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大人と子供の中間

アニメ版の僕の心のヤバいやつにハマり、先日単行本を全巻買って読んだ。

恋愛感情への気付きや大人になる事への恐れなど、思春期特有の心情の描き方がとても上手い。

もうとっくに思春期なんて終わって休日はエロ本を読んでいるような筆者にとってはそれがむず痒くもあり、惹き込まれる。

大人と子供の中間という時期は誰もが経験しているが、一生に一度しか無い時期だ。

いつしかその時期が過ぎればみんな当たり前のように恋愛したり、不安定だった精神が安定したり、わからなかったことがわかるようになる。

それが普通になると、わからなかったことがわからなくなる。

どういうことかというと、思春期の自分の悩みなんて存在しなかったかのように、その記憶自体が薄れていくのだ。

だからこそ、僕ヤバのように一生に一度しか無かった時期を思い出させてくれる作品は、失った記憶の欠片を取り戻そうとしているかのように大衆に求められる。

こんな時期あったなとか、自分もそういう風に悩んでいたなと感じさせる。

そういう消費者は多いが、1番すごいのは作者である桜井のりお先生だ。

とうに思春期を終えている大人が、思春期の男女の心理描写や表情をあそこまで細かく表現している。

よくキャラが勝手に動いてくれるという創作者が多いが、それにしても心理描写まで上手いのは心情を考察する能力がかなりすぐれているという事になる。

物書きとして人物を想像し、その心理描写が細かいというのはとても尊敬する。




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