吉田五十八 No.4
線は消すだけでは無い
吉田五十八先生は、線を消す事にこだわってましたが、線を嫌いというわけではなかったはずです。
邪魔な線を消して、生かす線を出すという考えだったのだと思います。
手すり 格子
線を意匠的に表すのに、わかりやすいのが、手すりや格子ではないでしょうか。
手すりなど、ある程度厚みの必要なものでも両サイドに向けて斜めにし、ひし形の形にして見た目細く見せたりしています。
その細い面に、更に溝をつけるなど、とても良い形になっています。
縦樋の位置
縦樋の線というのは、割と建物に嫌われがちな線です。
そんな縦樋を変わった考えで意匠的にした例がありました。
茶室などによく使われているのですが、下地窓などの前に竹の柱を通す、力竹という仕上げ方法があります。
その形を元に、窓の前に縦樋を通した事があったらしいんです。
普通じゃ、窓の前に縦樋通すなんて、考えられないんですが、それをやってしまうのも、吉田五十八先生こそなんでしょうね。
建具のレール
部屋を区切る時に建具はあるもの。
建具の中でも、引戸を使う場合、下には戸車が付いている。
なので、敷居にはvレールの、溝を彫らないとならない。
そこで、そのvレールの溝を分かりにくくするために、床板の少し手前に、ダミーの同じ溝を掘り、その溝は床板の化粧の模様だと思わせるように仕掛けたのです。
これは騙されるかな〜と思いましたが、線を消していた吉田先生の数少ない線を増やした仕上げでしょう。