【ザゴール2編11:“従業員vsTop”から“(従業員➕トップ)vs課題“の構図に変える】
このマガジンの過去の記事は上記に入れてます。
過去のマガジンで改善の理論学習と実践をしてきた紫耀(ショウ)も入社して15年になる中堅社員となりました。製造で現場管理を経験した後、IT推進課を経て再度製造部に戻ってきたようです。
そんな時、紫耀(ショウ)はある日工場長の哲也に呼ばれ、製造管理だけでなく事業管理についても携わってほしいと内示を受けます。そこで、参考に哲也は、問題解決とは何ぞやについてザゴール2を使って紫耀(ショウ)に解説していくことに。今回は第6章「最後の解決策」の後半を解説します。
・・・・・・・・・
◆従業員VSトップマネジメントの構図に陥る
🧒;おはようございます。
👨🦳;おはよう。今日は6章後半だ。いよいよ終盤に入っていく。多角事業部門の統括執行役員のゴローさんは売却予定の三社のうち2社は好条件での売却の見込みを立てることができた、だが取締役たちに残る1社のプレッシャースチームの改善策を1週間以内に練り上げなければ、低価値のまま売却するように言われる。
🧒;1週間、、まだまだ大変そうですね。
👨🦳;ゴローさんは、言われた翌日プレッシャースチームを訪れる。プレッシャースチームの社長にそのことを伝えると、「会社が売却されることがみんなに知れてから、従業員の士気は低下し業績も下がるばかり。UDE(好ましくない事象)をまとめようにも、将来が不安でそれどころではないという状況です」と言われてしまうんだ。
🧒;このままでは、会社は買いたたかれて解雇されるかもしれないという状況なのに、士気が上がらないということですか?
👨🦳;いやいや、そりゃ本社というか上の都合だな。きっと従業員からしたら会社を売るとかいいながら本社は何をしてくれたんだと思うし、それで文句なんか言われたら怒るのが通常だと思った方がいい。
🧒;なるほど。まさに従業員VSトップという対立構図になってしまっているのですね。そういう時は改善ができるも何もすべてが硬直してしまいますよね。そういう時は真正面から対話ですね。
👨🦳;そう。対話以外ない。君が言う通り、ゴローさんは「空気を変えるしかない、翌日従業員を集められるだけ集めてくれ」と指示を出すんだ。
🧒;勝負どころですね。どうなるのでしょうか?売却されるという状況でかつ、忙しい現場作業の中、多くの人が呼ばれるのですから従業員側はかなり構えて参加しますね。
◆(従業員+トップ)VS課題の構図へ
👨🦳;早速次の日、その多くの従業員前でゴローさんは、ほかの二社が市場の好転でなく自分たちの力で解決策を考え価値を上げていること、今度は皆さんの番だということを伝える。そして議論が始まる。
🧒;どう切り出していくんでしょうか?
👨🦳;こんな質問から始めている
-売り上げが増えない理由は何ですか?
-顧客からの主なクレームは何ですか?
-顧客は我々にどんなことを求めてきますか?
といったところだ。そうすると、ある従業員が価格を下げろと言ってくると反応するんだ。
🧒;なるほど、そうであれば、下がったらどうなるかと聞きたくなりますね。
👨🦳;そう。価格を下げてもどうにもならないんだ。そうすると競合他社も価格を下げるだけだからね。
🧒:つまり、下記ということですね。
👨🦳:そう。競合他社がまねできないことをすれば、価格を下げずに売り上げを増やせるということになる。当然この時従業員たちは、そんなことができたら苦労はしないと皮肉めいていうんだ。
🧒:そりゃそうでしょうね・・。値下げも答えたいですが企業体としてそれは本当に最後の手段ですしね。
👨🦳;そこで、ある従業員が顧客は委託販売しろとっているというんだ。
🧒;委託販売?アイコスメティックと同じですね。要するに顧客の在庫を減らすためですね。でも委託販売も価格下げという要求は変わらないのではないですかね?
👨🦳;いや、それはやり方次第なんだ。例えば、1000万円分のスペアパーツをもってそのうち月に100万円つかう顧客に対して、スペアパーツの価格を10%下げたとすると、プレッシャースチームの1か月のあたりの売り上げは10万減り、顧客の利益とキャッシュが10万増えることになる。
🧒;はい。それが顧客が望むことかと。
👨🦳:だが、100万円分のスペアパーツを委託販売すれば、次の月、顧客のキャッシュは100万円も増えながら帳簿上は在庫が100万円も減る。
🧒;あ、なるほど、そうなりますね。そのほうが顧客にとって値下げより魅力的かもしれないです・・。でもプレッシャースチームの在庫が、100万円分増える可能性ありますよね?
👨🦳;いや、帳簿上販売価格で計上しないから、在庫は25万円しか増えないとのことだ。
🧒;それが顧客のメリットになるのならば、挑戦すべきですね。
👨🦳;ああ、そこで、一番皮肉を言っていた従業員が「だいぶ客先に媚びを売りますね。だったら、施設ごと委託販売すればいいんじゃないですか?顧客さまの方で設備投資しなくていいし」というんだ。
🧒:いやな言い方ですねー。。
👨🦳;でも、発言をしてくれること自体チャンス。どう活かすかがリーダーの力量。そこでゴローさんは「素晴らしいアイデアだ!投資回収率も改善されるし、キャッシュは要らないし、顧客にとっては願ったりかなったりだ。顧客の高圧蒸気ニーズをわが社でまる抱えすればいい!」という。
🧒;設備やスペアパーツ、保守の人員もですか?つまり、設備やパーツをこれまで売っていましたが、高圧蒸気そのものを売るということですか?
👨🦳;その代わり、固定料金とエネルギー使用量に応じた金額を毎日顧客に請求するということだそうだ。そういったときに、徐々に従業員から声が上がるんだ。そのアイデアをたたき台にして、どのように他社にまねされないようにしたらいいか等の意見が出始めてたんだ。
🧒:なるほど、そこで、従業員VSマネジメント側から(従業員+マネジメント側)VS課題という構図になっていったわけですね。
👨🦳:そうして、プレッシャースチームも解決策を練り上げることができたんだ。
🧒;おお、これで3社とも改善策が出来たということですね。
👨🦳;その通り。今日はここまで。次回は、最終的に三社どうなるか最後のエピローグを解説していこう。
・・・・・・・・・
今回は6章の後半を解説しました。細かな設定があまりないのでわかりにくいかと思いますが、対立構造が起きてしまった場合、対話は必須でその中で複数のアイデアを出していき、メンバーが腑に落ちそうなものを提案できるかが肝になってきますね。そしてそれをきっかけに共に考える構造に変えていく。ここまでできれば大抵の場合、問題解決は前に進んでいくはずです。
さて、次回は最終回としてエピローグの解説をします。
なお、下記noteにものづくりに携わる人であれば、必要であろう知識について、本マガジン同様に対話形式で解説しています。もしご興味あれば、覗いていただければ幸いです。
休憩がてら、番外編マガジンもあります。