勝手にアナリストレポート Vol.1029:チェンジホールディングス(3962 TSE-P 時価総額974億円)
今回はチェンジホールディングスです。「目指せ、国民総株主」をテーマに立ち上げられたカブ&ピース社が提供するサービスにはふるさと納税も含まれているようですね。しかも、新株式発行届出目論見書をみるとパートナー企業にはトラストバンク(チェンジホールディングスのグループ企業)が記載されています。サービスローンチは11月20日。どのようなものになるのかお楽しみですね。前澤氏は誕生日11月22日なので、サービス開始日合わせれば良かったのに、何か理由があったのかな?と勘ぐってしまいます笑
ではでは本題です。
チェンジホールディングスの25年3月期2Q決算は見た目段階利益が前年同期比マイナスでBADでした。株価もネガティブに反応していました。でも、これは昨年ふるさと納税でレギュレーションが変わるとのことで前倒し需要が発生したことに起因するものです。ふるさと納税受入額は23年も前年比+16%となっていたことを考えると、今期もApple to appleで比較できる3Q累計では違和感のない水準に戻ることが予想されます。短期でネガティブに反応することなく、実際のファンダメンタルズをしっかりと見ていきたいところです。
25年3月期2Q決算インプレッション~地方自治体との粘着性が一段と高まる
<キーメッセージ>
25/3期2Qは、1Qの流れを受け堅調に推移。1Qに株式の再評価益を計上していたこともあり、段階利益では会社計画を大きく超過して着地した。ふるさと納税事業の季節性が通常に戻ったことから、上期は営業減益となっているが、3Q累計では平準化されるものであり、短期的にネガティブな反応をすべきではないと我々は考えている。
ふるさと納税プラットフォーム事業において独自の打ち手を講じることで市場シェア低下に歯止めがかかりつつあることに加え、M&Aや資本業務提携などを通じ、サイバーセキュリティ領域、人材不足解消領域、公共DX領域それぞれが堅調に推移している。
引き続きふるさと納税事業を通じて培ってきた地方自治体との高い密着性を元に、公共DX事業を中心に全体事業へと波及していくことが同社の成長可能性引き上げに繋がっていくことに注目していきたい。ふるさと納税事業は成長事業ではなく、成長投資を行うための打ち出の小槌であることも再度認識しておきたい。
<サマリー>
チェンジホールディングス(3962、以下「同社」)は11月13日に25/3期2Q決算を発表した。売上収益は前年同期比+13%の16,512百万円、営業利益は同-11%の3,848百万円。上期会社計画営業利益2,000百万円を大きく超過しての着地。下期偏重の会社計画になっているため、通期会社計画の見直しは行われていないが、各事業が堅調だったことからポジティブな印象。ただし、今期はあくまでも来期以降の新中期経営計画(DJ3)を見据え、事業の選択と集中及び成長投資を粛々と行う期であることを改めて認識したい。
キャッシュカウであるふるさと納税プラットフォーム関連事業が前年同期比で大きく減収となったことを株式市場は嫌気しているが、ファンダメンタルズが大きく変わった訳でないため、過剰反応すべきではないと我々は考えている。3Qまでみれば前期駆け込み需要の影響がなくなりApple to appleで比較できる状況になることを改めて認識しておきたい。それよりもJR東日本のふるさと納税プラットフォーム運営をOEMで受託するなど、ここもと取り組んできた同事業の抜本的対策の成果が出始めていることを評価すべきだろう。
LoGoチャットは日本の1,788自治体のうち1,466自治体が利用するサービスに成長した。地方自治体との粘着性の高い関係性が、公共DX領域でのプレゼンス向上に繋がっていくことを我々は期待している。今後はSaaSプロダクトの提供に留まらず、幅広い領域で総合支援を行うなど、事業領域の拡大も期待できよう。同社の大きな弾み車が緩やかに回り始めていることに着目したい。
M&Aによるソリューションに加え、SMBCグループ・三井住友海上火災との連携も今後始まる。サイバーセキュリティ領域の今後にも注目していきたい。
<本文>
(決算概況)
25/3期2Q累計は、売上収益16,512百万円(前年同期比+13%)、営業利益3,848百万円(同-11%)、純利益2,104百万円(同-33%)となった。会社計画(売上収益16,500百万円、営業利益2,000百万円、純利益963百万円)を上回っての着地。NEW-ITトランスフォーメーション事業、パブリテック事業ともオーガニックで堅調に推移したことに加え、子会社の支配喪失に伴う利益1,569百万円が計上されたこと(1Q)によって、段階利益が会社計画を大きく上回った。具体的には、24年3月に子会社となったディジタルグロースアカデミアに対し、同年4月KDDIが株式転換権を行使し連結子会社化(議決権比率50.01%)したことに伴い、支配喪失に伴う再評価益が計上された。
前2Qは、総務省が23年6月に23年10月から適用する改正を発表したことに伴い、ふるさと納税事業に前倒し需要が発生した(同社推計で営業利益に+2,845百万円のインパクト)。そのため、今期は2Q累計、2Q(3か月)ともに減益となった。ただし、これは事前から想定されていたことであり、ネガティブ視する必要は全くない。
セグメント別の状況は以下の通り。
NEW-IT事業は、売上収益9,083百万円(前年同期比+206%)、セグメント利益3,212百万円(同4.5倍)。イー・ガーディアンの連結効果+1,095百万円、ディジタルグロースアカデミアの再評価益+1,569百万円が利益水準を大きく押し上げた。人材不足解消領域の売上高は同+14%の2,449百万円と伸長した。サイバーセキュリティ領域では、イー・ガーディアン、アイディルートコンサルティングを連結子会社化するなど、ソリューションや人材の集積を一気に進めている。グループ会社のサイリーグホールディングスは、三井住友フィナンシャルグループ及び三井住友海上火災保険と企業のサイバーセキュリティを支援する合弁会社設立に向けた基本合意書を締結した。これにより、サイバーセキュリティ業界の再編を一層進めることが可能になっていくだろう。今後も人材をグループ内に取り込んでいくことで、バリューチェーン構築、マーケティング体制整備が進むことになるだろう。
パブリテック事業は、売上収益7,712百万円(前年同期比+33%)、セグメント利益3,139百万円(同-40%)。地方創生領域は、ふるさと納税事業が通常の季節性に戻ったことで同-41%の6,387百万円となった。繰り返しになるが、前期の駆け込み需要の反動減であり、ファンダメンタルズが悪化した訳でないことを改めて確認しておきたい。JR東日本が運営するふるさと納税プラットフォームとOEMサービスにおいて連携を図るなど、ここ数年取り組んできたポイントリワードプロモーションとは異なる戦略が具現化してきている点をしっかりと評価すべきだろう。そのほか、カーボンクレジットなどの新規事業開発にも取り組んでいる。公共DXは、同+61%の1,325百万円に伸長。地方自治体向けSaaSビジネスがしっかりと浸透していることに加え、自治体業務の標準化ソリューションの開発・強化にも取り組んでいる。
(業績予想)
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