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本物にふれる

「わぁ!オレンジ色だ」

Japanese cultureの時間、シルクスイートとマロンゴールドという品種のさつまいもをそれぞれ切って見せた時、マロンゴールドの断面を見て子どもがこう呟きました。
普段よく見る、スクールのランチで食べたさつまいもの色との違いに驚いたようです。
さつまいもにも色々な品種があること、自然物の色の美しさを間近で見て知った瞬間でした。


色を予想してから見てみました。


お野菜渡し(一人ずつ野菜に触り、次の子に渡す)様子

モンテッソーリ教育では、幼児期にこそ本物や実物にふれることを大切にしています。
それを意識した環境例を挙げると到底ここには載せきれませんが、1つ、食器を例に挙げてみましょう。

子どもたちはランチの時間、陶器のお皿を使用し、自分たちで食事をよそって食べる日があります。
プラスチックの食器が偽物というわけではありませんが、陶器、つまり割れるお皿を普段の生活で扱うことにより、その質感や重み、性質にふれ、丁寧に扱おうとします。

そういった体験が、赤ちゃんに触れる時、植物の世話をする時などにいかされ、後に人間性にも繋がっていくのです。


また、教室内では、絵本や写真の提示でもその中身がかわいらしいイラストではなく、本物(または写実的な絵)であること、ストーリーがファンタジーではないことを意識しています。
それは、まず子どもたちにリアルを認識させ、その後、現実と空想の世界の区別がきちんとできる年齢になってから、ファンタジーの世界にふれ、その素晴らしさ、凄さ、面白さを感じて欲しいという想いからです。


両手を使い慎重に。   
写真は正確な情報を与えます 
フラワーアレンジは本物のお花を使って


私たちのスクールでは、自国の文化も大切にできるよう、日本ならではの季節の歌や食材、風習やマナー、モラルなどについて学ぶJapanese cultureという時間があります。もちろんその時間にもできるだけ本物や実物を用意し、実際に五感を使って学べるよう心がけています。その1つが秋に旬を迎える野菜、さつまいもでした。

大人にとっては当たり前のことでも、子どもは意外と知らないものです。さつまいもにはいろいろな品種があることを前段階として写真で紹介はしていましたが、実物を見てあまりに驚いたのか、レッスンの後に再度、2色のさつまいもの色を見比べに来た子もいたほどです。(現在食べ比べも検討中。)


それ以前にお月見をテーマに扱った時には、”すすき“の名前が出てこず、「あのふさふさしたやつ」「お米?」と呟く子が・・。実物を渡すと、ふさふさした部分を触るだけでなく、匂いを嗅いで「少しくさい」と苦笑いしていました。

実物でなければススキのふさふさした部分の手触りや、実際の大きさ、ましてや匂いまで正確には伝えられません。きっとこの子はこの時間、匂いとともにすすきという植物、そしてお月見という日本の伝統行事との繋がりを記憶してくれたことでしょう。


翌日のアートの時間では、よく観察。 
すすき、どんな匂いかな?

写真を見たり、話を聞いたりするだけでなく、五感を通して実物に触れている時の子どもの表情はより一層輝いて見えます。

ご家庭でもぜひ季節の訪れを実物や本物を使ってお子さんと一緒に楽しくあじわってみてください。


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