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【経営とビジネスのための読書】弾み車の法則

弾み車の法則は、ジム・コリンズのビジョナリーカンパニー② 飛躍の法則という本の中で特に強調する要素としてスピンアウトした本です。

ビジョナリーカンパニー②は読み切るのに長くてハードルが高いです。しかし、この弾み車の法則と言う本は非常に短くて読みやすいです。

ビジョナリーカンパニー2のすべてのエッセンスを知らなくても読んで効果を発揮することができる。そういう意味でも紹介しやすいし、使い勝手の良い本と言えます。

戦略的に自社の強みを考える上で、この弾み車の概念は戦略的累積効果と言うことで強みの要素がそれぞれ累積してドンドンと加速していく様を示しています。
これはジム・コリンズが世界の名だたる企業を分析調査をした結果、それらの会社がどのように強くなってきたかという実績に基づいて分析をしたアウトプットでありかなり実効性が高いものと思われます。

強みとは、革命や大改革などによって一気に現れるのではなく、少しづつ累積的に積み上がり強固なものになっていく、ということなのだと実感できます。

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本の内容を一言で言うと

あえて誤解を承知で、本の内容を一言でまとめて言うとこんな感じかなと思います。

「強みの構成要素の因果的連鎖を認識して意図的に積み上げていくことで、圧倒的・持続的な強みを生み出すことができる。」

会社の強みと言うものは、革命・大改革などの突飛なアクション生まれるものではなく、累積的に積み重なったものでありその積み重なりが強みをさらに強化するという戦略的累積効果につながっている。

会社が成功するためにはその会社が提供する商品サービスをお客様に選んでいただく必要があるわけですが、その選ばれる要素としての強みを累積的に育てあげるということが弾み車の法則であると思います。

ビジョナリーカンパニー2を読むと、弾み車の法則には前提があり、ハリネズミの概念と言うものがあります。①世界一になれる要素であること、②経済的原動力になること、③情熱をもって取り組めるもの、この3つの要素を兼ね備えたものが弾み車の構成要素になる前提のものです。

だからいくら強みを積み上げたところで、その結果世界一になれる要素であることと、経済的な原動力になることと、取り組む中で情熱が持てること(ワクワクがある事)を満たさなければ結果として偉大な企業になる事はないということです。


■中小企業、中堅企業に向けての読み替え

ビジョナリーカンパニーは世界の名だたる企業を中心に、調査が進められているため一般の企業においても世界一であることに絞り込む必要は特にないと思います。ただ、選ばれて結果素晴らしい企業になるためには、例えば日本一、商圏エリアで一番になること、などを考える必要があるということです。

少なくとも、QPSでお客様の頭の中に浮かぶ選択肢で一番にならなければ選ばれることははいので、どの程度選ばれれば自社の経営が成り立ち、そして向上していくか、ということをまずは考えればよいのだと思います。

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ただ、ビジョナリーカンパニー2の冒頭の記載にもあるのですが

「GoodはGreatの敵である」

とあります。戦略的な累積効果を狙う分野を小粒なものにしてしまうと、Greatまでは到達しないということでもあります。

私は、人生の中でできるだけ多くのGreatな会社が生まれることを支援したいと考えていますので、なるべく弾み車の将来ビジョンを大きくもってほしいと思う次第です。


重要なポイント

私はこの本を理解する上で重要なポイントは、ざっくりと読んだらまずは自分の会社、または自分自身(個人)の弾み車を作ってみることだと思います。
へたくそでも何でもいいから一旦自分の会社や、自分自身の弾み車を作ってみると、それをアマゾンや他の名だたる企業と置き換えたときに本の内容がさらにすっと入ってくるようになります。

ざっと手を動かしながら、かつ該当するページを読みながら進めていくとより実践的な知識として頭に入っていきます。そして、できることならばこの弾み車をざっと作った後にビジョナリーカンパニー2まで読んでいただくとより効果的なのではないかと思います。


noteの記事も弾み車

このnoteの記事についても、弾み車の法則が当てはまると思います。弾み車の法則は戦略的累計効果なので、記事の数が多くなればなるほど、自分自身のコンテンツ自体に魅力が出る。その結果フォロワーの数が増えてくる(はず(笑))。
そして記事を執筆していることによって自分自身の能力が上がってくる(はず(笑))ので、書けば書くほどノートの記事が魅力的になってくる。またノートの過去の記事とのリンクを貼ることによって記事に厚みが出てくることでより一つ一つのコンテンツの提供価値が上がってくる。

といったように、弾み車の法則を理解していただくためにはこのnoteの記事、 noteでの取り組みを当てはめるとわかりやすいだろうと思います。


弾み車を作ってみることの効果

弾み車の作り方は以下の2パターンがあります。この本で伝えているのは1の実績弾み車ですが、私は2の将来の弾み車のビジョンが重要なのではないかと考えています。

1、実績弾み車
まずは過去実績をしっかりと洞察し、すでに今ある程度確立された強みを弾み車実績として作る。

2、弾み車ビジョン
将来どのような弾み車が回ってるかということで、経営戦略として弾み車ビジョンを作ってみる。

特にこれから事業を始めるといった会社や、ベンチャー企業等はまだ大きく世の中で成功していない状況でしょう。そのような会社は、これからどのように累積的戦略効果たる弾み車を構築して、それを回していけるかということを考えて、実現していく必要があります。

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「私のコンサルティングスタイル:経営ビジョン策定との関連」

私は事業戦略や、新規事業の策定のコンサルティングをするときに、その会社の将来像、新規事業の将来像を具体的に経営ビジョンという形で立ててもらうことにしています。
具体的には、会社の方向付け、そしてそれを支えるヒトモノカネの状態を時系列に並べたものです。

定性的な情報と、定量的な情報を合わせて記載した具体的な将来像です。よく会社においてビジョンという言葉がありますが、1行で表現されるようなビジョンではありません。それを具体的に落とし込んだものを仮説として明確にするということをやっています。

ただ、この経営ビジョンだけの立案になってしまうとどうしても平面的な表現になってしまいがちです。その将来の具体的な状態だけが示されると言う形です。

その状態に至るまでにどのようなプロセスでどのような強みの累積によって至るのかと言うことがなかなか表現しづらいのです。そういったことを因果的なつながりや時系列で具体的に説明するためには、弾み車のビジョンを作るということが有効であると考えられます。

この部分は、具体的に説明していくと長くなるのでまた改めて別の記事で説明をいたします。

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関連する書籍

・ビジョナリーカンパニー② 飛躍の法則

本書の「弾み車の法則」のもとになっている書です。GoodからGreatに向けて何が必要なのか、ということを調査による裏付けに基づいて整理をした名著です。


・ストーリーとしての競争戦略

ストーリーとしての競争戦略は、筋のよい戦略にはストーリーがあり話てみても面白いし、話したくなるようなストーリー性があることがよい戦略につながると言っています。

弾み車のような一貫した因果関係のある戦略的累積効果ではなく、それぞれがパーツとして並んでいてサッカーのフォーメーションのように戦略構想を描くような特徴があります。そこにキラーパスがあったり、模倣困難性をどう織り込むかによって持続的な戦略を描くという趣旨です。(相当ざっくり言っています)弾み車のように相関関係がありシンプルなものと比べるもう少し複雑なもののように思います。その違いを比較して検討することで色々と考えが深まります。


実践への活用について

・弾み車策定セッション
コンサルティングのプロジェクトとして、その会社の弾み車を作る支援をする。
今までの強みを認識するための、実績弾み車策定セッションと、これからの経営戦略、新規事業戦略を策定するための未来の経営ビジョン策定セッションに弾み車ビジョンの策定を織り交ぜる。

・noteでの活動弾み車の策定
自分自身のnoteでの活動について、どのようにすれば発信力が強化できるかという事を弾み車で検討する。最初は重い弾み車であったとしても、継続していくうちに勢いが増すことを信じて。


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