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フィルム。*

不器用に。それは不器用に僕たちは抱きしめ合った。懐かしんで。嬉しかった。大切にしよう。
もう、後悔しない様に。
なんて。思って、目が覚めた。
夢だった。寂しくなると思い出して、夢にまで出てきて心の中にやってくる。ずるい。ずるいよね。
思い出すのはいいことばかり。美化されて僕の前に現れるんだ。あんなに苦しかったのに。たまらなく苦しくなって吐き出せなくなって、
ふたりなのにたまらなくひとりぽっちになって、
さよならを選んだ。そうした方がお互いの為だ。そうした方が、ボクはしあわせになれる。キミだってボクじゃない方がきっといいんだ。あんなに笑顔だったキミをあまり見れなくなったから。あんなに安らぐんだと、あったかくなる気持ちをボクは思い出せずにいたから。ふたりで初めてフィルムで撮ったお気に入りの写真。そのふたりはしあわせに寄り添って。嘘はなかったよ。好きだったよ。
今さら想いだすんだ。
大嫌いだったキミの大丈夫。も
ふたりのあの、おまじないも。
全部、ぜんぶ、無くしてから思いだす。
ありがとう。
でも、追いかけてこない。
追いかけたい。とも違う。
だから、しあわせに。ボクも目いっぱいにしあわせだよ。今は嘘つかせて。
いつか、必ずほんと。にしてみせるから。
あの写真の中の様に。

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