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【GNUS新オフィス特集】 第1回:リモート率95%のGNUSがオフィスを拡大した理由-CEO・文分邦彦インタビュー

オフィス中央で回転するスペースGNUS DICE(ヌース ダイス)
株式会社GNUS 代表取締役CEO 文分 邦彦 株式会社電通営業局を経て、雑誌局で新規事業を立ち上げ、プロダクトマネージャーとして事業を推進。以降、クライアントの新規事業支援を行う。

世界中のメンバーとリモートワークでコラボするGNUSがオフィスを見直し

ー オフィス移転の背景は。

 GNUSは元々リモートワークを前提とした業態でした。これまでもオフィスはありましたが、社員全員フルリモートを前提としていて、出社しなければいけないという社員はいません。世界中の400名以上のフリーランス・ネットワークを活用してプロジェクトごとに最適なメンバーでチームを組むので、そもそもオフィスに集まることが物理的にできないケースが多いのです。
 しかし創業から3年以上経ち、フルリモートの課題も感じつつあったので、ワークスペースを考え直しました。コロナ禍の影響でリモートワークが急速に普及しましたが、我々の場合はその逆で、コロナ禍以前からフルリモートで働くことが一般的で、リモートワークだけでは解決できないチームや組織の課題を解決するために、オフィスからフロア面積を3倍に拡張しました。

ー具体的に、リモートワークの課題とは。

 大きく2つあります。1つは新しいプロジェクトがスタートする際、クライアントやフリーランスも含めてチームを組んだ際の、チームの立ち上がりの効率。初めの段階で実際に会って話すだけで、その後の回りくどいやり取りが減って後々どんどんコミュニケーションのスピードが速くなっていくようなイメージです。
 もう1つは、新たに入社した社員が会社に溶け込むスピード感です。2022年の1年間に8名が新たに入社しましたが、やはりオフィスで隣にいる方が組織に合流しやすいと感じます。リアルで会うことをルール化したわけではないのですが「オンボーディングはできるだけオフラインでやろう」という傾向に自然となっていきました。
 オフィスに期待されることはその日一日の資料を作るのに集中して作業するような場ではなく、チームとしてアウトプットをより良くすることです。その機能として「リアルの場所」にしかない力があると確信しました。これまでのオフィスには充分なスペースがなかったので、必要な時にすぐにオフラインで集まれる状態を作るためにワークプレイスの見直しを行いました。

GNUS新オフィス photo:Keishin Horikoshi

<仮説設定・検証>の考え方をオフィスにも応用

ー今後は新オフィスができたことで出社が増えると思うが、出社ルールは設けないのか。

 決まりだからとオフィスに来ても、そこにコミュニケーションは生まれないと思うんです。
 GNUSは統一した「正解」に合わせていくようなチームではなく、個々のメンバー・個々のプロジェクトの中での「正解」を全員で柔軟に見つけながらアウトプットしていく会社です。
 どのような環境で一番パフォーマンスを発揮できるかは個々人によって、またプロジェクトの状況によって異なるので、それに対応できるよう多くの選択肢を用意することを重視しています。出社ルールを作る予定もありません。

ー「柔軟性」を重視すると、必ず「統率」とのバランスが問題になるが。

 統率をあまり重視すると、柔軟性や自由さから生まれる価値が得られにくくなります。我々はアプリやWEBサービスなどDXプロダクトを開発する企業ですが、より良いプロダクトを開発するためには、リスク回避よりも「もっと良いかもしれない方法」にトライする姿勢が重要だと感じます。自由な発想で、多様な人材が立場にとらわれずアイデアを出し合うことで、従来型の組織体制では出てこなかった新たなアウトプットを産むことができると考えていますし、それが我々の強みだと思います。

ーオフィス中央の360度回転するフリースペース「GNUS DICE(ヌース ダイス)」も、これもその考え方から生まれたものか。

  DX領域のプロダクト開発とは<仮説設定と検証>を繰り返してブラッシュアップしていくものです。事前に全てを計画してその通りに形になるなんていうことはないので、検証の中で変えていくというマインドが大事です。
 オフィスも同様に、事前に細かくデザインし切るのではなく「デザインしない余白をデザインする」ことが大切だと考えました。「GNUS DICE」も、その「余白を作る」という考え方から生まれているものです。
 私自身はこれを「社員に積極的に使ってほしい」というよりは、これが使われるかどうかも含めて<オフィスのあり方の検証>だと思っています。このよく分からない空間がオフィスの真ん中に構えられていて、使いたければ使っても良いし使いたくなければ無視しても良いとなったときに、みんなはこの場所をどうするのかを見ていきたいと思います。
 これは「GNUS DICE」に限らず、オフィス全体を通して「どのように使われるのか」の検証はこれからです。

回転するフリースペース「GNUS DICE」は用途を定めておらず様々な使い方が可能 
photo:Keishin Horikoshi

空間だけでなく、街全体がオフィスの魅力をつくる

ー新オフィスは、六本木にあるワークプレイス「Kant.」の3階。この場所に決まった経緯は。

 GNUSの最初のオフィスは、新宿の駅前近くという日本トップレベルの喧騒の中にありました。その次に千駄ヶ谷に移転し、今度はとても静かで空気の良い場所だったのですが、「落ち着いて仕事できる場所」であれば自宅の方が良いという人も多かった。オフィスは、自宅にはない街の雰囲気も含めてスイッチを切り替えられることが大切なんだと感じました。六本木は飲食店も多いので、オフィス空間だけでなく街全体で出社するメリットを感じられると思います。

ー「Kant.」は「すこやかに働く」をコンセプトとしたワークプレイス。
 1階にはこだわりのコーヒー、料理、音楽やアートを提供するカフェ&ミュージックバーラウンジ「Common」があり、上階にはコワーキング利用できるワークラウンジも入っている。
 このビル内での交流や連携は。

 内装から全フロアに統一感があって、フロア同士で連携ができる「Kant.」は面白いですね。1階のカフェ「Common」と連携させていただいて、GNUS社員がコーヒーが無料で飲める社内サービスを作ったり、2階のワークスペースの一部をドロップインで使わせていただけることになりました。
 例えるなら、ご近所付き合いの活発なマンションに新しく入居したようなイメージです。マンション暮らしでも「近所付き合いは結構です」という家庭もあれば、食べ物やお土産をお隣にお裾分けするような家庭もあると思うんですけど、「Kant.」は後者のような雰囲気ですね。

CEO・文分邦彦

トップレベルのDX人材に選ばれるための環境づくり

ーフリーランス・ネットワークがGNUSの強みだが、今後、インボイス制度の施行などフリーランスを取り巻く環境も変わる。GNUSとして考えていることは。

 制度面は今年大きく変化しますが、DX領域ではまだまだ国内のスキルの高いフリーランスの方は貴重な存在で、売り手市場です。そういったフリーランスの方と連携して最適なチーミングができることへのニーズも高く、フリーランスの方々が活躍しやすい環境を作ってスキルを発揮していただくことが我々にとっても社会にとっても重要です。
 トップレベルのフリーランスの方に我々が選んでいただくためにも、オフィスを含めて多様な働き方の選択肢を用意し、やりがいを持っていただける環境を作っていくことが、GNUSのビジネスの基盤だと思っています。

ーありがとうございました。

次回は【GNUS新オフィス特集】第2回 プロダクト開発のメソッドをオフィス設計にも応用最大の実験が「GNUS DICE」-ワークスタイル・プロジェクトインタビュー


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