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奥の手、今日の一杯 011

すっかり忘れてしまっていた奥の手、今日の一杯。
実は一番気に入っていた(かつ飲んだくれのボンクラだけに更新しやすい)タイトルだっただけに、これはいかんと思い、とりあえずちょっとした話題を。



シュトゥルム!
9〜10月はシュトゥルムの時期
何故シュトゥルム(英語でのストーム・嵐)なのかと友人全てに質問しても
まともな回答を得たためしが無い

9月の少し手前から販売が始まるシュトゥルム。
要するにワインを仕込んだ直後の、まだ発酵し始めた頃のものを、仕込み祝いがてらに飲んじまおうと言う、まぁなんとも季節の喜びを味わうためのもの。
今ちょっとウィキを調べてみたら……
日本語版にも発見!フェーダーヴァイサーの項目で記載があった。
フェーダーヴァイサーって(笑)響きがドイツすぎる。
オランジェン!ガラージェ!ナインナインナイン!(笑)
ともあれ、ここらではもっとお洒落に、ハプスブルク風にシュトゥルムと呼ぶ。
オローンシェ…ガローシェ…ネー…

一番シュトゥルム
’’一番’’と云うのには訳があって
後述
''Stehend lagern'' 立てて保存
と云うのも
まさに発酵を開始したワインの種であるから
最悪は破裂してしまうため
ビンの蓋をキッチリ閉めて密閉する事が出来ない
なので蓋がゆるゆる
うっかり買ってそのままリュックサックに放り込んで帰ると
中身が漏れ出してリュックサックがベットベトに

10年以上前の苦い記憶が蘇る
シュトゥルム2024!
一番シュトゥルムのお味は…
…もう激甘(笑)
発酵開始時の最も甘い時期
ブドウジュースに蜂蜜を足したような風味で
ちょっとキツい
アルコール度数の記載が無いのは
常に発酵中であるため一番シュトゥルムは大体1〜4度未満くらいかな
’’一番’’には理由があって…

で、サッとウィキ項目に目を通したところ、日本語版には書かれていないちょっと大事な情報がいくつか。
このシュトゥルム、一番シュトゥルム。
11月くらいまではけっこうな段階があって、それぞれ発酵の度合いが異なる。
10月のシュトゥルムは特に’’オクトーバーシュトゥルム’’と呼ばれて、かなりワイン寄りの風味となりアルコール度数もかなり上がるも、まだまだ甘くて飲みやすく、とても危険な、まさに’’シュトゥルム’’の名に相応しい下戸キラーとなる。
きっと多くの人々が観光で訪れて、この一番シュトゥルムを飲んで’’何じゃこりゃ、激甘のブドウジュースやないか!’’とがっかりする事も多いか知れないけれども、実は時間と共にどんどんワイン寄りになってゆくクセモノがこのシュトゥルムなんである。

日本語版ウィキでは
’’赤は非常にまれ’’と書かれているけれども
別にそんな事はない
むしろ赤の方が好きだと言う友人も多い
それに
’’シュトゥルムと共に食べるもの’’なんかも特にない
そもそもビールもワインも
食べ物なんぞ無しに ダラダラ喋りながらひたすら単独で飲むもんだ

ただ赤の’’生シュトゥルム’’
(このペットボトルの紛い物でなく真の赤シュトルム)を味わうには
ここウィーンであれば 
多少はワインバーなりローカルの酒場へ足を運ぶ必要がある

ところで、シュトゥルムはとんでもなく繊細で足の速い飲み物。
賞味期限は最大で3日と言うのが普通で、ウィーンのスーパーで手に入るものは真のシュトゥルムとは呼ばれない。
本物の、真のシュトゥルムを味わいたければ、直接ワイン処へ向かって現地で味わい、いくらか瓶詰めして持ち帰るしかない。
そんなこんなで、ブルゲンラント(ウィーンから電車で1時間ちょいくらいの、オーストリア屈指のワイン処)へ向かえばよい訳で、実はこの記事の為に日帰りか一泊くらいで訪れようと予定していたものの、ここしばらくはとんでもない悪天候に見舞われて、かつ来週にはちょっと遠出するとあって、残念ながら実行に至らず時間切れに。
ごめんなさい。

ポシャってしまった予定を白状すると、かなり昔にワイン探索に訪れていた事もある、ブルゲンラントでも屈指のワイン処’’ノイシードラーセー’’周辺、特に恐らく誰も知らんであろう超マニアックかつとんでもなく美しいワイン天国’’ヨイス’’へ出かけて、真のシュトゥルムを瓶詰めして帰ろうとの企画…あぁ、残念。
第三次大戦が勃発しなければ、来年の今頃には実現出来るか知ら。

とりあえず
今手元にあったノイシードラーセーもののボトルを
どれもとてもカジュアル それでいでしっかりと印象的な
いかにもオーストリアらしい気取りのないワイン
ワインはあくまでも
愛する皆との時間を楽しむため
気取りもウンチクも無しの
あくまでも ひとつのツールに過ぎない
わたくし個人的には
ブルゲンラントと あと南モラヴィア(特にミクロフ・ツナイム・レドニツェ辺り)が
人生で最も愛するワイン処のように思う

さて、ちょっとうろんな運びとなってしまったけれども、まぁ久しぶりだからと言い訳にして置いて、今日はここらでおしまいに。
さようなら。

















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