乗りもののマナー その1
できるだけいい人でいたい。
ちゃんとしている人に見られたいし、ちゃんとした人として見えているはずだ。
たとえ家ではパンツ一丁でも、玄関の外は戦場、武装が必要だ。
出かける時はヒゲは剃らないまでも顔を洗って目やにを落とし服を着る。
そしてエレガントな振る舞いを忘れない。
当たり前だ。
車を所有していないので、大半の移動が公共の交通機関になる。
よく使うのは電車とバスだ。
空いている席があれば迷わず座る。
おじさんはできるだけ座りたい。立っていても膝の軟骨がすり減り疲れるだけで、いいことはないのだ。
乗車中はイヤホンで音楽やポッドキャストを聴きながら、景色に目をやったり、寝たり、たいして眠くなくても目を閉じたりする。
時々どういう育ちをしたらそういう態度がとれるのか不思議な人がいる。
こないだ特急電車で隣に居合わせた見た目60代の男性は、座るなり脚を組んだ。靴の裏がこっちを向いている。
ソールのすり減り方からして、O脚・ガニ股気味なのか、膝への負担が大きいのではないかと予想された。
そんなことはどうでもいい。
人に足裏を向けて何とも思わないのか?
しばらくして脚を組み替えた。
車両の出入り口側だったので、人が行き来して自動ドアが開くたびにつま先がドアに接触し、その都度脚を引っ込める。
組んだ脚を下ろせば済む話。
両足を地面に付けたら死ぬ病気にでもかかっているのか?
脚挟まれ、脚挟まれと念を送るが叶わない。
その後横柄なポーズのまま眠りだした。
そして寝息のボリュームがイヤホンから聴こえるポッドキャストのボリュームを超えてきた。
通路を挟んだ向いには男性の妻らしき人がおり、視線を送りアピールするが、スマホからビタイチ目を離さない。
家と変わらず平常運転とでも思っているのか?
そうこうしているうちに下車して行った。
男性の持っていたiQOSの先っちょにからしでも付けておけば良かった。
からしを持っていたらの話。
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