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Twitter買収が示す「Web2.0」的なものの終わり

(これはほぼ安達のエッセイです)

10月末にTwitterがイーロン・マスクに買収され、11月3日には大規模なレイオフが発表され、トレンド / ニュース欄の更新が止まって以降いろいろな試行錯誤や混乱が漏れ伝わってきている。PayPal・テスラ・スペースXを作った起業家としてイーロン・マスクには尊敬と憧れの念を抱いているし、僕自身2007年から15年以上Twitterを使っているツイ廃でもあるので、動向から目が離せない。

Twitter買収によって明らかになった「ニュース欄の手動更新」

Twitter Blueを巡る騒動も面白いのだが、やはりレイオフでキュレーションチームがクビになったとされ、ニュース欄が11月3日で止まってしまったこと、つまりニュース欄の更新は手動だった(テック企業とされていたのに)こと、止まってしまった記事一覧をみると朝日、ハフィントンポスト、BuzzFeedなどの左派とされる(というか朝日資本の)メディアが多く見受けられることが明らかになったのは、僕の生業と絡めて考えてしまい興味深かった。(ちなみに、その後すべてクリアされてこれはもう確認できなくなってしまっている。錦戸亮の誕生日も終わってしまった)

キュレーションが手動なのは衝撃だけれども、たしかに現在のこの世の自然言語処理技術のレベル的にはそれもそうか、Twitterにもマジックはなかったのかということだが、リベラル系メディアとの結びつきは何故だろう?

Twitterはメディアとして生きるうえで、広告を出稿してもらうための「健全性」が求められる。そのため、現代においての正しさの規範としてのポリティカル・コレクトネス、左派と結びついた、という見方ができるのだろうか?

その結果もたらされたものは、終わりのない左右の罵倒合戦と、フォローしていない話題が流れてくるタイムラインであった。

Twitterはなぜ「おすすめ」を操作していたのか

そういったものが白日の下に晒されたようで反発が起きたのだが、どうやら人間は操作された「おすすめ」を嫌うらしい。

食べログの点数・ランキングを巡る騒動も記憶に新しいが、Twitterも同じことを、さらに好き嫌いの分かれる政治的な話題について行っていたことになる。

もしかしたらこれはレッシグ的な「規制」の話なのかもしれない(と、大向さんにご指摘いただいた)。

CODEの文脈でいうと、規制とは「法」「規範」「市場」「アーキテクチャ」の4点として捉えられるそうだが、言論空間の健全性という「規制」に対して、Twitterは「規範」という武器で立ち向かったのではないか?

そしてこれが人々の反発を招いているのではないか?

というかイーロン・マスクがそうじゃないだろと反発したので買収に至ったのではないか?

イーロン・マスクは僕の知る限り、Twitterを無秩序にしたいと言っていることはなさそうで、さらに彼の言動を見る限り「アーキテクチャ」による規制を強く志向しているようにみえる。

Twitterのおすすめ操作が許せなくて、Googleだと我慢できるのはどうして?

これはGoogleのスタンスと一緒だと思っていて、彼らも検索結果をランキングする(そういえばTwitterもシャドウバンではなくランク付けです、と説明していたな)ものは "アルゴリズム" であると、強く主張している。
そして、皆は文句はいいつつもこれに従っている。

Twitter、食べログの規制は許せなくて、Googleの規制は我慢できるのはなんでだろう? というのが僕の興味で、これは規制の4要素を、人間の集団の局所性というか、同じルールを共有できる人間の規模(人数)・まとまりの違いとして考えられるのでは?というのがとりあえず思いついた仮説でこの文章はその話をしたくて書いている。

つまり「規範」<「法」<「市場」<「アーキテクチャ」の順で人口に膾炙しやすいのではないか?

「市場」と「アーキテクチャ」はITとグローバリゼーションによって国境をも超えることになったが、逆に「規範」については国の中でもいくつかのグループに分けられるほど狭い。
だから、Twitterは各国にキュレーションチームを作るはめになったのではないか?(=つまりテック企業的選択ではない)。

一連の騒動にみる「Web2.0の終わり」

Web2.0とか言われてた00年代には、Webサービスを回すうえでこういう配慮が必要だなんて誰も考えてなかった。

いやレッシグ達はもちろん90年代から考えてたんだけど、実際に目の前でサービス作ってる人たちはあんまり考えてなかった。
たぶんそう。僕がそうだったから。僕がマヌケなだけかもしれないが、だって、作るのが楽しいから。

でも今から作るサービスは絶対にいる。永遠にβ版です、なんて許されない時代になってしまった。牧歌的な時代は終わってしまったのだ。
規制がない(規制を考えていない)サービスは容易にスラム化する。

アーキテクチャ(か、市場)で規制を作れないサービスは国境を超えられない。

じゃぁみんな大好きWeb3 / DAOはこういうのどうすんだろう? ブロックチェーンの上で動く具体的なサービスでこういったことを考えてんだろうか? レッシグがCODE 3.0を書いてくれるんだろうか?

Decentralizedが目指す世界観っていうのがいまいち分からない。緩い独裁制を志向しているように見える。
そうするとそのコミュニティの足枷となるのはコミュニケーション的限界で、逆に言うとコミュニケーションが可能なサイズの世界でCenterをDeしたいって何だ? あんまり知らないのに色々書いてもアホなので止めよう。

続きはCODE 2.0を読んで、Web3 / DAOのコードを書いてみてから考えたいと思います。


ちなみに、話がちょっと変わると、「人々に話題にされた」ことを基準として記事を選ぶと、スポーツ新聞的な話になりやすい。

結局、人々に分かりやすい、共通に話題にしやすいものというのは、天気とかエロとか、勝ち負けのような二元論の話なんだろう。
凄惨なウクライナ戦争でさえ、人々はスポーツの勝ち負けのように消費している、という批判もあった。

というわけでたまにはこんな記事でした。


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