大豪雨‼︎季節外れの台風の中開催した初大規模イベント「JAPAN PRIDE」とは!?
タイトルの通り、一年かけて企画してきた野外イベントJAPAN PRIDE当日は、なんと大豪雨!?!
年間で最も降水確率が低い日を選んだにも関わらず、季節外れの台風が発生するなど、とんでもないインパクトのイベントになりました!
4年前からGNUの活動をしてきて、今回初めての大きなイベント主催になります!
JAPAN PRIDE 2024
イベントの想い
「日本人はダイヤモンドを捨てて、砂みたいなものを拾って喜んでいる」
ドイツ人建築家カールベンクス氏の言葉です。
海外の人の方が、日本伝統の魅力(ダイヤモンド)の魅力をよく知っていて、日本人はそれに気づかずに、そうでないものばかりを大切にして過ごしているという意味です。
この言葉を聞いて、衝撃を受けました。
伝統工芸を担う若手職人として、現代の日本人にこの現状と伝統文化の魅力を、今一度伝えたい一心で「日本の手仕事の魅力を再確認する場」を企画しました。
伝統は、「国民の宝」です。
コンセプトは"感性爆発"‼︎‼︎
学校では学べない。かと言って、家でも普段体験することはできない。
大人も子どもも、体験を通じて感性を育み、日本文化を学ぶ機会が必要だと思っています。
学校教育にiPadが導入され、1人1台スマホを持ち歩き、すぐになんでも調べられる便利な時代になりました。
"感性を磨く"ためには、画面から得る情報だけでは足りないと思っています。
自分の目で見て、肌で感じて、実際に話を聞いて、体験するからこそ育まれるもの。そして多くの方々に「日本の工芸も、かっこいいんだぞ‼︎」ってとこを見せる機会になればと、企画しました。
大豪雨の中、予想を遥かに超える来場者数!?
11月2-3日グリーンパーク山東にて開催した【JAPAN PRIDE -いま、僕らの考える暮らしと工芸-】
冒頭にも書いた通り大豪雨に見舞われた当イベント。それにもかかわらず、なんと当日は、北海道や東北、九州など遠方からもご参加いただき、ありがたいことに開催時刻になると、入場待機の長い列が出来ていました、、、。
2024年の今回が第一回目となる当イベント。
会場はキャンプ場を貸し切って開催しているため、1泊2日でキャンプを楽しみながら参加できる、アウトドアと日本の伝統工芸が融合した場。
もちろん当日は1dayフリー入場もあり、遠方から近隣の方まで参加していただけます。
キャンプインは前売り予約制で、2部に分けて販売しましたが、ありがたいことに一瞬で枠は埋まってしまいました。
参加者のInstagramでは数週間前から楽しみにしてくださる声があり、当日を迎える前から大盛り上がり。
しかし、日程が近づくにつれて雲行きは怪しくなり、盛り上がりとは逆に、天気予報はまさかの降水確率100%、、、
季節外れの台風が発生する始末に。笑
当日の朝まで、一体どうなるのか誰もわからないまま、幕が開かれました。
当初外で開催予定でしたが、グリーンパーク山東さんの室内会場のおかげで...
当初は野外で行う予定でした。
当日来場者さんに回っていただきやすいよう、マップもしっかり作成して完璧な状態で挑んだつもりでしたが、雨で急遽室内に大移動!!
前日大急ぎで室内のレイアウトをやり直し。念のため確保していただいていた室内会場がピンチを救ってくれました。
開催できたもう一つの要因はこのお方
JAPAN PRIDEは、名古屋の老舗和紙屋 柏彌紙店 (かしわや)店主の尾関良祐さんに全面的に協力いただきました!
名古屋の仏具職人通り(職人が立ち並ぶ通り)に店を構える柏彌紙店 。以前僕が丁稚奉公(修行時代)の頃働いていた地域で、お互いに馴染みの職人さんも多く、なにより業界の現状に危機感を感じていたところで意気投合。
尾関さんの主催するイベントに出させていただいたご縁をきっかけに、今回の企画をご一緒させていただきました。
尾関さんは名古屋でURBAN NIGHT OWL(アーバンナイトオウル)を主催運営されています。
東別院で焚き火を豪快にかましてしまうかなりぶっ飛んだお方ですが、当日はこの方の運営がなかったら成り立っていないことは確かです。
室内決行の采配など、さすがとしか言いようがない世にも奇妙な和紙屋さんです。
多くの"後援"をいただきました
JAPAN PRIDEは多くの公共団体にも後援をいただきました。
なんと、第一回目の開催にもかかわらず、県や市、教育委員会にもイベントを後押しいただくことができました!!汗
近隣の幼稚園や小学校にも呼びかけいただき、多くの方のバックアップのおかげで開催に至っています。
フライヤー大作戦
出店店舗は30ブース以上。飲食ブースも15店舗を超える、大きなイベントとなりました。
ありがたいことに、発信を始めてから多くの作り手様から「出店の熱いご要望」お声をいただきましたが、今回は全てお断りさせていただき、出店者様の募集は一切おこなわず、お声がけさせていただいた店舗様にご協力いただきました。
運営部隊は、私と妻、尾関さんに協力をいただきながら進めており、実質3名。笑
(この時妻はイベント3ヶ月前に出産を控えているという、とんでもないスケジュールでした。笑)
ですので、出展者さんとの連絡や会場の打ち合わせ、デザインや広報まで全て3名で行わなければいけませんでした。
正直準備が全く追いついておらず、、、
ここで、思いついたのが「フライヤー大作戦」という、いかにもダサいネーミングの作戦。
これは、日頃から活動を応援いただいている方々に、なんとかフライヤーを配るのを手伝っていただこうと呼びかけたところ、とんでもなく多くの方に拡散いただくことができ、おかげさまで合計2万枚のフライヤーを日本各地に散布することができました。
出店してくださった職人さんやクリエイターさんたち
今回出店いただいた方々を少しご紹介させていただきます。
情熱大陸出演 日本唯一のハリケーンランプを製造 WINGED WHEEL
大正13年創業、今年で100周年を迎え日本で唯一ハリケーンランプをつくる職人別所由加さん
その人気ぶりは一時予約5年待ちという状態になるほど...!!!
情熱大陸など多くのメディアで取り上げられ、今では予約もオンラインで数量限定でおこないますが、開始するとすぐに限定数に達してしまいます。
実は2003年、前身である3代目の会社は一度解散となっています。
先代である母、ふみこさんは「その灯火を消すわけにはいかない」と数年後に会社を再建しましたが、なんと直後に、信頼していた職人さんが亡くなられてしまい再びピンチに陥ったそうです。
「もうハリケーンランプは続けられへんかもしれへん...」
再びやってきた倒産の危機を救ったのが、女子大生だった娘 由加さんでした。当時音楽を学ぶために芸大に進学していましたが心配する母の反対を押し切り、家業を継ぐため大学を中退し会社に入社しました。
ただ、製造するノウハウは無く、資料もほとんど残っておらず、工場の金型を頼りに手探りで製造を進めるしかなかったそう。
現在は由加さんが社長になり、親子で会社を切り盛りされています。
だるま製造日本一のシェアを誇る高崎 だるま職人 だるま屋さく
群馬県から出店いただいた、だるま職人の小林さん。群馬県高崎市は日本で最大のだるまの産地、日本の伝統的な縁起物のひとつです。
高崎には職人が点在しており、だるまの形はどの職人もおなじだそうです。でもひとつ職人によって違うところがあるそう。
それはだるまの「髭(ヒゲ)」
ヒゲの形や表現が腕の見せどころだと言います。
小林さんは師匠に弟子入りを懇願した際、一度は断られたそうで、仕方なく他の職人さんのところを見て回ったのだそうです。
でもどうしても諦められず、再び師匠に頭を下げ、だるまの世界に入られました。
職人によって同じ髭は絶対にないそうですが見る人がヒゲの形を見ると、どの師匠に教わったのかがわかるのだそう。師匠の血統が弟子に受け継がれているわけですね。
タンスに眠る着物をアップサイクル 仕立て屋と職人-シャナリシャツ-
かつては嫁入り道具として両親や親族に託された着物。
これは、お母さんやおばあちゃんが大切に受け継いできたものですが、ほとんどの着物は明るみに出ることもなく、タンスの中で眠り続けているご家庭も多いと思います。
とていいモノだとはわかっているし、想いのこもったものだから大事していきたい。でも、どうしていいのかわからない...。
そんな着物たちを、デザインと心を繋ぐ動きでアップサイクルして小粋なシャツに甦らせるご夫婦。昨年末から始められたおふたりの活動に今、多くの方が注目し遠方からアトリエに来られる方もたくさんおられるそうです。
ある時、ご年配のおばあさんが大切にしていた着物をアトリエまで持ってきてくださり、後日よみがえったシャツを見て泣きながら喜ばれたそう。
モノを受け継ぐだけじゃない。
石井さんご夫婦は、かつて古くから日本人が着物と共に、大切にしてきた想いを受け継ぐブランドです。
刃物で遊ぶ文化をつくる FEDECA
明治28年創業。金物の町、播州三木の神沢鉄工さんが手がける大人気ブランドFEDECAさん。GNUでも、活動当初からご一緒していただいているブランドさんです。
「刃物で遊ぶ、文化をつくる」という熱い想いのもと日本の伝統的な刃物づくりを大切に活動されています。
FEDECAさんの手がける刃物は人と人を繋げてくれるツールで、精神的に豊かな体験をさせてくれるもの。
"モノには作り手の想いが宿る"と言いますが、まさにFEDECAさんの道具には職人さんの大切にされている心が伝わってきます!
日本一小さなジャパニーズウイスキー蒸溜所 長濱蒸溜所
長浜市にある日本最小規模のウイスキー蒸溜所「長濱蒸溜所」
100年後に喜ばれるウイスキー造りを目指して世界中のウイスキーファンに愛飲されています。
定番ウイスキーのAMAHAGANは、ワールド・ウイスキー・アワード2020やサンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティションなどで受賞歴を持ち、国内外で高く評価されています!
3年前にリリース後、今も人気の作品ウイスキーカップ「泉-izumi」を作製以来、ご縁をいただいてます!
"オソトデオチャ"アウトドアで日本茶の文化を繋ぐ 製茶問屋大島清吉商店
まるでキャンパーさんが山でコーヒーを飲むように、日本茶を飲む姿が広まるように。アウトドア×お茶 という斬新なコンセプトで茨城県で活動されている製茶問屋大島清吉商店 大島さん。
10年前からデザイナーlockさんがプロデュースする"アウトドアモンスター"と共に、日本茶の文化をアウトドアユーザーさんに広めてこられました。
"スリスリ"と呼ばれファンの中で親しまれているワークショップ。アウトドアギアにアウトドアモンスターのシルクスクリーンはいつも大人気!
当日も多くの人が、モンスターをスリスリされていました。
大盛況に幕を閉じました
ありがたいことに多くの方のご協力もあり、無事幕を閉じることができました。
学生時代の教育では、基準は全て欧米。授業ではゴッホ、モネ、ピカソのような西洋美術ばかりで、日本の文化は学ぶことはありません。
日本人なのにどうしてでしょう?
「日本人はダイヤモンドを捨てて、砂利みたいなものを拾って喜んでいる」
実は、すぐそこに大切にしないといけない宝石があって、それらは今まで先祖が大切に守ってきました。
失ったものの大切さは失ってから気付くもの。そして失われてからでは、もう手遅れだったりします。
JAPAN PRIDE -いま、僕らが考える暮らしと工芸-
これからも続けて開催できるかはまだわかりません。
でも、またお会いできる日がきたらそのときは、あの大雨の日のように、笑いながら「久しぶり!」と言い合える、そんな関係でありたいと思います。
ご来場いただいた皆様。本当にありがとうございました。これからも、僕たち作り手と使い手が一緒に、文化を未来に継承していきましょう。
「消費者から愛用者に」