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ケン・グリムウッド『リプレイ』

ジャーナリストとして働くジェフは、43歳の秋に突然死んだ。

気付くとジェフは見覚えのある学生寮にいた。なんと彼は、18歳の頃の自分に戻ってしまったのだった。

前世の記憶と知識をキープしたまま二度目の人生をリプレイするジェフだったが、それは途方もない長旅の始まりに過ぎなかった...。
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以下、一部ネタバレ

初版は1986年で、もう40年近くも前の小説。

いわゆるタイムリープもので、映画で言うと『バタフライ・エフェクト』みたいなヤツ。
主人公はより良い生涯を送るべく、何度も何度も人生をやり直す。でもコレがなかなか思うようにいかないのよねぇ。

本作も同様。
ギャンブルと投資ですぐに金は集まるんだけど(結果を知ってるからね)、いかんせん人間関係が一筋縄ではいかない。

良かれと思って取った行動が裏目に出たり、タイムラインに変化を加えて歴史を改竄してしまうハメになったり。

で、ジェフは3回目か4回目のリープ時に『星の海(スターシー)』という映画の存在を知るんすよ。

監督 
スティーヴン・スピルバーグ

創作顧問及び特殊効果監督
ジョージ・ルーカス

脚本及び制作
パメラ・フィリップス

「え、スピルバーグとルーカスってそんな映画撮ってないよなぁ。つーかパメラって誰?」

と思ったジェフはすぐにパメラに会いに行くんだけど、実は彼女もタイムリーパーの一人だったのよね。

この展開にはマジでシビレた。

彼女は未来の巨匠を発掘し、自分の身に起きている理不尽な出来事、新しい概念を、映画によって人類に知らしめようとしたんすな。

以降はこの二人を中心に物語が進んで行くんだけど、結局二人は8回位リープを繰り返すのよ(※本作は文庫で500ページ越えの大作であります)。

でも回を重ねる毎に、目を覚ます日時は段々と後ろ倒しになり、場所も変わるんすね。

ただ、死ぬタイミングだけは毎回変わらない。

つまりリープする毎に、生きられる時間が少なくなっていく。ここがミソなのよね。

それと、死んだジェフが新しいタイムラインでパメラに会いに行ったところ、彼女はまだリープ前だったために「あんた誰?」みたいになったりするのも面白い。

で、ラストはねぇ。
グッドでもなきゃバッドでもないって言うか...。

ただ、その時その時を大事にとか、人生は絶対に自分の思うように、自分の最もタメになるように生きるべきで、可能性は無限。

そんなメッセージはダイレクトに心に響いたし、同時に無職の身にはなかなか痛烈な激励のようにも感じた次第。

にしても、実に40年近くも前に、こんなに優れたタイムリープ・エンタメが存在してたなんて。

ある意味、原点にして頂点と言っても差し支えないんじゃないすかね。

#リプレイ
#ケングリムウッド
#replay
#kengrimwood
#sf小説

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