星を継ぐもの
いわゆるハードSFの代表作。
ちなみにwikiによると「ハードSF」とは、「科学技術、とくに既知の天文学・物理学・科学・数学・工学などの正確で論理的で厳密な描写と、これらの科学知識に裏付けられた理論上可能なアイデアが中心となっている」SF作品とのこと。
本書で言うと、「約5万年前に死んだと見られる人間の遺骸のようなモノが月面で発見された」って部分はもちろんファンタジーなんだけど、それ以外の部分については、限りなく事実に基づいたストーリーになってるっつーワケです。
専門用語、読み方の不明な漢字など情報量が満載で、その言葉だったり文章の内容をいちいち咀嚼したいワタシなどには、なかなか手強いジャンルなんすよねぇ。
だいぶ前に挫折したっきり距離を置いてたんだけど、俺もその頃よりは多少賢くなってるやろと思って、ようやく手に取ってみた(どうせヒマだし)。
内容は「見つかった遺骸のルーツを探る」っていう至ってシンプルなモノ。
異星人との戦争も起きなければ、宇宙船内で未知の生命体に襲われるコトもないし、無重力空間に放り出されて地球への帰還が危ぶまれたりもしない。
だから派手なエンタメを期待する人には少し退屈かもしれないなぁ。
結果やっぱり時間は掛かったし、なんだかんだ読み飛ばした場面も多かったが、多少なりとも増えたSFの知識が想像力を補ってくれて、なんとか読了した感じっすねぇ。
それでもラストにはどんでん返しというか、まさかの展開が待っていて驚いた。
で、本書には続編があるのだが、そのあらすじをサラッと見てみたら、持ち前のハードSFにミステリの要素も加わっているとのコト。そんなん絶対オモロいやん。
考えてみたら、話題の『三体』なんかも間違いなく本書の影響下にあるんだろうなぁ。つーか『三体』も読まなきゃなぁ。
ちなみにこの『星を継ぐもの』は1980年に邦訳されて日本でも大ヒットしたんですよ。いまだに創元SF文庫の最大級のヒット作。
80年って言ったらバリバリの昭和よ。当時の人はまさに未知のモノに触れる想いで、さぞかし知的好奇心を掻き立てられたコトでしょう。
逆に言えば、彼らは予備知識も無しにこんな難解な物語をスラスラ読み、心から楽しめていたのかしら。