GOBが社名とロゴを変えたわけ
2024年の8月19日、私たちの会社は創業から丸10年を迎えました。
この節目に合わせて、「GOB Incubation Partners株式会社」は社名を「GOB株式会社」へと変え、またそれに合わせてロゴも新しくしました。
変更からおよそ1ヶ月が経ち、ありがたいことに、皆さんから声をかけていただきます。
きっと多くの人の第一印象は「社名が短くなった」だと思いますが、もちろんそれだけではありません! 特にロゴについては、時間を取ってお話しすることも多くはないので、改めて今回の変更に込めた想いや経緯などをここに記しておければと思います。
もちろん愛着がありました
私たちは、事業をつくる人の世界観に投資をする会社です。世界観が事業を通じて顧客、ステークホルダー、社会に届く過程を共にしています。
その中で今回の社名変更は、事業をつくる人を支援する「Incubator(インキュベーター)」「Partner(パートナー)」ではなく、私たち自身もその舞台に上がり、支援に留まらずに共に事業をつくる会社になることを、社内外に強く打ち出すためのものです。
それに伴い、ロゴも以下の通り変えました。
企業がロゴを変える場合、いくつかの理由があると思います。
toCの事業者であれば、市場に合わせてより受け入れられやすいデザインにする場合もあれば、競合との差別化を狙う場合もあるでしょう。あるいは歴史ある企業なら、コーポレートアイデンティティを大きく革新するための1つのきっかけとしてロゴを一新することもあるかもしれません。
いずれにせよ企業のロゴは、その企業の象徴であり、単に好みや遊びでデザインを変えることはないと思います。
私たちの場合、これまでGOBの成長に合わせて数回ロゴを変更してきました。
直近のロゴは、2020年からおよそ4年間採用してきました。ちょうど私自身が入社してまもないタイミングでこのロゴに変わったので、私にとっても思い入れがあります。この4年間に携わってくれたメンバーや関係者の皆さん、そしてもちろん今いるメンバーにとっても愛着のあるロゴです。
ですから、ロゴを変えることは決して軽い決断ではありません。もしかしたら、表には出さないまでも変えたくないと思っていたメンバーもいるかもしれません。GOBと共に事業開発をしている方や、投資先の起業家、過去に関わりがあったメンバーなど、10年の間にGOBと接点を持ってくれた方の中には、ロゴと社名の変更を受けてショックを受けた人も、ゼロではないと思います。
何かを「変える」ではなく、これまでの成長を「反映した」
しかし今回私たちがロゴと社名を変えたのは、何もこれまでの会社を変えて行くためではありません。
むしろ、これまで10年間で大切に培ってきたものを変わらず大事にするための変更です。
私自身はこの数年、GOBのことを「インキュベーターです」と紹介したことはありませんでした。起業家を「サポートする」という表現にも違和感がありました。
こういったメンバーは多かったと思います。実際に社内で社名やロゴ変更について会話を重ねる中で、「“Incubation Partners”の意味を改めて考えると、実態と違うね」という意見もありました。
創業から10年、GOBが起業家や事業に向き合う上で大切にしてきたのは「サポートする」といった第三者的な関わり方ではなく、身を切って投資をすることです。
客員起業家制度を通じて、ビジネスモデルが固まる前の、シード期以前(プレシード期)の起業家に対して投資をするのも、GOBに対して利益を還元して欲しいわけではなく、社会に対して共に世界観を届けていきたいからこそです。
これは、私が入社する以前から、多くのメンバーがGOBでの取り組みによって紡いできたDNAだと思います。今回の変更では、それをより表現できるものにしたいと考えていました。
その意味で、今回の変更は何かを「変える」ためのものではなく、これまでの数年間での成長を「反映した」取り組みだと捉えています。
新しいロゴデザインに込めた思い
最後になりますが、今回の新ロゴに込めた意図を紹介します。
このロゴはパッと見では円状の図形が2つ重なっているように見えるかもしれませんが、実は下には「透明の箱」があります。その箱から、2つの円が飛び出している状態を表したデザインです。
社名のGOBの由来は「Get Out of the Box(箱・枠から飛び出す)」ですが、この箱は「世の中や業界の常識、枠、バイアス」を意味しています。
多くの場合、この“箱”は、社会にとって当たり前のものとして受け入れられているため、認識することが難しいものです。
目に見えないからこそ、これを捉えるためには、事業をつくるその人の感性が鍵となります。感性を起点に事業開発を進め、その人の感性があればこそ捉えられる箱を認識した上で、そこから飛び出ようとすることで、社会にこれまでないものを生み出していきます。
また箱から飛び出た大小2つの円では「世界観」と「ビジネスの視点」を表しました。
私たちが志向している世界観ファーストなビジネスでは、独創的な世界観を描いてその解像度を高めること、そしてそれを社会へと届けるために事業を組み立てていくこと。この両輪が必要です。それをこのロゴで表現しました。
私はこの一連の変更をブランディングの担当者としてリードしてきました。
GOBについて深く考える機会になり、これまでのGOBメンバーが紡いできたものや、今いるメンバーが大事に考えていることに触れる中で、改めて、「GOB、めっちゃ良いな」と心から思っています。
この私が感じているGOBの良さや、GOBだからこそ社会に提供できる価値など、皆さんに伝えられるよう、これからも邁進していければと思います。
最後になりますが、ロゴのデザインをしていただいた「仕立屋と職人」の石井挙之さんには大変感謝しています。改めてありがとうございました!