『殺しへのライン』
文芸フェスに招かれたホーソーンとホロヴィッツの二人は、奇妙な連続殺人事件に遭遇する。
早速手掛かりを探るホーソーンだったが、一癖も二癖もある容疑者たちによって、彼の捜査は撹乱されていく。
しかもその中には、ホーソーンが職を退くキッカケを作った因縁の男の姿もあり...。
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つーコトで、〈ホーソーン×ホロヴィッツ〉シリーズの第3弾『殺しへのライン』。
ホーソーンは、ある事件を機に警察を退職した元刑事。
その後は探偵として警察に独自のパイプを持っている謎多き中年。
彼はかねてから、自分の関わった事件を、誰かに小説にして欲しいと考えていて。
そんなホーソーンの打診を受けたのが、脚本家であり小説家の、アンソニー・ホロヴィッツだったんすな。
そう、ホロヴィッツは本作の著者。
つまり著者本人が物語の登場人物で、主人公であるホーソーンの助手として一緒に事件を解決していくのが、〈ホーソーン×ホロヴィッツ〉シリーズってワケです。
所謂メタ・フィクションていうヤツですね。
ココが本シリーズ最大の特徴であり、魅力だと思う。
しかもホロヴィッツのパーソナリティは、少なからず現実とリンクしてるんす。
だから物語との境界線が曖昧になって、かつてない没入感を生むんすなぁ。いやぁ、面白い。
内容はシャーロック・ホームズの系譜を継ぐ、犯人当て&謎解きミステリの王道ですね。
巧妙かつ斬新な殺人トリックの描き方もさることながら、個性豊かな登場人物たちのパーソナリティとか心理描写が素晴らしい。
特にホーソーン&ホロヴィッツ2人の距離感、関係性から目が離せない。
ホーソーンは自分から小説執筆の打診をしたくせに、ホロヴィッツに全然情報を提供しないんす。
当然ホロヴィッツはそれが気に入らない。
なので時折独自に捜査を試みたりするんだけど、それが結果としてホーソーンの足を引っ張ったり、自らを危険な目にさらしたりするんすよね。
ホーソーンはそんなホロヴィッツの行動に逆にイラつきながらも、圧倒的なダンディズムで全てを包み込み、沈着冷静かつ冷徹に犯人を迫いつめていくんす。
そこにシビれる、憧れるゥ!
基本は仕事仲間としてしっかりと線を引いてる二人の距離感が、事件を通じて時折接近しエモくなるところも胸熱。
この関係が今後どうなっていくのか。
楽しみですなぁ。
で、このシリーズは全10部作になる事が予定されてるんだけど、現時点でまだ5作。
まだまだ読めて嬉しい限り。
#アンソニーホロヴィッツ
#殺しへのライン
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