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「パート・アルバイトでも有給は取れますか?」と聞かれたら!~賃金の計算について~
前回の投稿で、パートタイマー・アルバイトの年次有給休暇の取得要件、付与日数についてご紹介しました。
今回はパートタイマー・アルバイトが年次有給休暇を取得したときの賃金の計算方法について詳しくご紹介します。
従業員が年次有給休暇を取得したときの賃金の計算方法には3つあります。
どの方法で計算するかはあらかじめ就業規則などで決めておく必要があり、その都度変えるようなことはできません。
1. 通常の賃金で計算
一つ目は通常の賃金で計算する方法です。年次有給休暇を取得した日の、通常の1日分の賃金を支給します。
月給制の正社員の場合、休暇に対する控除や手当の支給を行わずに、そのまま月給を支給することも多いです。
時給制のパートタイマー、アルバイトの場合、所定労働時間が決まっていれば、所定労働時間分の賃金を支給します。
例)アルバイトAさん
所定労働時間 1日8時間
時給 1200円
1200円×8時間=9,600円
9,600円がAさんの年次有給休暇に対する1日分の賃金になります。
2. 平均賃金で計算
シフト制などで所定労働時間が日によって違う場合は、過去3か月に支払った賃金の平均額を1日分として、年次有給休暇の賃金を計算します。
平均賃金の計算に含めないもの
過去3か月の平均賃金を計算するにあたり、原則は支払ったすべての賃金総額を用います。これには基本給以外の手当、残業代、通勤費なども含めます。
ただし下記の3つは含めません
臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、加療見舞金、退職金等)
3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(半年に1度の賞与等)
労働協約で定められていない現物賃金
税金や社会保険料などを控除する前の賃金総額を用います。
平均賃金の計算方法
平均賃金の計算手順は下記のとおりです。
年次有給休暇を取得した日の、直近の賃金の締め日から3か月間の賃金総額を出す
※2日以上取得する場合は最初の日①の暦日数を出す(土日祝日含むカレンダーの日数)
①3か月間の賃金総額÷②暦日数=平均賃金
例)パートタイマーBさん
賃金締切日20日
4月1日に年次有給休暇を取得
3月分の賃金(2月21日~3月20日) 140,000円
2月分の賃金(1月21日~2月20日) 160,000円
1月分の賃金(12月21日~1月20日) 150,000円
暦日数 90日 賃金総額 450,000円
450,000円÷90日=5,000円
※端数が出た場合は1銭未満を切り捨て
Bさんが4月1日に取得した年次有給休暇に対する賃金は5,000円ということになります。
平均賃金の計算方法(最低保障額)
日給制、時給制、出来高払制で出勤数の少ない従業員は暦日で計算すると平均賃金が少なくなってしまいます。
この場合は下記の通り計算した最低保障額と比べて高い方を平均賃金とします。
3か月間の賃金総額÷総労働日数=最低保障額
例)アルバイトCさん(時給制)
賃金締切日20日
4月1日に年次有給休暇を取得
3月分の賃金 労働日数15日 110,000円
2月分の賃金 労働日数17日 130,000円
1月分の賃金 労働日数16日 120,000円
暦日数 90日 総労働日数 48日
賃金総額 360,000円
原則の平均賃金 360,000円÷90日=4,000円
最低保障額 360,000円÷48日=7,500円
※端数が出た場合は1銭未満を切り捨て
原則の平均賃金より最低保障額のほうが高いので、Cさんが4月1日に取得した年次有給休暇に対する賃金は7,500円ということになります。
月額の手当てがある場合
日給制、時給制、出来高払制の従業員に、月額の手当てが支給されている場合は、その手当分は暦日数で計算します。
例)アルバイトDさん 【通勤手当 毎月5,000円】
賃金締切日20日
4月1日に年次有給休暇を取得
3月分の賃金 労働日数15日
基本給(時給)110,000円 通勤手当5,000円
2月分の賃金 労働日数17日
基本給(時給)130,000円 通勤手当5,000円
1月分の賃金 労働日数16日
基本給(時給)120,000円 通勤手当5,000円
暦日数 90日 総労働日数 48日
①時給の賃金総額 360,000円
原則の平均賃金 360,000円÷90日=4,000円
最低保障額 360,000円÷48日=7,500円
4,000円<75,00円
②月額の賃金総額 15,000円
15,000円÷90日=166.66円
※端数が出た場合は1銭未満を切り捨て
①7,500円+②166.66円=7,667円
※50銭未満切捨て、50銭以上切上げ
Dさんが4月1日に取得した年次有給休暇に対する賃金は7,667円ということになります
平均賃金の計算は、年次有給休暇の取得時だけでなく、休業手当の計算などにも利用します。
3. 標準報酬月額の30分の1の額で計算
健康保険の標準報酬月額の30分の1の額を、年次有給休暇の1日分の賃金とすることもできます。ただし、この方法で計算するためには労使協定の締結が必須です。
まとめ
以上がパートタイマー・アルバイトの年次有給休暇に対する賃金の計算方法です。従業員から「年次有給休暇を取得したらいくらもらえるのか?」という質問があったら答えられるように、まずは会社の就業規則などを確認しておきましょう。
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