異常【アノマリー】
メチャクチャ面白かった...!
ユニークな登場人物たち(殺し屋、作家、ミュージシャン、弁護士etc...)の日常を丁寧に描く第一章。
彼らには同じ飛行機に乗り合わせた過去があり、たったそれだけの理由で訳もわからず国家機関から聴取を受けるハメになる。
と、ここまではミステリー要素満載の群像劇といった趣き。
が、中盤から一転。予想不能の超カオティックな展開に突入していく。
この先盛大なネタバレ。もし読みたいと思ってる方はご注意。
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実は問題の起きる可能性があるのは「彼ら」ではなく、「もう一方の彼ら」だった。
なんと驚いた事に、3ヶ月前に彼らを乗せて帰還したのと「全く同じ飛行機」が、「全く同じ乗客」を乗せ、再びニューヨークに降り立ったのだ。
この前代未聞にして未曾有のニュースは瞬く間に世界を駆け巡り、やがて国や政治、また宗教をも超えた議論を巻き起こしていくのだが...。
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いやはや、ミステリーだと思ってたらいきなりSF。そしてこのプログレッシブなストーリーをシンプルに「異常」の一言で片付けタイトルにする筆者のセンスが好き。
都市伝説では、もう一人の自分、つまりドッペルゲンガーに遭遇すると「死ぬ」とか「世界線が狂う」とか言うじゃないすか。
が、現実問題として、同じ人間が存在し出会ってしまった時に起こるのは、そんなに単純なインシデントじゃない。
短くて長い3ヶ月の間にも地球は回ってる。
殺し屋は新しい自分と報酬を山分けするのか?
死人は生き返ったことにされるのか?
売れっ子ポップスターは売れない自分を認めるのか?
恋人は新旧どちらのパートナーとセックスをするのか?
妻は新旧どちらの夫の子を産むのか?
子供は新旧どちらの親を選ぶのか?
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科学や物理学、またどんな倫理観や宗教観をもってしても、誰一人として答えを導き出せない問題に直面した人間の苦悩。
各国首脳会議や高名な科学者、宗教指導者たちによる論争がクソの役にも立たないクダリは風刺が効いてて良かったな。
ちなみに筆者はフランス人なんだけど、話の舞台をアメリカに設定して、いかにもアメリカを中心に起きそうな現代病の側面を描いてる点も秀逸。
非常にテンポが良く、それでいて圧倒的なリアリティで描かれる異常な世界に、完全に引き込まれたっすねぇ。
#アノマリー
#異常
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