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今さら聞けない!決済の王PayPalを調べてみた ーーー

ご無沙汰しています。yup株式会社でインターンをしている小林豪と申します!

以前、こんな記事を書きました。

リサーチは楽しかったのですが、まだお前そこじゃなくね?って思ったんです。もっとメジャーなところを知ってからじゃね?と。

自分はまだスタートアップという業界を知ってから半年も経っていないペーペーです。ましてやFintechに興味を持ち出したのも最近です。

携わった年月が重要だと思っているわけではありませんが、まだメジャーな企業のことも知らずに海外のマイナーめのスタートアップに手を出すのは早すぎるんじゃないか、と思うわけです。実際持っている知識も少ないですし。

そこで、もっとメジャーでみんなが知っているような会社や情報をリサーチして、よりFintechスタートアップに関する知識をつけた方がいいかも知れないと思い、今回筆を取りました。

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過去の2記事(特にサイボウズの記事)は、情報を調べ、まとめ、読みやすく論理的に組み立てようという意識で書いてきました。

これも大事だし、大前提だと思うわけですが、そういった記事は比較的世に溢れてるのかも。

そこで、もしかしたら、思考の流れというか情報を調べていった流れなんかを崩さずに出していった方が記事として価値あるものになるかも知れないと思ったのです。

そこで今回の記事では論理的でわかりやすい記事というよりは、もっと人間的な感じ?を出してみたいなと思います。

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さて、前置きが長くなってしまいました。

早速本編に参りましょう。今回調べるのは「Paypal」です。

Paypalとはなんぞや!

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自分自身PayPalについては、決済サービスを提供していて、ピーター・ティールが創業者で、創業者の一団をPayPalマフィアと呼ぶ、ということくらいは知っていましたが、これではあまりにも表面的すぎ。

今回はもっと詳しく、時間軸にも着目しつつ書いていこうと思います。

まずPayPalとはなんの会社なのというところから。

いつもお世話になっているウィキペディアさんから引用させてもらうと、

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Paypalは電子メールアカウントとインターネットを利用した決済サービスを提供するアメリカの企業である。PayPalアカウント間やクレジットカードでの支払い、口座振替による送金を行う。

事業者と消費者間の取引プラットフォームと個人間取引のプラットフォームを提供して、トランザクション手数料で儲けるっていうビジネスモデルですね。

支払いっていう生活から切っても切り離せないところの覇権を握ろうとしてますね。

個人間取引でいうとジャック・ドーシー率いるSquareのCash Appが競合なんだろうか。ちょっと調べてみます。

日経新聞にありました。

どうやらPaypalが持っているVenmoというサービスとCash Appが競合してるみたいですね。

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記事内で興味深い記述がありました。

デジタルウォレットは世界各国で選ばれる決済手段になりつつある。

現時点で最も普及しているのはアジアだ。例えば、中国ではアリババ集団系の「支付宝(アリペイ)」と騰訊控股(テンセント)の「微信支付(ウィーチャットペイ)」が市場を独占し、デジタルウォレットはPOS(販売時点情報管理)での決済の48%を占めている。

北米ではクレジットカードが引き続き優位に立っており、モバイルウォレットの普及率ははるかに低い。モバイルウォレットはPOSでの決済の6%にとどまるのに対し、クレジットカードは40%に上る。

世界の決済の状況ってこういう感じなんですね。

アメリカとかヨーロッパはモバイルウォレットとかがめちゃくちゃ普及してるイメージでした。

そんなことは置いておいて、この記事をざっくりまとめると、

Cash AppとVenmoは北米で2大モバイル決済として競合しており、それぞれが独自のアプローチで市場シェアを奪い合っている

という内容でした。

また他に調べてみると、StripeだったりGooglePay、Paylineなどモバイル決済は競合がひしめいているようですね。今はVenmoとCash Appの2大巨頭かも知れないけれど、今後の覇権を握るのはこの2つではないかも知れない。

他のP2P送金の記事もみてみました。

この記事によると若者の合言葉は「Venmo me(ベンモで払って!)」らしいですね。割り勘とかをするときもVenmoが主流らしいですよ。

人にいくら貸したのかをLINEの一言に載せる私たちとは違いますね笑

ちなみにVenmoは2009年に創業されて、瞬く間に成長。2012年には262万ドルでBraintree社に買収され、その翌年に BraintreeをPaypalが買収したということで、PayPalの傘下に入っているらしいですね。

それとApple Payも勢力を伸ばしているらしいです。なんと2019年のトランザクションがVenmo124億件に対しApple Payは150億件。この事態に直面してPaypalはHoneyという会社を買収したらしいです。

さて、話を戻すと、Paypalは決済サービスのトランザクション手数料で儲けているという話でした。

ちなみに収益源はこの手数料だけでなく、事業者用のPayPalマーチャント、サブスク料金、ゲートウェイサービスなど、いくつか他にも収益源があるっぽいですね。

2019年12月時点では世界200以上の市場で、2億8100万のコンシューマ・アクティブアカウントと2400万の事業者アクティブアカウントからなる3億500万のアクティブアカウントを持っているらしい。また2019年には7120億ドルのTPVを処理しているようですね。

TPV …
トータル・ペイメント・ボリュームのことで、ここではPaypal上の総決済額を表している。GMVと似た概念。

これ半端ないですね。アクティブアカウント数もTPVも半端ない。TPVの大きさがトランザクションベースの収益には直結しますから、この大きさは頼もしいですよね。

他にも、BraintreeやiZettle、GoPayなど子会社を持っているみたいですし、Paypal経済圏が拡大していますね。すごい。

競合は?

競合と比べるとどうなんでしょう。「Paypal competitors」で調べるとこんな記事が出てきました。

Paypalの4つの競合、それは、
・Skrill
・Payoneer
・Google Pay Send
・Stripe
でした。

・Skrill

Skrillという会社を自分は知らなかったので調べてみると、

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2001年にイギリスで生まれた決済サービスの会社だそうです。

よくよく見るとPayPalと同じ画面の一文目が一緒ですね。さすが競合。

どうやら2015年にPaysafeという会社グループに買収されているそうですね。価格は900億円くらい。

ユーザー数とか正確な数字はわかりませんでしたが、PayPalよりも規模は小さいみたいです。ただ手数料がPaypalよりも安いという強みを持ってますね。ただ12ヶ月使用しないと課金されてしまうところは利用者的には難点かも知れません。

・Payoneer

Payoneerも知りませんでした。調べてみると、

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2005年にアメリカでできた会社らしい。海外送金などに強みを持っている会社ですが、ECサイトの支払いなどの支払いプラットフォームも提供しているみたいですね。そこがPayPalと被ってるのかな。

ユーザーは400万人。14の国でサービスを提供していて、評価額は1000億円を超える。ユニコーンかな?と思いきや、今年2月に今話題のSPAC上場をしてますね。

SPACについては概要は知ってるけど、問題点やメリットは理解してないな。時間がある時に調べます。

・Google Pay Send

Google Pay Sendはどうなんでしょう。

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2011年にリリース、2018年にGoogle Payに統合されてるみたいですね。

Google Pay全体でみると対面での決済とP2P送金、決済サービスを提供しているらしい。あと、事業者向けオンライン決済も。

「Googleで支払う」っていうボタンが無料でつけられるのは結構すごい。現時点ではPayPalの規模には到底及ばないけど天下のGoogleだから将来的には大きなライバルになるかも知れないですね。

・Stripe

Stripeはどうだろう。調べてみると、

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2011年創業の決済サービス及びSaaS企業。確か非上場企業の中ではトップ3くらいの時価総額でしたよね。調べてみると時価総額は約1兆150億円。半端ない。

強みは数行のコードで開発者が決済サービスを組み込むことができる手軽さ。Paypalはアカウント作成して、Paypalのサイトで決済をして、と少し面倒臭い。

手数料もトランザクションにかかるものだけなのでわかりやすい。

契約事業者数は200万とPayPalには及ばないものの、様々な大手企業と契約していることがわかったので、今後の決済手段のメインストリームになるあもしれないですね。もうなってたりして。

ちなみに日本だとWantedlyやSmartHRなんかも契約しているそう。

面白そうなので時間があるときに調べてみます。

競合と比較するとまだまだPayPal優勢に見えるものの今後も安泰かはちょっとわからないですね。

Paypalの歴史

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ここからはPaypalの歴史を見ていきます。

創業期

英語版wikipediaなどを参考にして、Paypalのざっくりとした初期の歴史をまとめてみます。

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1998年にマックス・レヴチン、ピーター・ティール、ルーク・ノセックがConfinity Inc.が設立される。

この会社は最初、携帯機器のセキュリティソフトウェアを開発する会社だったが、そのビジネスモデルでは成功せず、デジタルウォレット事業にスイッチした。

2000年3月には、Confinityとイーロンマスクが創業したX.comが合併し、2001年に社名がPayPalとなる。

ちなみにX.comは、世界初のオンライン銀行の一つで、合併前はConfinityと競合していたそう。

そして2002年にIPO。一ドル当たり13ドルの価格で公開され、時価総額は10億ドル程度になった。

ちなみにPayPalがNASDAQに上場した時期はドットコムバブルの崩壊後で、誰もがIPOを避けたタイミングだったらしい。しかし、初値は公募価格13ドルに対し、19.29ドル。ネットバブル崩壊後唯一のIPO成功企業と言われたそう。

そしてIPOから6ヶ月後、オークション型マーケットプレイスで知られるeBayに買収される。当時の買収価格は15億ドル。

当時のニューヨークタイムスによると、eBayの決済の70%以上がPayPalで行われていて、eBayとPayPalは相互に依存し、競争していたという。

相互依存と競争関係を解消すべくeBayはPayPalを買収したそう。

また、この買収でeBayが買収・開発していた決済プラットフォームBillpointはたち消えになった。

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これが創業〜eBayによる買収までの歴史です。

3年でIPO、15億ドルで買収ってスケールがめちゃくちゃでかいですね。やっぱり半端ない。

そして、このeBayの買収によってPayPalから人材が流出して、その人材が連続して起業、成功してPayPalマフィアと呼ばれたようです。

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ちなみにPayPalマフィアの具体的なメンバーは、

ピーター・ティール
→PayPal創業者、 Facebookに投資した初の外部大型投資家で、YoutubeやLinkedIn、Airbnb、SpaceXなどにも投資、成功に導く。最近IPOしたPalantirの共同創業者。

イーロン・マスク
→Paypalの前身、X.comを創業、SpaceX、テスラ、ソーラーシティーなどを成功に導くカリスマ起業家。フォーブスが選ぶアメリカでもっとも革新的なリーダーランキングでAmazonのジェフベゾスと並んで1位。

チャド・ハーリー
→Youtubeの創業者の1人。起業1年半後にGoogleに約1850億円で売却。やばすぎ。

ジェレミー・ストップルマン
→アメリカの最大手地域情報サービスYelpの創業者でCEO。数多の有名企業からの買収交渉を断り続け、2012年にIPO。
ちなみにRettyや食べログの飲食店に限らない版みたいなものらしいです。

リード・ホフマン
→LinkedInの創業者、会長。2002年12月に創業、2016年には約262億ドルでマイクロソフトが買収。2021年2月時点で7億4000万人の会員が存在。

実績が半端ないですね。これはマフィアと呼ばれるのも納得。

他にも〜マフィアというものがあるらしいです。リクルートマフィアみたいな。ちょっと調べてみたいですね。

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eBayから独立

Paypalが2002年にeBayに買収されたのち、PayPalはeBayの主要決済手段として成長していました。またMasterCardと提携したり、PayPalを受け入れないWebサイトでも利用できるPayPal SecureCardをローンチするなど順調に成長。

ピーク時にはeBayの収益の40%がPaypalだったようです。eBayにとっては大成功した買収ですね。

ところが2015年にPayPalはeBayとの決別をします。これはなんでだったのでしょうか。当時の記事を調べてみました。

英語記事だったのでこれを翻訳して要約すると、

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当時の決済関連業界の競争は非常に激しいものがありました。例えば、AppleがApplePayをローンチしたり、Allibabaがヨーロッパ、北米市場をターゲットにしてきたり(AlibabaはeBayとPaypal両方の競合)、Stripeが勢力を伸ばしてきました。

そんな中、eBayとPayPalの両者には亀裂が入りました。その理由は成長速度の差です。

Paypalを買収後のeBayの成長はPayPalが支えていました。

下記のグラフがeBayの売上のなかでPayPalが占める割合のグラフです。

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このようにPayPalはeBayのなかで急成長していました。

一方eBay自体はというと、当時のEコマース全体の成長率よりも低い成長率で推移していました。

下記グラフがeBayとAlibabaのユーザー数推移と売上推移です。

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このように他社は成長しているのに対し、eBayの成長は明らかに鈍化していました。

しかもPayPalはもはやEコマースの決済手段には止まらず、総合的な決済プラットフォームとなっており、事業セグメントも親和性が減りつつありました。

そこで有名投資家カール・アイカーンは、PayPalがこのままeBayの傘下にいたのでは自律性のある成長を遂げられないとして、分社化を提案。eBay側は最初はこの提案に反発していましたが、Apple Payなどとの競合も考えて、eBayは分社化の決断を下しました。

(元記事に要約と情報の付け足しを行っています。)

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ということがあり、PayPalはeBayからスピンオフをしたのです。

ちなみにeBayの決済手段はPayPalが停止され、代わりにオランダのスタートアップAdyenと協力して提供しているらしいですね。

これはなかなかeBayにはしんどい話ですね。

eBayから独立後

さあこれで独立を果たしたPayPalですが、スピンオフ後はどんなあゆみを進めてきたのでしょうか。

スピンオフ後の歴史も紐解いてみましょう。今回も英語版wikipediaSeekingAlphaというサイトを参考にしています。

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2014年に独立したPayPalは、2015年7月にデジタル送金会社会社XoomCorporationを買収。9月にはP2P決済プラットフォーム「PayPal.Me」をローンチするなど、積極的に決済市場を取りにいきます。この時点でのユーザー数は1億7000万人。

このP2P決済プラットフォームはVenmoと被りますが、シバタナオキさんの動画によると、
PayPal.Me→年を召してる方用
Venmo→若者用

という感じで住み分けされているらしいですね。

2018年にはスウェーデンの決済処理会社iZettleを買収。翌年にはInstagramと提携するなどPaypal経済圏を拡大。2020年には約40億ドルで消費者の行動分析を手がけるHoneyを買収。

こういった積極的施策の成功により、独立後の売上とEPSは拡大。(下記グラフ)

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現時点でも売上過去最高を続けており、順調な成長と言える。

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という形でしたね。

さすがPaypal。決済の市場はどんどん競争が激化する中でも成長し続けていますね。

前述のVenmoもミレニアル層に広く普及していて、個人間送金でもECでも勝つ可能性は高いでしょう。

まとめ

今回の記事ではPaypalとはなにか?から始まり、競合、歴史に至るまでを書いてきました。

2020年の決算をまとめてみようかなとも思ったのですが、ちょっと体力が持たなそうなので、今後の自分に預けようと思います。

また、今回書いていて気になったこともたくさんあったので、そちらについてもこれから調べて記事にして見ようかなと思います。

それと、今回は調べたものを綺麗に加工して書いたというよりは、リサーチをした流れを崩さずに書いてみましたが、いかがだったでしょうか?

読みにくい記事になっていたらすみません。好評でしたらこの形式を続けようかなと思います。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

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参考文献

https://theconversation.com/au/topics/paypal-1090

https://www.infrontanalytics.com/fe-EN/66975NU/PayPal-Holdings-Inc-/gprv-growth









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