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【アカネ落城 2】
ーーどんなシーンにも選択肢がある。
結果は安牌でリスクの少ない、平凡な選択か。
結果は未知数でハイリスクを犯すかもしれない挑戦的な選択か。
どちらにするか悩むのは、多少なりとも『冒険心』を秘めているからだろう。
しかし、その冒険の正否は冒険に出てみないと分からない。
そもそも、冒険をする事に対する正否も、冒険をするルートを辿ってみないと分からないのではないだろうか。
そう考えると、たまには『冒険』をしてみるのも良いかもしれない。
ーー但し、ハイリスクを覚悟してから臨め。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
卯木は好きな音楽に携わる仕事がしたくて、ライブハウスで働きながらも、それだけでは稼ぎが足りず、副業で結婚式で使用する映像制作もしていた。
昼間の仕事は家で、夜はライブハウスへ。
茜が至極好きで、一緒に暮らす為に。
充実した生活の為に、卯木は働いた。
傍から見れば、真面目にコツコツと努力している好青年だろう。
しかし、卯木には悪い虫が付いていた。
この悪い虫は、卯木の働くライブハウスの先輩、壱衣(いちい)。
壱衣は卯木より1つ上の29歳。
やんちゃな性格で暇つぶしと称しては、女遊びが派手だった。
若さを謳歌する壱衣は、この楽しさを分かち合おうと、卯木をそそのかす。
「長く付き合ってるとさ、飽きてくるだろ?ちょっとは遊ぼうや。」
この誘いに卯木も初めは躊躇したが、壱衣が何度か声を掛けるうちに、折れた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
始めは卯木も、自分がしている事に恐怖心があった。
次第に罪悪感を感じ、今では感情は麻痺したのか…
何にも感じなくなった。
楽しく遊んでるだけ。
それは虚しくもあり、その時間だけは非現実のようで。
卯木は壱衣と、ただただ…楽しんだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「この日、遊ぶから卯木も空けといて?」
それは、壱衣が卯木への誘い文句。
携帯でカレンダーをひらいて指差す日付を見る卯木。
「壱さん、オッケーっす。」
卯木の返事は軽快だった。
そして、卯木の非現実はやってくる。
この時の卯木は、開放感に満たされる。
初対面の女と、楽しく過ごす方法を壱衣から学び、どうホテルまでエスコートするかも慣れた。
そして、色んな女のカラダを知っていく。
「今日の子は、良かった。」「あの子はあんまりだった。」そんな、レビューを壱衣に報告する。
その中で良い評価を得た女は、卯木のSNSと言う表彰台に登れる。
卯木は楽しい事があれば、SNSで写真にコメントを添えて記録していた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
茜はそれを見て「随分、楽しかったみたいだね。」と、思いながら…卯木の帰りを待った。