キャッシュプーリングの仕組み②
本日はキャッシュプーリングの入出金の仕組みについてです。
今回の記事では、キャッシュプーリングのテクニカルなことにも触れていきます。
クロスボーダーでのキャッシュプーリング、インハウスバンクへの導入検討をしている人におすすめの記事です。
記事の前半部分は下記のサイトに記載しています。
● 記事の前半
キャッシュプールヘッダーとは?
まずは頻出の用語の解説からです。よく出てくる言葉で、キャッシュプールヘッダーという言葉があります。
キャッシュプールヘッダーとは、キャッシュプーリングの運営を管理する管理者のことで、口座管理、残高管理を行います。
BS上で貸借を伴うキャッシュプーリングの場合、貸付・借入利息を設定し、分配するのもキャッシュプールヘッダーの役割です。
グループ内に金融統括会社があるケースを除き、通常は本社がキャッシュプールヘッダーとなります。
また、ヘッダーと対比してか、キャッシュプールヘッダーの下でキャッシュプールに参加する人のことをキャッシュプールフッターと呼んだりもします。(単に参加者と呼ぶことも多いです。)
キャッシュプールの資金集約の方法
キャッシュプールの仕組みについて、まずは資金集約の方法について解説します。
キャッシュプーリングへの資金集約については、物理的に資金を1つの口座に集約する①アクチャルプーリングと、物理的には資金を集約しない②ノーショナルプーリングの2つのタイプがあります。
① アクチャル型のキャッシュプーリング
アクチャルプーリングと呼ばれる資金集約の方法では各社の預金を物理的に1つの口座に集約させます。
下の例はA社の他、B社、C社、D社がキャッシュプーリングに参加しているケースです。
アクチュアル型のキャッシュプーリングの場合、入金されたお金は1つの口座に集約させるため、このケースではA社名義のヘッダー口座に集約されます。
アクチャルプーリングは単純明快で、イメージしやすいと思います。
アクチャルプーリングの場合の貸借は?
キャッシュプーリングの仕組みの中の重要な論点の1つは預け入れ時に貸借が発生するかについてです。預け入れがただの預金であるか、貸付となるのかで、経理処理も異なるためです。
アクチャルプーリングの場合、キャッシュプールの資金はA社の名義となり、物理的に資金が集約される仕組みとなるため、B、C、D社がキャッシュプールに資金を預けた資金は、A社への貸付となります。
また、B、C、D社がキャッシュプールへの預金額を超えて、資金を引き出した場合は、銀行借入ではなく、A社からの資金借入となります。
親子ローン、子親ローンがキャッシュプーリングという仕組みを通じて、実現するのです。
②ノーショナル型のキャッシュプーリング
キャッシュプーリングには資金集約を伴わないノーショナル型のキャッシュプーリングもあります。
「アクチャル型」のキャッシュプーリングでは各社の保有する資金が物理的にA社の保有する口座に集約されましたが、
「ノーショナル型」のキャッシュプールでは資金を1つの口座に集約せず、複数の口座にわけたまま、資金集約の効果だけを享受するタイプです。
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