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8.緑の風景 | 녹색 풍경


緑に包まれた韓国、ソウル

飛行機が朝鮮半島にさしかかると、緑に包まれた韓国の大地が見えてきた。上空から見ると山脈が思ったより存在感を持って見え、日本と同じ自然豊かな国だと感じ入った。寒い土地というイメージから、もっと乾いた国土イメージを持っていたがそうではなかった。山の高さはちょっと異なるが日本の地方都市上空を飛んでいる感覚だ。

韓国東海岸からソウルへ向い、低い山々と農地、緑地が広がる

ソウルの街も緑豊かである。ソウル都心は典型的な風水思想で構築されているので、南に水(漢江)、北に山脈が存在し、街中からも山が身近に感じられる。シンボルとなっている南山も身近な緑の空間だろう。
大通りには街路樹も多く、日本よりも古い高木が多い印象だ。景福宮を始め、主な宮殿は山の麓に配置されているので、宮殿の背景が山となりソウルらしい風景を形成している。

世運商街から見る宗廟と北漢山

計画された緑の風景

一方、大規模な公園も多く計画されている。ソウルの森はソウル都心の東部、漢江沿いのある巨大な公園だ。ニューヨークのセントラルパークのような位置づけの公園にしようという位置づけがあったようだ。芸術、生態、自然体験、水辺等の様々なテーマのブロックで構成されているが、広大すぎてとても全てを巡ることはできない。近くには近年、工場などのリノーベーションでオシャレなカフェが多数あって若者に人気の聖水エリアもあり、初夏の天気の良い週末だったこの日は多くの人で賑わっていた。属性も多様だ。

ソウルの森はソウル最大の緑の拠点だ
木陰のエリアでランチを楽しむ家族、仲間達
オープンスペースではダンスチームが練習中

この日はちょっと暑かった。しか広大な広場空間もあれば、大きな木陰もある。広場ではダンスチームが音楽を流して一生懸命練習をしている。ヨガやストレッチを楽しむ人も多い。
木陰では友人達、家族親族たちのグループが食事やお茶を楽しむ。そして噴水のある広場では子供達が水を全身に浴びながら大はしゃぎだ。
思えば日本の公園は「一緒に食事を楽しむ」場所が案外ないことに気がついた。いわゆるBBQなどができる場所が都心でも限定されているのだ。それにしてもソウルっぽいと思うのは公園の背景に見える超高層のマンション、オフィスだ。この風景は独特だろう。

様々な来訪達が。もちろんカップルもとても多い。
水のあるエリアは子供達に大人気だ。
森林と高層マンション・オフィス。ソウルらしい風景と言える。

廃線を緑道に転換する

弘大(ホンデ)の近くに京義線スッキル公園という緑道がある。これは以前「京義線」という鉄道あった廃線跡地で、これを緑道にしたものだ。「スッキル公園」と日本語表記があるが、日本語にすると「森の道公園」ということになろう。

京義線スッキル公園。廃線になった線路の痕跡を残しながら公園として整備。

弘大レッドロードもそうだが、ソウルの公共空間にはアマチュアのミュージシャン、アーティストが多くパフォーマンスをしている。いずれもレベルが高く、ファンもある程度ついている人が多いようだ。聴衆の反応も良く、やっている方も気持ちがいいだろう。緑道は廃線となったレールを一部残し、記憶を喚起させつつ、場所場所でデザインのコンセプトを徐々に変えつつ、さらに座れる場所を多く作っているところが秀逸な点だ。ここではカップルや若者が多かったが、座ってコーヒーやアイスを食べながらゆっくりお喋りする様子が見られた。しかし、6月にしてはちょっと暑かった。

ストリートミュージシャンが多く、皆レベルが高い。
ファンもついているようだ。
弘大レッドロードでもパフォーマンスに丁度いい広場をつくり、このように人々が楽しんでいる。
観客の反応が良く、表情豊かなのが印象的だ。

ソウルにはもう1箇所廃線跡を緑道公園化した場所があり、そちらも今度尋ねてみたいところだ。

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