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全ての人が共同編集可能な未来年表

都市計画は、今見えている世界から予測できない未来までを考慮するとても時間軸の長いデザインです。しかし、一度策定した都市計画を順番に着手していくプロセスでは、完成後の世界は計画段階の世界と大きく状況が変わっている事があります。そこで、実際の都市と同様に、長い時間軸に沿って永遠に変化し続ける計画の方法はあり得るのか、と考えるようになりました。

まず、既存の都市計画がカバーできていない問題点を整理して、それに対応するように妄想を広げたいと思います。
現在までの都市計画の限界は、主に次のような点にあると思います。

1.市民の参加が限られる
都市計画は、市や県などの自治体が主体的に行うものであり、市民の参加は限られていることが多いです。
2.市民のアイデアが反映されにくい
都市計画は、市民のアイデアを反映することはできますが、そのアイデアを実現することはできないことが多いです。
3.不確実性
都市計画は、未来を予測するものであり、不確実な要素が多いため、市民の望む未来を実現することは難しいです。

そこで、これらの都市計画の限界を突破するための、1つのアイデアを共有してみたいと考えています。

それは、「全ての人が共同編集可能な未来年表」をつくるというものです。

「全ての人が共同編集可能な未来年表」とは、市民が自由に未来の年表にコンテンツを追加、編集することができる仕組みです。この仕組みを導入することで、市民は未来の都市像を民主的にコントロールすることができると考えています。

この仕組みでは、市民は自由に年表を編集することができます。例えば、新しいお店を建てる予定がある場合、その情報を年表に追加することができます。また、道路の建設や公園の開放など、市民にとって重要な事象が起きる場合も、年表に追加することができます。

「全ての人が共同編集可能な未来年表」は、誰もが自由に編集することができるウィキペディアのようなものであると例えることができます。
ウィキペディアは、世界中のボランティアが自由に記事を執筆し、編集することができるフリーの多言語インターネット百科事典です。同様に、「全ての人が共同編集可能な未来年表」では、市民が自由に未来の年表を編集することができます。

「全ての人が共同編集可能な未来年表」は、ウィキペディアとは異なり、未来を予測するものであるという点が最大の違いです。ウィキペディアは、既に存在する事実や情報を収載した百科事典であり、現在の事実を正確かつ網羅的に記述することが目的です。一方で、「全ての人が共同編集可能な未来年表」は、未来を予測するものであり、市民が未来の年表を共同で編集することで、不確実な未来をより具体的に描写することを目的としています。

「全ての人が共同編集可能な未来年表」は、先述した都市計画の限界点を打破する可能性があるかもしれません。市民が自由に参加し、自分たちの持っている知識や情報を反映させることができるため、市民の参加がより拡大する可能性があります。また、市民のアイデアがより多く反映されることにより、市民の望む未来を実現する可能性も高くなります。さらに、時間軸をもとにした未来の展望が観測できる状態にすることにより、都市計画それ自体の不確実性も考えなくて良い状態にすることができるかもしれません。

 具体的に、どんなシチュエーションで使われるのかを想像してみようと思います。特にモビリティ領域で近年観察できるように、民間と行政が同じエリアで行う別々の計画が上手く連携しておらず、イノベーションの速度が遅くなってしまう事がよくあります。そんな時に、それぞれの計画についての情報が、一枚の画面で同時にビジュアライズされている状態をつくる事で、民間と行政の計画どうしがゆるやかに関連づいて、そのエリアに今後どんな施策が必要かを引き出す速度を早め、多くの人に議論を共有する前提を作ることに役立てられます。

都市計画に「全ての人が共同編集可能な未来年表」を追加する事で、一部の人によってつくられたマスタープランの秩序と万能性を信じて突っ走る事による限界を、打破するというアイデアです。

ただし、「全ての人が共同編集可能な未来年表」は大喜利的なジャストアイデアで、考えるべき問題点は無数にあります。考えられる例として、次のようなものがあります。

1.情報の正確性
市民が自由に情報を追加することができるため、情報の正確性が保障されない可能性があります。
2.コントロール性
市民が自由に情報を追加することができるため、コントロールが困難になる可能性があります。
3.マイノリティ抑圧
マイノリティからのアイデアや意見が、決定的な権力を持つマジョリティによって抑圧される可能性があります。

そのため、「全ての人が共同編集可能な未来年表」を導入する際には、上記の問題点を解消するための対策が必要です。例えば、情報の正確性を保障するために、信頼できる情報源からの情報のみを受け入れるようにすることが考えられます。また、コントロール性を保つために、ある程度のレビューや承認プロセスを設けることも検討されるかもしれません。さらに、マイノリティ抑圧を防ぐためにも、平等な意見の発言を促すような仕組みを設けることが有効かもしれません。

「全ての人が共同編集可能な未来年表」のコンセプトは、サービスとして体験を考えるために計画を充実させる必要があったり、そもそも都市計画に変化し続ける時間軸は必要であるが、はたして年表という形である必要はあるのかなど様々で、根本的な議題ができると思います。

 そのため、私たちは、様々な分野のエキスパートや市民と共に、共同編集可能な未来年表について考えてみる必要があります。そのためにも、様々な意見やアイデアを収集し、それらを統合して計画を立てることが大切だと考えています。ぜひ皆さんも、一緒に考えてみていただけると幸いです。


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