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勝手にアナリストレポート Vol.1025:アイスタイル(3660 TSE-P 時価総額319億円)

少し間が空いてしまいました。世の中はお盆休みの人も多いと思いますが、株式市場では決算発表ウィークだったりします。昔は個人投資家がお盆休みのため板が薄いとか言われていましたが、今はあまり関係ないのでしょうか。
継続的にレポートを書かせていただいているアイスタイルが24年6月期通期決算を開示しましたので、いつものようにファーストインプレッションをお送りしたいと思います。今日の株価は大幅に上昇していますが、短期的に反応する内容と言うよりも、中期的に「ようやく」攻めに転じられるファンダメンタルズになってきたなぁという印象です。
アイスタイルについては付き合いも長く、これまでの栄枯盛衰を見てきたので、個人的には「ようやく」という言葉を使えたことを嬉しく思っています。アイスタイルを取り上げた「起業ストーリーで学ぶ会計」でも少しコメントさせて頂いているので、こちらも是非ご覧ください!
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24/6期決算ファーストインプレッション:成長軌道への階段をようやく登り始めた


<キーメッセージ>
24/6期の売上・利益は想定を若干上回っての着地。25/6期会社計画はWARC予想を超過しているが、出店計画に鑑みると違和感のない水準。
中期事業方針として、28/6期〜29/6期での数値目標(売上高1,000億円、営業利益80億円)が示された。24/6期営業利益の4.1倍の水準ではあるが、リテール事業の成長だけで一定の蓋然性は説明できよう。オンラインとオフラインの融合によるデータの利活用が進めば、更なる収益機会も生まれてくるだろう。

<本文>
アイスタイル(3660、以下「同社」)は8月14日に24/6期通期決算を開示した。売上高は56,085百万円(前期比+31%)、営業利益は1,940百万円(同+137%)となり、会社計画(売上高55,000百万円、営業利益1,700百万円)、WARC予想(売上高55,237百万円、営業利益1,827百万円)共に上回っての着地となった。
25/6期会社計画は、売上高64,000百万円(前期比+14%)、営業利益2,400百万円(同+24%)。WARC予想(売上高60,258百万円、営業利益2,324百万円)に対し、売上が上回る一方、営業利益は想定の範囲内となった。我々は毎期中規模のリテール店舗1店舗オープンを前提に計画を策定したが、同社は24年7〜9月に既存店3店のリニューアルを想定していることに加え、更に2店舗のリニューアル、新規出店3店を前提に予算を策定していることが、WARC予想を上回る売上計画、同予想を下回る売上高営業利益率になったと推測される。以上のことに鑑みると、同社計画に違和感はない。
同社は通期決算発表に合わせ、中期事業方針についても開示した。数値目標は、28/6期〜29/6期に売上高1,000億円(24/6期比+78%)、営業利益80億円(同4.1倍)。リテール事業でユーザーとブランドの接点を増やすことで、マーケティング支援事業でのデータ利活用をマネタイズするほか、化粧品以外のビューティー領域(健康食品、医療美容など)への事業展開にも取り組んでいくことで、この目標を達成していく考え。オフラインとオンラインの融合によるデータの利活用は以前から標榜していることであるが、収益基盤の安定によりようやく本格的に取り組めるようになったのだろう。リテール事業の成長だけで数値目標の蓋然性は一定説明できると考えられることから、新たな取り組みによって目標数値の上積みに期待したい。改めて想定資本コスト10~11%を超えるROE実現を目指すことに加え、復配が示唆するなど、資本市場と向き合う姿勢はきちんと評価していきたい。
同社は、決算説明資料の中で、「我々は@cosmeを企画・運営するだけの会社でなく、美しく・楽しく・自分らしく生活するためのサービスや商品に出会える場を提供する会社でありたい」とのメッセージを改めて発信している。実際、同社のバリュエーションはリテール事業のみで評価されているように見える。そのため、今後データ・ドリブンでの成長が鮮明になってくれば、同社に対する株式市場の評価も変わってくるだろう。

<ディスクレーマー>
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