勝手にアナリストレポート Vol.1016:日本動物高度医療センター(6039 TSE-G 時価総額58億円)
今回の勝手にアナリストレポートでは日本動物高度医療センター(6039)を取り上げます。その名の通り小動物等の二次診療を提供している企業です。本社が二子新地にあるので、トップの写真(同社HPからのスクショ)も多摩川河川敷になっていますね。後方に楽天の本社が入っているビルが見えます。
ペット関連の上場企業というとペット保険を提供しているアニコムホールディングスあたりを思い浮かべる方も多いと思いますが、同社は動物病院の二次診療を提供している企業です。ペットの世界も人間同様高齢化(ペット自体も飼い主も)が進む中、動物病院の数は緩やかに増加しています。株式投資家の中にもペットを飼っている方多いと思いますし、街を歩くと結構動物病院が多いことに気が付くのではないでしょうか。しかし、全ての病院が全ての診療科を持ち、高額の医療機器を導入していることもなく、人間の病院で言う「町医者」系が多いように感じますよね。そのような病院をサポートするのが同社が展開する二次診療領域になります。そのため、まだ取り組んでいない領域・地域を含めて考えると同社の潜在市場性には夢がありそうな気がしてきます。ということで、今回同社を取り上げてみました(ちなみに我が家にペットはいません。育ち盛りの子育てで手一杯です)。
5月9日に24年3月期通期決算を発表しました。同時に補足資料でポイントがサマライズされています。興味を持たれた方は是非直接ご覧ください。一次情報に触れること、大事です。
前置きが長くなりましたが、今決算で私が感じたことをファーストインプレッションとしてレポートにしてみました。
日本動物高度医療センター(6039)
24年3月期通期決算ファーストインプレッション
人材投資への注力は将来に繋がっていくだろう
<キーメッセージ>
・大阪病院開院に伴う固定費増もあり、24年3月期営業利益は前期比-14%に。会社計画に対しても10%下回っての着地。
・25年3月期は、近畿地区での初診数増を成長ドライバーに、営業利益は前期比+26%となる計画。
・同社が持続的且つ確固たる成長をしていくために必要な人材投資・育成に注力していることをしっかりと評価したい。
・先行投資に意識しつつも、株主還元に対して積極的に取り組んでいる姿勢はもっと評価されても良いだろう。
<本文>
日本動物高度医療センター(以下、「同社」)の24年3月期通期売上高は、前期比+10%の4,270百万円となった。会社計画4,140百万円を上回っての着地。23年6月に開院した大阪病院の売上寄与に加え、川崎本院および名古屋病院が堅調に推移した。一方、営業利益は前期比-14%の497百万円に留まった。大阪病院開院に伴い、人件費を中心に固定費負担が増加したことから、売上高営業利益率が11.6%(前期実績15.0%)に低下した。大阪病院のコストが想定を上回ったこともあり、会社計画555百万円に対しては10%下回っての着地となった。
25年3月期会社計画は、売上高4,820百万円(前期比+13%)、営業利益625百万円(同+26%)。大阪病院の通期寄与に加え、一次診療施設との連携強化を軸に初診数が増加する想定。初診数は前期比+17%を見込んでいる。大阪病院については、24年5月より放射線治療を開始していることもあり、近畿地区全域からの症例紹介に取り組んでいく計画。
今後の成長戦略として、人員増強による既存病院の成長、第5の二次診療施設の開設、事業領域拡大、を掲げている。新病院の開院準備として、物件選定と並行して診療を行う獣医師や愛玩動物看護師等の確保・育成にも取り組んでいく計画。
その他小動物診療施設数は緩やかに増加しているが、飼い主、ペットともに高齢化が進む中、二次診療に対するニーズは拡大している。一次診療施設をグループ化する動きもマクロではあるものの、動物医療を鳥瞰的にみれば今後も一次診療施設や飼い主のニーズに応えていることが、同社の継続的な成長の礎となっていくだろう。そのために新病院の開設も求められるだろうが、実際に診療を行う獣医師や看護師を質・量ともに高めていくことの方が先決だと、我々は考えている。
24年3月期に初の配当を実施する予定である(一株配当20円、配当性向16.0%)。25年3月期については25円を予定している。加えて、24年3月には自己株買い付け(自己株式を除いた発行株式に対する割合2.93%)も実行している。新病院開院など先行投資も今後続く一方で、きちんと株主還元を考えている経営方針はきちんと評価すべきと考える。
GW明けて、3月決算企業の通期決算発表も佳境を迎えつつあります。色々と頑張りましょうね!
<ディスクレーマー>
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