吉田五十八 No.3
建具のこだわり
吉田五十八先生の線へのこだわりは、建具に関しても細かく追求しています。
建具といえば、建物に対して必ず付けなくてはならないもの。
部屋に一つ以上はあるでしょう。その部屋の顔となる場合もあるものです。
建具の収納(戸袋)
吉田五十八建築の特長の一つとしては、外部に面している建具を、全て壁の中にしまってしまうという作りが、殆どの建物で見られます。
1番外側の柱を構造柱とし、室内側にダミーの化粧だけの柱を設け、その間に全ての建具を入れてしまうのです。
普通戸袋といえば、1枚しまってずらしてもう1枚しまうという形。
しかし、吉田五十八建築は全て横並びに納まる形にしています。
時には、雨戸2枚、網戸2枚、ガラス戸2枚、障子2枚、合計8枚も納めてしまう事もあります。
確かに、建具などの線の無くなった大きな開口から見る庭は、素晴らしくスッキリ大きく見えます。
障子の溝(樋端)
外部に面している、ガラス戸(木製建具)や、障子の溝(樋端 ひばた)の位置ですが、一般的には、建具のカットしてある部分を室内側へ持ってくる物なのです。
そうすると室内側から見ると建具のカットした部分の線が見えてしまうのです。
吉田五十八先生は、その線も気に入らなかったらしく、樋端の位置を反対にしてしまったのです。
ただ反対にしただけでしょって思うかもしれませんが、建築のこういう細かい事を変えるという事は、すごい変化なのです。
細かい決まりをぶち壊して、変えていく吉田五十八先生は、本当に最高です。