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マルチプレーヤー的 音楽の聴き方
こんにちは!GOです!
先日、Whitechapelというバンドの曲の全パートを1人で演奏した動画を投稿しました。
ボーカル、ギター、ベース、ドラムはもちろん、
使用しているギター/ベースの製作、レコーディング、ミックス、動画撮影及び編集、についても全て僕1人で行いました。
(着用しているTシャツも、僕と友人との共同ブランド " GOAH clothing " です!)
ジャンルや楽曲に関わらず、1パートだけでもしっかりと演奏(/製作/編集)出来る。ということはとても凄いことなのですが、それを全パートやってしまった。という動画となっています。
何故そんなことが出来たのか、その方法について今回はお話させて頂こうかと思います。
前置きが長くなってしまいました。
結論から言いますと、
「聴く力 / 観る力」
コレです。
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細かく順を追って見ていきましょう。
作品を見るにあたり、僕は下のようなフローで鑑賞します。
step 1 「感動」するか
step 2 「何故」感動したか
step 3 作品の「意図」は何か
step 4 「どんな技術」が用いられているか
step 1 "「感動」するか"
初見で作品を鑑賞するにあたり、まず初めに絶対にしなければならないこと。
それは「感動」です。
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かんどう
【感動】
《名・ス自》物に深く感じて、心を動かすこと。
「―を与える」
«Oxford Languagesの定義より»
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作品を見る前と後を比較し、
・カッコイイ!と感じた
・可愛い!と感じた
・ワクワクした
・楽しくなってきた
・エネルギーを貰った
などなど…
この「感動」は、全てポジティブな内容及び解釈/捉え方に限定します。
(この時点で、ネガティブな気持ちになるようであれば、自分の好みに合っていない/認知の歪み/心身の不健康 等の可能性があり、作品に対してのリスペクトが込められない状態となってしまいます。その場合は、この作品を鑑賞するにあたりデメリットの側面が強くなってしまいますので、一時的に距離をとることをオススメします。)
これは、この作品が自分にとって「どんな意味があるのか」「どんな価値を産んだのか」といった部分を明確にするフェーズとなります。
初見での感動による 意味付け/価値の見極め を行わないと、作品の表現する本質的な部分 へ目を向けることが難しくなり、自分にとって歪んだ認知となって固定されてしまいます。
直感的に「あ!良い!」と捉えることが出来た方は次のステップへ
step 2 "「何故」感動したか"
このフェーズで初めて脳みそに思考を巡らせ始めます。
step1で感じた「感動」は一体「何故」自分の感動へ至ったのか? といった原因を明らかにしていきます。
これはあくまで自分の感性や好みを含む「良さみ」の要素を見つけていきます。
これはもちろん、感動の種類ごとに要素を分類することが可能です。
例 :女性シンガーソングライターの演奏を観て、「カッコ可愛い! を感じた」
感動1:カッコイイ!と感じた
良さみ:・歌詞の世界観/価値観等が
ハッキリとしている
・しっかりとギターを弾きつつ歌唱する姿が
堂々としている
感動2:可愛い!と感じた
良さみ:・見た目(服装/メイク/髪型など)が
好み
・声質や話し方/歌い方が好み
・立ち回りや身振りに愛嬌がある
ここではあくまで自分の感覚に素直に、真っ直ぐと感じた部分を挙げていきます。
また、出来るだけ先入観などを排除した「フラットな目線」で要素を見つけていくことで、時間経過や気分の変化などによる「認知の歪み」を少なくすることが可能です。
「何故感動したのか?」がハッキリとしてきた方は次のステップへ
step 3 "作品の「意図」は何か"
ここでは極力 冷静かつ先入観を排除した状態で、「この作品の作者は、作品を通して何を表現したのか?」また、「この作品のメッセージ/意図は何か?」を明らかにしていきます。
これはもちろん「作者本人に直接メッセージ/意図を聞く」といったことも一部可能ですが、受け取り手である自分の教養/好み/価値観などにより変わる面も有りますので、ある程度は(もちろん良識な範疇で)自己解釈でその作品の「意図」を汲み取れるようになると、咀嚼が早く出来るようになります。
中には、作者の意識として明確な意思表明/意図などはない "アンニュイ" な作品も多く存在していますが、あなたが "グッときた" ものであれば必ずそこにも「雰囲気」「ライフスタイル」等の潜在的なメッセージや共感などがあります。
そして、その「作品の意図」は、
1, 自分にはどう影響/干渉してきたか
2, どんな規模/ジャンルのコミュニティに影響を及ぼしているか
3, そのコミュニティにおいて、どのような立ち位置となるのか
といった、「作品の存在」を自分の頭へと認識をさせていきます。
ここまでをしっかり整理することで初めて「感動」を「言語化された存在」として取り扱うことが出来、後の再現/自己表現へと迷わず繋げていくことが出来ます。
これは、一般的には論理的とは対称の「感情的」な事象を「論理的」に記憶することが出来るので、気分の浮き沈みや感受性の増減に関わらず、「揺るぎない(自分にとって)確定的な事象」としていつでも脳内検索/参照が出来るようにする為の考え方となります。
そして、この一連の考え方によって脳内に形成された「論理と紐付けされた感動の記憶」は、関連する要素を含んだ作品や、近しい感動を覚えた時に(表現者として迷わない為の)非常に強力な情報となります。
step 4 「どんな技術」が用いられているか
ここで初めて、その作品を成立させる為に/華やかにする為に用いられている「技術」について分析を進めていきます。
この段階はとても単純で、
【尺度】の【名前】
といった型で箇条書きのようにあげていきます。
この時に注意すべきなのは、「事実」ベースで。
例)
・リズムが正確かつイーブン な スラップ
・大きく早い身振りと停止による (ダンスの)キレ
・配色の黄金比率に則った カラーリング
・顔の骨格と相性のいい 髪型
・傷ひとつ無い 鏡面仕上げ
そして、挙げた「技術」を先程の「感動」へと紐付けをしていきます。
ここで大切なのは、前述したstep2の「主観的な」目線ではなく あくまで「一般的に/そのコミュニティにおいて」といった目線で。
分かりやすくここでは「多くの人が」と頭につけて紐付けを行ってみます。
例)
・多くの人が【心地よい/楽しいと感じる】リズムが正確かつイーブンなスラップ
・多くの人が【カッコイイと感じる】大きく早い身振りと停止による (ダンスの)キレ
・多くの人が【オシャレと感じる】配色の黄金比率に則った カラーリング
・多くの人が【可愛い/カッコイイと感じる】顔の骨格と相性のいい 髪型
・多くの人が【美しいと感じる】傷ひとつ無い 鏡面仕上げ
このように、公的な場で発表することを前提に作られた作品における「表現の技術」は、「同じ感動を多くの人が受ける事」が目的であることが多いです。
そしてこれは、「多くの人」の感性や流行に依存しているので、「表現者で在り続ける」為には常にこの「表現の技術の見直し」を行うことが鍵となります。
もちろん、数値データを伴う工業的な技術/競技的な技術は、目的/目標が数値なので、感性や時代、流行とは全く関係のないものです。
しかし、この「工業的な技術/競技的な技術」がしばしば「表現の技術」と重なる(重なって見える)ような感性や流行りが産まれることがあり、これらを混同して認識してしまうと混乱の元となります。
(先程の"美しく見える鏡面仕上げ"などが良い例ですね。)
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この
step 1 「感動」するか
step 2 「何故」感動したか
step 3 作品の「意図」は何か
step 4 「どんな技術」が用いられているか
といった一連の考えを脳内で出来る力こそが
「聴く力 / 観る力」
であると僕は感じています。
そして、この「聴く力 / 観る力」が発達していけば、自分の中で納得の出来る範疇で再現/表現することに繋げるのはかなり早いかと思います。
(あとはやるだけ!になりますからね)
「作品を作るぞ!」と意気込んで「表現技術」を沢山練習していても、一向に「表現」に繋がらない…
といった悩みも、
もしかしたら最初の「感動」を忘れてしまってない?
といったように、この記事が表現者のお悩みの解決の糸口や、思考のロードマップになれると幸いです。
また、「いやいや、ちゃんと使える"技術"を習得したいんだ!」といった方は、下記の記事
【新たな技術を習得するには?】
も合わせて読んでいただけると圧倒的パワーを得るヒントとなるかもしれないです。
今回も長くなってしまいました。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
「全部読んだけど結局なんなの〜」という方もいるかと思いますので、そんな貴方に今回の大まとめ。
【楽しんだもん勝ち】
この言葉を送りたいと思います。
ではでは〜