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月をスマホで撮影してもうまく撮れない理由:一眼レフとの比較篇

先日、十五夜と飛行機が重なる瞬間を撮りに行ってきました。
月の角度と雲の状態、飛行機の高度を2つのアプリを見つつ、カメラの設定を逐次変えつつなので、ただ立ってカメラを見ているだけだけど滝汗。
まぁでも、楽しいのでよし。

すでにSNSにはUPしたのだけど、残念ながら月と飛行機が重なる瞬間は月に雲がかかっていて、星屑プロミネンス(元ネタわかる人、お友だちになりましょう♪)みたいなショットのみとなりました。

これでも、連写したなかに辛うじてかすってくれたものがあってよかったーというお話。

もう1カットも、小指の先ほどがかぶった感じ。

と、夜空に輝く月を撮影するのはとても楽しいのだけれど、年に何度か、
「スマホで月がうまく撮れんのはなんで?」
という質問をもらうことがあります。

原理がわかっていたら当たり前のことなのですが、皆さんもご経験がありはしないでせうか。この記事のTOP画像のやうに、スマホのカメラを月にかざすと、ぼやけたり、光がにじんだりして、月のクレーターや詳細がほとんど見えなくなるんですね。

今日は、このような結果が出る理由を、よく聞かれるので自分なりに整理しなおそうという試みに勝手にお付き合いいただけたらと思います。

そして、一眼レフカメラとスマホカメラの違いを交えた説明の先に、月を撮影するためのポイントも解説しつつ、ニーズがあれば、チノアソビBARにカメラマンを呼んで講座でもしたいな、と。


1. オートとマニュアル撮影の違い

まず、カメラにはオート(自動)モードとマニュアル(手動)モードがあります。
スマホのカメラは基本的にオートモードがメインで、撮影時にすべての設定が自動的に最適化されます。これは非常に便利なのですが、撮影環境に大きな差がある場合(例えば、明るい月と暗い夜空)には、カメラが適切な設定を行えないことがあります。
つまり、どっちに合わせたらええかわからん!となるんですね。

一方で、一眼レフやミラーレスカメラでは、マニュアルモードを使用して自分で絞り、シャッタースピード、ISO感度などを調整することで、細かいディテールをコントロールすることができます。これにより、月のクレーターまで鮮明に捉えることができる、という仕組みです。
この仕組みについては後述します。


2. スマホカメラの限界

スマホのカメラは日常のスナップ撮影には非常に便利ですが、月のような遠くにある小さな対象物を鮮明に捉えるのは難しいです。主な理由は次の通り。

センサーサイズの違い

スマホのカメラは、コンパクトなボディに収まる小さなセンサーを使用しています。これは光を十分に取り込むことができず、特に夜間や強い明暗差がある場面ではディテールが失われがちです。暗い場所でピントが合わないのは、光が足りないからなんですね。

デジタルズームの使用

スマホのカメラはデジタルズーム(感覚的にピンチしてる人が多いと思いますが)を使用することが多く、これによって画質が劣化します。遠くの月を拡大しても、クレーターや細部がぼやけてしまいます。


3. 一眼レフカメラの優れた点とマニュアル設定の重要性

一眼レフやミラーレスカメラは、スマホにない高度な機能を持っており、特に月の撮影に強みを発揮します。マニュアルモードを使うことで、シャッタースピード、絞り、ISO感度、露出などを自分で細かく調整でき、月の詳細を正確に捉えることが可能です。
というより、もともとの撮影技術から、自動化できるものはまとめてしまい、「そんなに要らんよな」と思う機能を省いたものがスマホのカメラだと思ってください。
iPhoneが20になっても、ここの差はレイヤーが違うので埋まることはないと後藤は思っています。もはや別物ですし、どっちがいいとかではないので。

あくまでも、「スマホで月はうまく撮れないのか」という論点からのお話です。暫定的には「撮れないです」という回答なんですが、そこで終わったらさすがにおいおい、なので、なんで一眼だと撮れるのか、という内容を通して、スマホで撮れない理由を逆説的にお伝えできるかどうかチャレンジをしてみたいと思います。お付き合いよろしくお願いいたします(笑)。


4. 絞り、シャッタースピード、ISO感度、露出の仕組み

ということで、別に一眼レフカメラをすすめたいわけでもなんでもないのですが、
①写真がうまくなりたいなら一眼を持つのが早い
②一眼を覚えるなら、月の撮影はもってこい
という持論のもと、勝手に月を一眼で撮る際の大枠の仕組みを紹介します。

月の撮影において、というか何を撮るにしてもなのですが、カメラの各設定を理解することが重要です。以下に、各要素の仕組みを説明します。

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