![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/83713695/rectangle_large_type_2_4cf41f523036006cacff890a1bc34bc3.jpeg?width=1200)
パリでトップフローリストにブーケレッスンを受けた10年前のこと
私とParisのはなし
2011年11月
やはりあのマジカルでそして奥深い魅力の、斎藤由美先生のお花の世界観を学ぶべく、1週間の休暇を取ってParisへ初めての海外ひとり旅へ飛び立った。
4日間の短期集中コース。
そして郊外へのショートトリップが目的だった。
ホテルも活動の中心となるrosebudへ徒歩10分の距離の左岸にとった。
そこは有名老舗デパートle bon marcheの向かいの小道にある、スモールラグジュアリーホテルだった。
早朝5時頃ホテルに着きチェックインはまだできないので、とりあえず荷物を置くと、「まだ早いけど簡単なものならいいよ」と朝食を摂らせてくれた。
優しい人たちのいる場所だった。
rosebudでの最初のレッスンはいきなり、トップフローリストのVincent Laissard氏のLessonだった。
Vincent Laissard氏は高級maisonや3つ星ホテル
高級ショコラティエ等々・・・
星の数ほどの重要な仕事を抱える引く手あまたのパリのトップフローリスト。
その人柄は気さくでキュート。
凄い人なことを一瞬忘れてしまいそうなほどフレンドリーで温かい。
その日もThe日本人感覚で開店前にお店に着いてしまった私を、由美先生がまだいらしていなかったし(本当に早く私が着き過ぎてしまった…)、私はその時はフランス語もちっともわからなかったのにヴァンソンがお店の中に招き入れてCafe飲む?とエスプレッソをふるまってくれた。
(ありえないのでこんなことはもう2度とすることはなかったけれど…)
ヴァンソンのレッスンはまずヴァンソンがデモを見せてくれて、その花束を解いて今度は自分で束ねるスタイル。
言葉については由美先生が
パリスタイルとは?ヴァンソンとは?
ヴァンソンのお花の特徴とは?
等の解説を入れて下さりながら通訳してださいます。
ヴァンソンはいつも
「自分が綺麗だと思えばいいんだよ。」
「どんどんやってみて。」
「ルールなんてないんだよ。」
と心が軽くなる言葉をかけてくれる。
ヴァンソンはいつもお気に入りの音楽をかけながら、鼻歌交じりにごきげんに花束を束ねている。
私たちがブーケを組むときに陥りがちな
堅苦しさや小難しさや悩むような素振りなんて
微塵もない。
束ね終わると「綺麗だろ。」と楽しそうに言う。
解くのがもったいないそのブーケをまずは写真にいっぱい収めて、ため息交じりにわたしは解いていく。
その間ヴァンソンは外でタバコをくゆらせている。
由美先生は温かくパリについてやrosebudのこと、ヴァンソンのこと、パリの花事情など…
たくさん楽しいお話を語りかけて下さるので、緊張はいつの間にかどこかへ行ってしまう。
ブーケを束ね始めるとヴァンソンが戻ってくる。
「いいね」と言いながらもブーケを何気なく手にして、ヴァンソンが束ねてしまう。
初めての時は
「あれ?これレッスンだけどいいの?」
と思ったりしたけれど、ヴァンソンが束ねるところを目前でみられるなんて、こんな貴重な体験はない。
回を重ねるごとに
「私が束ねてるんだからかえしてよー!」
などと奪い返すようになったりしたけれど…
初めてのヴァンソンのレッスンは抱えきれないほどの夢のような色の秋色アジサイのブーケシャンペトルだった。
このブーケは由美先生のご著書
『シャンペトルのすべて』に載っているので
ぜひご覧になっていただきたいなと思っています。
こんなに楽しいことがあるのだろうか?と感じるほど、夢見るような心躍る時間だった。
寒かったのもあったけれど、初めてのParis一人旅、初めてのヴァンソンLesson。
硬くなっていた私だったけれど、あの時の写真をめくっていくと、どんどん表情が変わっていって最後にはものすごれい笑顔になっている。
写真は良い瞬間を逃さない天才の由美先生がいつの間にか撮ってくださっているので、一切作った顔がない。
ヴァンソンのレッスンはレッスンの時はとにかく人生で1度体験してみてほしいことのひとつ
だということは間違いないです。
さて、パリでのフラワーレッスンの話はまた次の回へ譲るとして、Parisで素敵なお花を抱えていると起こることを私の体験を交えて書いてみます。
まずParisの人はお花を抱えている人に優しい。
そのブーケが美しかったらそれはもう敬意をもって接してくれるんです。
私はこの日のレッスンの後、ランチを取りに近くにある高級子供服店、ボンポアンのCAFÉへ私の上半身がすっぽり隠れるほどのアジサイのブーケを
抱えて入った。
(すごい度胸だな…今思えば…)
嫌な顔をされるかと怖々していたら、「ここのお席にどうぞ」と広いテーブルを案内してくれた。
そして
「こちらの席はそのブーケのですよ。」と。
こんな素敵な言葉聞いたことないわ♡と感激でいっぱい。
でもちゃんとそのとき食べた、アップルクランブルタルトの味は覚えている。
その後もホテルへの道すがら
そのブーケ見せて!
とか
写真撮っていいい?
とか
Parisの普通に街行く人に、こんなに気さくに話しかけられたことないわ!というくらいの体験をした。
一番初めにParisへ行った24歳の私に、「Parisは素敵な街だよ」と、もしタイムスリップができるなら教えてあげたい。
あ、でもですね。
そんな中でももちろんスリにはご用心ですよ。本当にそこいら中にいますからね。
不思議なことにこんなうっかり者の私が、一回もすられたことないんですけどね。
では次回は由美先生のレッスンや
できればヴィジットのお話など書いていければと
思います。
では皆様良い週末を。