです。
障害のある方の作品だから、という意味でなく、
なんていうか。。。
ひとつのジャンルというか。
まず、自分の概念にはない
自由さを感じます。
さらに、特に自閉のある作家さんの作品の、ある種の作風や傾向、みたいなものが好きなんです。
もちろんお一人おひとり違うという上で
例えばヨーロッパの子どもの絵と
日本の子どもの絵って
タッチとか色使いとか、何となく分類できるじゃないですか。そういう感じ。
頭の中が、多動な私。
私にはADHDの診断があるのですが、わりといつも頭の中が忙しく、連想ゲームみたいな状態になっています。そのため、大事な話を聞き洩らしたり、考えながらひょっと大切なものをあり得ないところにしまってしまったりします。
そして、いろんなことに興味が移るので、ひとつのことをじっくりやり続ける、ということが不得手なんですね。
だからかなって思うんですよ。
この緻密さ、
興味関心へのこだわり。
私には絶対できないと思うんです。
こういう作品の前に立つと
心の根っこが揺さぶられるような感動があるんです。
アトリエロウテンションさんFacebookページより
作品との、出会い。
昨年、厚木市で「インクルーシブのお祭りをやりたい!」と決めて、ボランティアを申し出てくださったみなさんと2日間にわたってイベントを開催しました。
その時にやりたいと思っていたことのひとつが、アートを通じて障害のある方と交流する、というもの。
そこで、厚木市にある、障害のある方のアーティスト活動の場を提供しておられる、NPO法人ハイテンション様にご相談に伺いました。
ちょうどその時、吉田拓矢さんは創作活動中でした。
アトリエロウテンション 展示会にて 吉田拓矢さんの作品たち
他の方たちがワイワイと作業する中で、彼は静かな空気を纏っているように見えました。
近づいてみると、はがき大の画用紙を、丁寧に色ペンで塗っているところでした。
ミシンで刺繍をするように、吉田さんの手に握られた色ペンは、決められたモチーフを描きだすかのように、迷いなく不思議な模様を浮かび上がらせながら、行ったり来たりして白画用紙を塗り上げていきました。
たくさんの時間を共有させていただく
「作品、たくさんあるんですよ。」
そう言ってスタッフの方が奥から出してくださった段ボールの箱の中には、同じように星野さんの手によって色彩を得た画用紙たちが山のように納められていました。
スケッチブックも数冊あり、中を見ると全てのページが丁寧に色づいていました。
それを手にした瞬間、私は彼の静謐な時間たちに包まれたような感じがしました。そしてその圧倒的で静かな重厚感に、言葉を失いました。誰かの作品や絵をみて、そんなふうに体で何かを感じることって、初めての経験でした。
ここに、全てがある。なぜだか、そんなことを感じました。
そして、物言わず黙々と紙とペンと向き合う吉田さんの時間を共有させていただけたような気がしました。
今まで吉田さんは、こうやってどれほどの時間を重ねてきたのだろう。
たくさんの人に、感じてほしい。
今年も吉田さんの作品をたくさんの方に見て欲しいなと思っています。
コミュニケーションの形って、ひとつじゃないと思うんです。
そんな、いろいろな繋がりを作るお祭りで。
素敵な作品をたくさん見ていただきたいなって思います。
他にもご紹介したい作家さん、アーティストさんがたくさんいます!
これからこちらでご紹介していきますね!