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White Light/White Heat - Early 70's Hollywood Reissue #1

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70年代初頭 ハリウッドリイシュー

The Velvet Underground
White Light/White Heat
Verve Records – Hollywood Reissue (Early 70s Repress)

Hollywood Reissueと呼ばれる1972年頃から74年の間に出たUSリプレス盤Discogsのリンク)です。Hollywood Reissueにも、特徴の少しずつ違う複数のエディションが存在しています。

サンセットラベル=ハリウッドリイシュー

Hollywood Reissueには、Sunsetラベルが付いています。Sunsetラベルとは、1972年頃から1974年の間だけ、ラベルのリムに記載されたレーベルの所在地表記に「SUNSET BOULEVARD」が含まれる時期のラベルのことです。SunsetラベルのあるVerve盤WL/WHは「Hollywood Reissue」と呼ばれます。(参照記事

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ラベルに妙な特徴

僕の持っているこのHollywood Reissueのラベルには、どういうわけか、モノラル盤の品番「V/5046」とステレオ盤の品番「V6/5046」の両方が書かれています。どんな経緯でなんのためにこうなっているのかは、よくわかりません。モノラル盤とステレオ盤、両方のヴァイナルに兼用のラベル(部材のあたま数を減らしたかった)という意味なのかと考えたりもしましたが、Hollywood Reissueの年代になってもなおモノラルとステレオを兼用するメリット、ほんとにあったんでしょうか。真相を知りたいです。

ラベルのテキスト

1972年以降の一時期のVerve盤では、ラベルのテキストに、Varityperという植字機、もしくは、IBM社製のSelectric typewriterという電動タイプライターによるフォントが使われいるとされています。このHollywood Reissueのラベルも該当しており、ちょっとガタガタした植字がアメリカンです。オリ盤のラベルに並ぶテキスト群と比べて、安っぽいです。

KマークとSマーク、なんなんこれ…

ランアウト(ラベルの外側の溝のないヴァイナル部。デッドワックスとも呼ばれる場所)に「K」が刻印されています。このKマークは、New YorkにあったKeel Mfg. Corp.のプラントでプレスされたことを示しています。

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Kマーク

Keelプラントは、BloomfieldのMGM直営のプラントが1971年に閉鎖されたため、その後にプレスに使われた東海岸のプラントです。Keelプレスの特徴としては、 センターホールの外側に直径約11mm(0.4375インチ)の極薄線と、直径約70mm(2.75インチ)のDGができるのが特徴とされています。このレコードも(センターホール外側の極薄線は画像ではわかりにくいてすが)まさにKeelプレスと思われます。

気になるのは、B面のKマーク刻印がなぜか逆さまの「ʞ」になってることです。ほんで、この刻印がやたらと薄い。

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ʞマーク

もっとわからないのは、逆さまで薄いʞマーク刻印に加えて、ひょこゆがんだ袋文字の「S」マークも刻まれているんですよ…。Sマークは、BloomfieldのMGM直営のプラントでプレスされたことを明示する「S」です(参照記事 : 「White Light/White Heat - US Original Later East Coast Press(プリントミス有り)」)。つまり、プレス工場を示す記号が2つ刻まれているんですわ、Keel印とBloomfield印と。どういうことなんだ、わからん…。

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Sマーク

Hollywood ReissueやOakfield Reissueの一部に、A面モノラル、B面ステレオのプレスミス仕様があることは、よく知られているのですが、もしかすると、それとこれは関係があったりするのかもなあと思わなくもないです。なんらかの理由で、レコードの表と裏でプレス工場が違うのかもしれない(知らんけど)。だとすると、そういう特殊な状況下で、A面モノラルB面ステレオのプレスミス盤が出来上がったのかもしれない。マトリクスナンバー(マト1、マト2などのプレス世代)がAB面で違うことはぜんぜんあることですけど、プレス工場が違うことってほんとにあるんでしょうか?いや、でも、もしも、Sマークの言う通りに、本当に片面Bloomfieldプレスなのであれば、プレスリング(DG)の形状がこのレコードのそれとは矛盾するんですけどね…(参照記事)。詳しいアメリカ人にきいてみようと思ってます、情報が増えれば追記します。。

いい音のするレコード

サウンドは、オリ盤にある中低域のコシが若干弱く、その分高域がクリアに鳴ってる印象。意図的なイジリはなく、しっかりオリ盤の系譜上にあるサウンド(←この点は僕としては結構重要)で、所有するオリジナル盤以降のアナログWL/WHの中では、好きな音の部類。Hollywood Reissueは、判別さえできれば、おそらく2500円程度で入手できるはずで、WL/WHをアナログ盤で聴いたことのない方にもおすすめです。(ただし、A面モノ+B面ステなどのプレスミスが絡むと値段は若干上がります。)

スカル柄は無い

このHollywood Reissueにはスカル柄はありません。ただ、Hollywood Reissue=スカル柄ナシ というわけでは決してありません。スカル柄アリのHollywood Reissueもあります。つまらん話ですけど、、仮にスカル柄があっても、ラベルがSunsetであれば、その盤をUSオリジナルとはふつうは呼ばないと思います。

裏ジャケクレジットは少し変則

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この盤のクレジット仕様はざっと以下のような感じ。

曲名の誤表記
There She Comes Now(未修正)

Lou Reedの担当楽器名
Lead Guitar(未修正)

Cover Conceptという項目
Andy Warholの表記ナシ(項目ごと削除済み)

初期仕様との比較で言うと、Andy Warholのクレジットを削除しただけの状態です。表ジャケにスカル柄ナシなので、Warholクレジットが削除された、いうことです。曲名の誤表記(Here/There)と担当楽器のクレジット(Guitar/Lead Guitar)については、僕の所有する後期USオリジナル盤(参照記事)では既に修正されているにも関わらず、それより後発のこのHollywood Reissueで未修正ということになります。裏ジャケのクレジットの修正・未修正に関しては、全体的にみて、年代に即した規則性があるとは言いがたいです。ただ、ある時期以降に出た「もうWarholクレジットは消せ」という指示だけは、徹底して遵守されていたようにも見えます。

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