見出し画像

従業員の満足度を向上させるには

前回お話しした通り、従業員満足度の向上は、顧客満足度の向上、ひいては株主満足度の向上へとつながる好循環の起点となり、非常に重要なテーマです。 では、従業員満足度を向上させるためにはどうすれば良いのでしょうか? 残念ながら、これさえすれば良いという単一の答えはありませんが、いくつかの方法論があります。それは次の通りです。

従業員満足度を向上のための方法論

1.現状把握(調査)

従業員満足度の調査を専門会社に依頼し、まず現状を把握します。外部機関に依頼する理由の一つは、従業員が誰が回答したか分からないよう、匿名性を担保するためです。所属組織や管理職/非管理職といった最低限の属性情報を取得して問題点を分析しますが、個人を特定できないレベルにとどめることが重要です。従業員が、会社が回答者を特定しようとしていると感じると、本音を引き出せず、正確な現状把握が困難になります。

従業員満足度調査会社は、通常、匿名性を担保するシステムやルールを持っており、会社側が要求しても開示できない仕組みになっています。調査の頻度は、最初のうちは半年に1回、その後改善傾向が見られたら年1回で十分でしょう。

2.現状把握(分析)

調査が終了すると、調査会社から組織別の総合満足度スコアと、その要素別の満足度スコアが報告されます。要素としては、以下のような分類で整理されます。

  1. 会社全体に関する要素

    • 会社の基盤、理念・戦略、事業内容、仕事内容、組織風土、人的資源、施設環境、制度・待遇

  2. 職場に関する要素(直属上司)

    • 上司の情報提供力、情報収集力、判断力、支援行動

  3. 職場に関する要素(職場状況)

    • 外部ニーズへの対応、チームワーク、変化への対応力、ノウハウ・知識の共有

3.改善策の検討

組織別に分析し、他部署より総合満足度が低い、または前年より大きく低下した場合、要素別の満足度を確認します。会社全体の問題であれば経営陣と、職場レベルの問題であれば組織長と、原因仮説を立て、対応策を協議します。

調査では満足度だけでなく各要素に対する期待度も測定しますので、職場レベルでの対応策を検討する際は、期待度が高く、満足度が低い要素を優先的に対処することが効果的です。

4.アクションプラン策定と継続フォロー

優先課題が決まったら、組織ごとに具体的なアクションプランを策定し、実施状況をモニタリングします。おすすめのモニタリング方法としては、1〜2つの要素に焦点を当て、月次で満足度の変化を測定する「パルスサーベイ」を実施する方法です。これにより、各組織が改善施策を実施する意識が高まり、確実な改善効果が期待できます。

まとめ

従業員満足度を向上させるには、専門の調査会社を活用して組織別の問題点を洗い出し、「パルスサーベイ」による定期的なフォローを行うアプローチが有効です。この方法で3年で満足度スコアを4割改善した事例もあります。

最後に、ハーズバーグの「二要因理論」をご紹介します。ハーズバーグは米国の著名な心理学者で、やる気を構成する要素として「動機付け要因(満足を与える要因)」と「衛生要因(不満を引き起こす要因)」の二つがあるとしています。衛生要因を改善すると不満は減りますが、それだけではやる気を向上させることはできません。

例えば、労働条件や給与を上げる試みは一時的な効果はあるかもしれませんが、長期的にはやる気の向上に寄与しません。むしろ、仕事に達成感や満足感を与え、正当に評価することが、持続的なやる気向上につながります。満足度改善策を考える際には、この理論も参考にすると良いでしょう。

いいなと思ったら応援しよう!