見出し画像

【グロ注意】失われたものは何か?

本記事にはグロテスクな内容及び生命に対する重大な冒涜が含まれている可能性があるので、ご了承の上お読みください。




検索窓に打ち込むことで任意の情報を自在に得ることができる現代インターネットには、「検索してはいけない言葉」という語群が存在する。
存在する、というか、これはまぁ一般的に閲覧が憚られるグロテスクないしオカルティック、インモラルな記事を総称したもので、別に誰かが検索してはいけない言葉を編集して「これ!」として公開しているわけではない(個人でまとめているサイトならいくらでも見つかるだろうけど)。


その検索してはいけない言葉群の中に、「ひよこミキサー」という言葉が存在する。
ひよこミキサーで検索すると大体二種類の動画ないし記事がヒットすると思う。
一つは単に露悪的にひよこをミキサーにかけてグロテスクな様を見せつけているもの。
もう一つは畜産的に不要なオスのひよこを屠殺しているものである。

今回私が扱う話題はこの両方に関係のある普遍的な話題である。
思考実験や哲学を好む界隈では既に語られまくっているであろうその話題とは、「ひよこをミキサーにかけたとき、何が失われるか?」というものである。

ごく直感的に答えるのならば「生命」というのが回答として妥当だろう。
この疑問に初めて直面した私はそう答えるのが癪な気がして色々考えた結果「熱」を答えとして納得したはずだ。これもあながち間違いではあるまい。

直感的なだけあって「生命が失われた」という回答は硬度が高い。
ミキサーの結果をどこからどう見ても生命が失われたことに対する反論材料は見つからないだろうと思う。
「熱が失われた」というのはつまり生前のひよこが活動するに当たって持っていた体温だとかが、身体機能を失うのに伴って消失するという考え方だ。摩擦熱で一時的に温度が上昇したりすることはあろうが、結果的にはひよこをそのまま放置しておくよりも発生する熱は低くなるはずである。

他にはどんな回答が考えられるだろうか。
例えば「形」「ひよこ」といった答えはどうだろうか。
攪拌されることによって一つの塊ないし無数の粉塵となり、形と名前を失う。妥当な考え方だろう。

「可能性」という考え方はどうだろうか。
そのひよこが生育していったとして発生しうる諸々のイベントを、ミキサーにかけることによっていっぺんに消去する。
成長して鶏となったひよこが死んで腐敗していくのと、肉塊として腐敗していくのとではどこか違いがあるように感じられる。

より難しい話になると「乱雑さ」という概念が失われるということもできる。
これは失われるというより、「エントロピーが増大する」と言い換えたほうが通りがいいかもしれない。
ひよこという熱を持ち形を持ち身体の構成成分に部位ごとの偏りがある実体がミキサーによって均されることによって、どの部分を取っても同じの肉塊と化する。
私は熱力学者でも物理学者でもないのでこれ以上のうかつな発言は控えるが、要するに「ひよこからより安定した状態に遷移した」ということが言える。

と、色々と考えてみたが、如何だっただろうか。
これを読んでいるあなたが納得のいく回答は上記の中に見つけられるだろうか。それとも全く別の考え方で失われたものを定義しているのだろうか。

話題としては少々グロテスクだが、こうやって色々な考え方を試してみるのは中々に面白いことだと思う。


最後に、「何も失われていない」という選択肢を提示して、この記事を終える。


いいなと思ったら応援しよう!