事例研究の大変さと意義
先月、5年かかったケースレポートが学術雑誌に掲載された。執筆したのは当研究室で5年前に修士を取得した卒業生だった。
認知症病棟で、睡眠デバイスを使って看護展開が明確になったというものとその転帰について看護介入も含めたケースだった。対象がレビー小体型認知症なので最初は専門誌、それでダメなら看護老年、看護一般などいろいろチャレンジした。対象者は20人弱いたが、わかりやすい結果が出たのが2割程度だったので、それをどの様に出そうと思案しながらの執筆。医学論文のようにその症例自体がレアであるというようなものでもなく、取り組み自体が非常に勉強になり、看護の実践が可視化できたので、絶対ケースで出したいと、その卒業生も粘りに粘り、もう諦めかけたところで、途中微妙にハゲタカジャーナルみたいなものにも遭い(途中で怪しいと思いwithdrawal)、数えきれず本当に苦労して、古いデータでも再構成を繰り返しながら、結果的に結局OAジャーナルではあったが、まあまあの専門誌に掲載された。早速何人かの研究者から問い合わせがあり、苦労が報われたと思う。
事例研究と侮るなかれ。看護の実践は一つ一つの積み上げによってできている。