勝手にアナリストレポート Vol.1001:ELEMENTS(5246 TSE-G)

元アナリストがレポートを書いて発信しますと宣言したところ、異様なまでに反響があり、ちょっと怯んでおります。が、Post-IPO企業のお役に少しでも立てればと思い、頑張って参ります。
念為ですが、当該レポートはスポンサードレポートの位置づけになりますので、事前に発行体には内容確認をしてもらっています。とは言え、なるべく客観性をもった内容を心がけておりますので、よろしくお願いいたします。本ブログの最後にはディスクレーマーも付けてありますが、「情報提供のみを目的としたものであり、投資活動の勧誘または誘因を意図するものではなく、投資等に関する意見や判断をも提供するものではありません」「WARCは本レポートでカバーされている企業と取引を行っている、または今後行う可能性があります」ことにご留意ください。
では本文に入ります。

ELEMENTS(5246)
<23年11月期第2四半期決算>

Impression:将来成長可能性のシナリオを描けている

Key points:
23年11月期2Q累計は会社計画線での着地
通期会社計画に対する進捗率、増収率の見た目は良くない
事業の選択と集中は順調
短期的には個人認証領域の収益化、中長期ではData Gateway機能構築実現、が成長可能性上昇の鍵を握る

7月13日15時、ELEMENTS(5246、以下「同社」)は23年11月期第2四半期決算を開示。2Q累計(6カ月)の売上高は784百万円(前年同期比-9%)、EBITDAは-303百万円(同赤字微増)となった。

会社計画は非開示だが、ほぼ事業計画通りに進捗したとのこと。ただし、通期会社計画に対する進捗率は41%。下期に前年同期比+46%が必要となるため、見た目の印象は良くない。

前年同期比減収、EBITDA赤字継続ではあるものの、この数値は実態を表していないことをしっかりと認識したい。売上については、今期より個人認証領域への選択と集中に伴う提供サービスの絞り込み(個人最適化領域売上227百万円→92百万円)を行っている。注力分野と位置付けられた個人認証領域売上は実質前年同期比+22%の691百万円(前年同期に計上された一時的売上70百万円を考慮)としっかりと伸長している。選択と集中による個人最適化領域の収益性改善もあり、売上総利益段階では同+10%となったものの、個人情報の管理・活用に関するR&Dへの投資増、株式報酬費用の一括計上によって、営業利益は-464百万円となった。こちらも下期は売上高営業費用率が低下することが想定されるため、利益段階での会社計画達成確度は高いと言えよう。

主要KPIである個人認証ソリューション認証回数(月平均)は23年5月にかけ130万回超(前年同期は100万回水準)に到達。eKYC単価も1Q水準を維持しているとのこと。

同社は今下期も、個人認証領域:公共認証領域におけるeKYC等の利用拡大、個人情報管理領域:Data Gateway機能の提供、に引き続き注力していく計画。eKYCについてはAIクラウド基盤(IoP Cloud)へのR&Dステージから成長フェーズに入ることが期待される。今後も新規・既存問わず様々な領域でのR&D投資が続くだろうが、短期的にも収益拡大期待が醸成される可能性があろう。

個人情報管理領域については、もう少し足の長い話にはなるだろう。個人情報の利活用によって事業拡大を図りたいと考えている企業は多い。一方で、個人情報漏洩リスクなど情報管理の観点では一企業が対応するには負担が大きくなるケースも想定される。同社が提供するData Gateway機能では、セキュアな情報管理基盤の上にData Gateway機能を構築し、同社が個人情報を集中管理することで、企業はトークンキーのみを保有することで個人情報の利活用が可能になる。

個人認証領域だけでもTAMは非常に大きいが、同社が個人情報管理領域で個人情報データを集中管理できるようになれば、相当の事業機会が生まれてくる可能性がある。個人情報管理領域での成長可能性を高い確度で具現化できるようになるためにも、個人認証領域での収益拡大が重要になってくるだろう。そのための判断軸として、R&D控除前EBITDAの黒字化タイミングを意識すべきと考える。

(ディスクレーマー)
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