ボラキャンすず
二重被災。1000年に一度の大地震と50年に一度の豪雨に同じ年に見舞われるなんてことは、統計上あってはならないだろう。豪雨被害が明らかになってきた9月22日の夜にボラキャンすずからメールが届いた。
私が長期ボランティアに行こうと決意できたのはボラキャンの存在が大きい。ボランティアは自弁である。遠方から赴く場合、交通費とともに宿泊費が大きなネックとなる。大きな被害を受けた奥能登ではホテルは稼働していない。金沢から奥能登までは遠く、ホテルも一泊10000円程度。これでは体験程度で終わらざるを得ない。
ボラキャンすずは、石川県珠洲市の鉢ケ崎オートキャンプ場に非営利団体が2月末に開設した宿泊所。モンベル、アキレス、ソフトバンク等の企業の協力で、多くのテントが常設され、共用テント付近ではWi-Fiが使える。場内は車を横付けできるオートサイトとテントサイトがあり、私はオートサイトで車中泊した。夏前はまだ断水していてトイレは仮設だったが、スーパーや銭湯、コインランドリーまでは車で10分程度で行けたので、ほぼストレスなく生活できた。そして、料金は何と一泊500円。しかもオートサイトはAC電源付きなので、キャンピングカーならエアコンも使い放題だ。実際に一カ月半ほど滞在していた猛者もいたし、5月の大型連休のころは家族連れも多く、夜は懇親会が開かれてかなり盛り上がっていた。
ボラキャンからのメールによると、9月21日の豪雨のときも20名程度の利用者がいたらしい。一部の人は近くの民家等に避難し、残りの人は車中泊で豪雨を凌いだそうだ。そして翌日、キャンプ場自体に大きな被害はなく、午後からは10名程度が独自に泥の掻き出し作業を行ったという。「ありがとう」と「申し訳ない」。両方の思いが交錯する。
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