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【ストーリーとしての競争戦略編24(終):戦略ストーリーの骨法10箇条】

一橋大学の楠木健教授の「ストーリーとしての競争戦略」について対話形式を使って解説していきます。本マガジンのこれまでの投稿は上記に入れています。

前回のザゴール2編マガジンで製造から事業管理部への兼務となり、思考プロセスでの問題解決をについて学んだ紫耀(ショウ)は、関連子会社の社長をしている健にたまたま会います。お互いたまた本社出張だったようです。そこで、よい戦略とは何かについて議論を開始します。そして、オンラインで、勉強会をしていくことになり、オンラインで毎日実施しています。これでで第6章まで学びました。今回は最終章の第7章「戦略ストーリーの「骨法10箇条」」について記載します。

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🧒;おはようございます。いよいよ7章ですね。

👱🏼‍♂️;そうだ。ここまで話してきたことのまとめになるから、ポイントだけ話をしていく。ぜひ、それをベースに本書を読んでほしい。

◆第7章 戦略ストーリーの「骨法10カ条」

👱🏼‍♂️;ストーリーの戦略論は二つのフェーズに大別できる。第一のフェーズは「論理化としての読解」だ。戦略が文脈に依存した特殊解である以上、この作業は必然的に個別の事例を単位としたものだ。

🧒;これまで取り上げた例でいえば、マブチモーターやサウスウエスト航空やスターバックスコーヒーやガリバーインターナショナルの戦略ストーリーの読解がそれにあたるわけですね。

👱🏼‍♂️;個別事例の読解は、「ベストプラクティス戦略論」とは異なり、成功の要因を列挙することが目的ではないんだ。戦略ストーリーを構成する要素の間にどのようなつながりがあり、どのような相互作用を起こしたのかを、その事例の文脈で読み取り、論理化することが目的なんだ。

🧒;読解のフェーズは、その戦略の評価を含むのですね。ストーリーを支えている因 無理を読み取ることによって、その戦略がなぜ成功(もしくは失敗)したのか、(事後的にではありますが)解明するという作業です。

👱🏼‍♂️;ここで経営者と経営学者の関係は、小説家と文学研究者のそれに類似しています。文学研究者は必ずしも小説を書くわけではないが、個別具体的なテクストに注目して人間の思考や感じ方を解明し、その作品を評価するってわだ。経営学者にしても実際に経営するわけではないが、戦略ストーリーの因果論理を読み解き、なぜその戦略が優れていた(もしくは失敗した)のかを評価するってこと。

🧒;なるほど、その評価本がこの本ということですね。

👱🏼‍♂️;ストーリーの戦略論の第二のフェーズは、「原理原則の抽出」だ。さまざまな優れた戦略ストーリーの読解を積み重ねていけば、そこに共通の論理を見つけることができる。

🧒;なるほど、そしてその裏返しで、失敗する戦略が陥りやすい落とし穴も浮かび上がってくるのですね。

👱🏼‍♂️;戦略ストーリーをつくろうという人々にとって有用な基本論理を提示する。ここにストーリーの戦略論のめざすところがあると楠木さんはいう。『仁義なき戦い」などの東映任俠映画の花形脚本家であった笠原和夫さんは、撮影所の伝統が生み出した、「面白い娯楽映画」のための「シナリオ骨法10カ条」を掲げている。

あまのうずめのみこと
さてその骨法というやつ――これはパターンではない。パターンは時勢によって止揚し、あるいは変革しなければならないものだが、『骨法』は千古不易である。天の岩戸の前で踊った天鈿女命の舞も『ターミネーター」のシュワルツェネッガーの迫力も、同じ骨法に沿っている。

とね。

🧒;これまで、しつこいくらいに教えてもらいましたが、面白い映画シナリオを書くための必勝の方程式がないのと同様に、優れた戦略ストーリーをつくるための普遍の法則もないですよね。業界や時代や市場や企業が違えば、成功する戦略ストーリーも当然のことながら違ってくると思います。戦略 ストーリーは、定義からして「他にないただ一つ」(the one and only)であるべきです。つまり、パターンではないのですねよね。

👱🏼‍♂️;そう。笠原さんがいうように、骨法とはそうした意味での「パターン」ではない。コメディーでもサスペンスでもラブストーリーでもアクションものでも、あらゆるジャンルに共通した原理原則、それが骨法なんだ。以下では、これまであちこちでお話ししてきたことを、戦略ストーリーの「骨法10カ条」に記載する。これまでのまとめの立ち位置だから詳しくは解説はしないで羅列するだけとする。この部分はしっかり本書を読んでみてくれ。これを紹介してこの本の解説は終わりにする。

下記のサイトに簡潔に書いてあったから、引用する。
http://www.bbt757.com/servlet/content/17462.html

(1) エンディングから考える
最終的にどのようなコンセプトで利益を生み出すのかという「結」を考えてから、戦略を作るとよい。
(2) 普通の人々の本性を直視する
全員に好かれる必要はないが、あまりにもエッジの効いた戦略は、機能しない。10人のうち3~4人がよいと思う戦略を目指すべきである。
(3) 悲観主義で論理を詰める
机上でたてた戦略がそのまま現場で通用するとは限らない。うまくいかなくて当たり前だという姿勢で取り組むべきである。
(4) 物事が起きる順序にこだわる
一足飛びに成功を目指すのではなく、順序立てて目標に近づいていくことが重要である。
(5) 過去から未来を構想する
有効な戦略は、必ずその企業の過去の状況や歴史と結びついている。未来は、過去と結びついていることを知らなければならない。
(6) 失敗を避けようとしない
より早く、小さく、明瞭に失敗することで、大きく致命的な失敗を避けることができる。
(7) 賢者の盲点を衝く
一見非合理な合理性は、他社に模倣されにくい。その業界の賢者が理解できないような戦略を目指すように心がける。
(8) 競争他社に対してオープンに構える
賢者の盲点を衝くような優れた戦略は、容易に模倣されることはない。むしろ、他社を自滅に追い込むこともあるので、オープンに構えるべきである。
(9) 抽象化で本質をつかむ
個別企業の具体的戦略を見ていても、本質は理解できない。抽象化することで、戦略の本質をつかむ努力をすることが必要である。
(10)思わず人に話したくなる話をする
リーダーの条件は「話が面白い」ことである。優れたリーダーは、自分が面白いと思った話に努力を投入し、それが浸透し、実行される戦略となるのである。

以上だ。これでこの本の解説は終わりだ。だいぶ長い勉強会だったな。お疲れ様。

🧒;はい。でもすべてが繋がっていたのでまとめるのが困難であるという部分の意味がわかりました。しっかり自分の状況を捉えストーリーを創る練習をしていきたいと思います。ありがとうございました。

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本マガジンの内容は今回で終了します。覚悟を決めて始めましたが、、思った以上に長くなりました。
 大きく分けて、「1,2章で戦略論理の解説」「3章、4章、5章で戦略構築のための5Cの解説」「6章で具体的なケースの解説」、「7章まとめ」という構成でしたね。一度自分で読んでいただくとより理解が深まり自分の実践へのヒントになると感じます。読んでいただき、ありがとうございました。次回、後半のまとめを実施して本マガジンを終了したいと思います。

*下記で、noteのコンセプトと、このマガジンとは別のものづくりに関連するマネジメント理論・書籍のリンクを記載しています。もしご興味あれば、覗いていただければ幸いです。

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