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テリー・キャリアー ~サイン入りレコードA to Z (Donuts版) 第45回 TERRY CALLIER

※無料で全文読める「投げ銭」スタイルのノートです。

2017年12月5日から2020年3月31日まで『ドーナツマガジン』に掲載された『サイン入りレコードA to Z』という連載コラムを加筆修正したものです。

レコード&昭和プロレス愛好家のゴベと申します。
今回取り上げるアーティストのライブを観ることができたのは、とても幸運なことだと思います。

第45回 TERRY CALLIER

(2018年11月20日公開記事を再編)

TERRY CALLIER
『ALIVE』 LP

Terry Callier
 - 2002年5月21日 @Blue Note Tokyo

こちらは、イギリスのMr Bongoから2001年に発表されたライブ盤。
2000年にロンドンのJazz Cafeで録音された音源です。


1998年にTerry Callierが、あのTalkin' Loudから『TIMEPEACE』をリリースして以来、ずっとライブを観てみたいと思っていたので、入手してから毎日のように聴いていました。
しかし残念なことに、10曲収録されたCDに対し、LPは6曲のみ。

まず、CDの収録曲。

1. Ordinary Joe
2. Step Into The Light
3. Lazurus Man
4. Lament For The Late A.D.
5. African Violet
6. You're Gonna Miss Your Candy Man
7. What Colour Is Love
8. Dancing Girl
9. People Get Ready
10. I Don't Wanna See Myself
(Without You)


続いてLPの収録曲。

side-A
1. People Get Ready
2. Step Into The Light
3. Lament For The Late A.D.

side-B
1. Timepiece
2. You're Gonna Miss Your Candy Man
3. I Don't Wanna See Myself
(Without You)

CD未収録の「Timepiece」が入っているものの、人気曲の「Ordinary Joe」や「What Colour Is Love」「Dancing Girl」がカットされている納得いかない選曲。
なんとか全曲収録した2LPを出していただけないものでしょうか(※)。


その『ALIVE』がリリースされた2001年に、Terry Callierの初来日公演が決定。彼のライブを熱望しつつも、実際に観ることなど不可能だと思っていたので本当に驚きました。

小躍りしながらスケジュール帳を確認すると、1日しかない東京公演の前日に書いてあったのは「引越」の2文字・・・。住居を引っ越すことになっていたのです。当然ライブを観に行く余裕などありません。断腸の思いであきらめました。

「おそらく最初で最後の来日になるのではないか?」と思っていましたが、翌年(2002年)まさかの再来日が発表されました。
当時は柔術という格闘技の試合に毎月のように出場していたので、練習に重きを置いた生活を送っていましたが、このときばかりはこちらを優先。
早々に予約してその日を待ちました。

そして公演当日。

聴衆を派手にあおることもなく、かと言って淡々と演奏するわけでもなく。等身大のTerry Callierの歌とギターが鳴り響いていて。
期待をはるかに上回る素晴らしい演奏を聴かせてくれました。

終演後にサイン会があったので、もちろん参加。

最初にサインをお願いしたのは、1972年に発表された2ndアルバム『WHAT COLOR IS LOVE』。
70年代ソウルを聴きはじめた90年代半ばにジャケ買いしたレコードです。

このレコードについての予備知識は全くなかったけれど、煙草を片手に物憂げな表情を浮かべる女性の写真に惹かれて購入。
モノクロラベルのプロモ盤ですが、ジャケットの状態が悪く、ホールカットも入っていたので格安でした。

いわゆるソウルやリズムアンドブルースのような音を想像して針を落とすと、まるでフォークのようなギターと静かに憂いのある歌が飛び出してきました。

A面1曲目に収録された「Dancing Girl」というその曲は、次第に熱を帯びていきます。

2曲目の「What Color Is Love」でクールダウンした後、再び静かにグルーヴする「You Goin' Miss Your Candyman」。
こちらも気がつけば熱いプレイで幕を閉じます。

やわらかな楽曲を収録したB面も素晴らしく、何度もくり返して聴きました。

異論はあると思いますが、それでも「Terry Callierの最高傑作はこれでしょ!」と言い切ってしまいたいくらいの愛聴盤です。

・・・なんてことを私ごときが熱弁する必要などありませんね。
レアグルーヴやブラックミュージックを愛聴されている方でしたら皆さんご存じの大名盤です。大変失礼しました。

(『ALIVE』と『WHAT COLOR IS LOVE』の両方に収録されている曲のタイトルにバラつきがありますが、それぞれの作品に記載されているとおりの曲名を採用しております)

そんな思い入れの強い作品なので、真っ先にサインをお願いしたわけです。

ジャケット表面の女性の写真の方に入れてもらってもよかったのですが、やはりご本人の写真が使用されているジャケット裏面にお願いするのがベスト。そう判断して裏面を上にしてレコードを差し出したところ、がっつり顔の上に書き込まれてしまい・・・。
胸の辺りに書いてくれると思ったのに。

TERRY CALLIER
『WHAT COLOR IS LOVE』 promo LP

Terry Callier
 - 2002年5月21日 @Blue Note Tokyo


呆然とする私の顔を見てバツの悪い表情を浮かべたTerryさん。
次に差し出したレコードには、ちゃんと余白にサインを入れてくれました。

TERRY CALLIER
『I JUST CAN'T HELP MYSELF』 LP

Terry Callier
 - 2002年5月21日 @Blue Note Tokyo


あまりにも素晴らしい内容だったので、翌日も観に行くことに。
もちろん、この日も最高でした。

TERRY CALLIER
『Love Theme From Spartacus』 12"

Terry Callier
 - 2002年5月22日 @Blue Note Tokyo


2012年10月27日に亡くなったTerry Callierのライブを観ることができたのは、残念ながらこの2回だけです。
謹んで哀悼の意を表します。安らかに。


*     *     *


※2018年11月3日に「レコードの日」限定商品として、Terry CallierがMr Bongoから発表した作品から、アナログ化していなかった楽曲を集めたコンピレーション盤『TOKYO MOON』がリリースされました。

A面1曲目の「Ordinary Joe」のライブテイクは『ALIVE』のCDに収録されたものと同一音源です。
名曲「Tokyo Moon」が収録されているのも嬉しい限り。

選曲を担当された中村智昭さんに最大級の感謝を!

TERRY CALLIER
『TOKYO MOON』 LP



*     *     *


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