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さよなら、中洲大洋。:時代の潮目篇

今週は、金曜日の更新を1日ずらし、本日行ってきた、中洲にある大洋映画劇場についてお届けします。

●またひとつ、サブカルチャーの灯が消える。

明日、3月31日をもって、中洲に唯一残っていた映画館・大洋映画劇場(通称:中洲大洋)がその長い78年の歴史に幕を下ろします。数多くの物語が紡がれ、多くの笑顔と涙が交わったこの場所が、静かに時代の変遷に身を委ねる時が来ました。

なお、閉館理由は建物の老朽化。中に入ると、まだまだ大丈夫な気がしますが、一級建築士のクライアントに聞いてみたところ、「もったいないんだけど、日本の建築基準的には仕方ない」とのこと。
ヨーロッパなら、今回のような閉館はあまりないだろうな、と思います…。

出典:大洋映画劇場公式サイト

そんな「大洋映画劇場」の開館は、1946年4月。
当時の博多の混乱具合がまったくわからないので、終戦から1年経たずに映画館がオープンするってどんなことなのかが想像できません。
が、同館は「大洋劇場」という名でセントラル(アメリカ映画メジャー9社を擁する映画協会)日本第一号の契約館として開館したそうで、「九州初のIMAX導入!」とかとはくらべものにならないくらいの革新的なことだったのではないかと思います。

林田と後藤の故郷・北九州は八幡西区の黒崎にも、かつてたくさんの映画館がありましたが、ここ中洲も、最盛期は20軒が建ち並ぶシネマパラダイスだったわけです。

しかし、いつしか映画館=シネコンの時代となり、中洲大洋をはじめとする単館は集客に苦戦することとなります。

個人的にはコロナ突入時に仕事の関係で観た「Fukushima50」で、「家のテレビだと途中で停めたりスマホをいじりながら見たりするけど、嫌でもこの場を立てない、映画と真っ向対峙するしかない」という環境が与えし影響を深く感じ入ったものです。

(他作品が見事に上映延期するなか、本作だけは「いまこのタイミング(=3.11からちょうど10年だった)」に上映する意義を訴えて引き下がらなかったKADOKAWAの上層部の想いを見ました。

三島由紀夫と東大生の言論バトル「三島由紀夫VS東大全共闘」もここ中洲大洋で、コロナの最中に観たなぁ。

もっと遡れば、ゲキ×シネを初めて観たのも中洲大洋でした。

また、業務試写がこの館の小箱でよくあっていたので、仕事で何度も何度も訪れた映画館でした。

●「ボディガード」を、スクリーンで観る日が来るなんて。

「うぉーい、淋しいなぁ」と想いがつのり、先週、歴代2位の動員数を誇る「ボディガード」を同館で観てきたのですが、

「え?ボディガード?」と思いますよね(笑)。実は、3月はラストマンスということで、新作と同時進行で「さよなら興行」と銘打ち、リバイバル上映を実施してくれたのです。

<中洲大洋 さよなら興行 上映スケジュール>
3月1日(金)~7日(木)
 世界にひとつのプレイブック / ラ・ラ・ランド / コーダ あいのうた
3月8日(金)~14日(木)
 半世界 / 凪待ち (PG12) / ミッドナイトスワン /映画めんたいぴりり / 映画めんたいぴりり〜パンジーの花
3月15日(金)~21日(木)
 おくりびと / 男はつらいよお帰り 寅さん / 機動戦士ガンダムシリーズ(4作品)/ キネマの神様
3月22日(金)~28日(木)
 ボディガード / ニュー・シネマ・パラダイス (PG12) / グレイテスト・ショーマン / ボヘミアン・ラプソディ
3月29日(金)~31日(日)
チャップリン 黃金狂時代 / チャップリン 独裁者 / チャップリン 街の灯

実は「ボディガード」か「ニュー・シネマ・パラダイス」かで迷っていたのですが、日程的にチケットがとれたのが「ボディガード」でした。

来場者特典で、ハガキをいただきました。

1992年の大ヒット。ここ中洲大洋でも、「E.T」に続く、歴代動員数2位を記録した作品ということで、さよなら興行には文句なしでノミネートされたのでした。

で、小学生か中学生かの頃に観たこの「ボディガード」、言わずと知れたホイットニー・ヒューストンの代表作ですが、よく考えたら、テレビでしか観たことがない。
そりゃそうです。12か13の「Jリーグ開幕万歳~!オ~レ~オレオレオレ~♪」とか言ってた小娘(というより小僧に近い)が、こんなトップアーティストと世界最強のボディガードの大陸横断型ラブロマンスなんか映画館で観てたら帰れって言われます。

シネコンからは考えられないデザインですが、「館」って感じがして好きだったんだよね。
おフランスの映画館にもこの赤いシートがあるらしい。

さすがにストーリーも薄らぼんやりとしか覚えてなかったので新鮮に近い感覚(笑)。CGも一切ないし、インターネッツ的なアイテムもガジェットも1mmも登場しない世界で、ホイットニーの歌が劇場に響き渡る迫力は圧巻でした。
「映画に没頭する」というこの感覚のなかで「ボディガード」を観ることはもう二度とないのではないかと思うので、良い想い出がまたひとつ増えたのでした。

●ラストシネマはチャップリンで。


昭和レトロが令和に残るここ中洲大洋で「ボディガード」を観てしまったがゆえに、「うーん、もう一本、最後に観たい」となった後藤。
期せずして、本日のスケジュールがリスケになったので、チャップリン3タテという暴挙に出てみました(笑)。

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Podcast「チノアソビ」では語れなかったことをつらつらと。リベラル・アーツを中心に置くことを意識しつつも、政治・経済・その他時事ニュー…

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