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Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第十二章

注釈  「 」かぎ括弧は会話  ( )丸括弧は心の中の会話又は電話等  [ ]角括弧は生き霊の会話 第十二章 本丸へ登城 [おい、起きろ] (まだ5時じゃないですか。出勤の定時は8時半のはずですよ) [バカやろ。みんなはほぼ仮眠室だ。だから机の拭き掃除でもして先輩が部屋に入ってくるのを迎えろ。それが新人の鉄則だ] (それならそうと昨日に言って欲しかったです)  神山は歯ブラシを咥えながら、お湯を沸かしパンをトースターに入れて朝食の用意を同時に行い、朝の始まりを済ま

    • Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第十一章

      注釈  「 」かぎ括弧は会話  ( )丸括弧は心の中の会話又は電話等  [ ]角括弧は生き霊の会話 第十一章 新たな計画  神山は、非番開けで、署に出勤していた。  挨拶を一通り済ましロッカーで着替えたあと、交通課のドアを開けると係長から声を掛けられた。 そのまま係長の机の前までくると、 「神山に異例の人事異動の辞令が降り、南田副班長の応援に入ることになった」 「それは山神班に入るということですか」 「そうだ。この間の空き巣事件と殺人事件の活躍ともう一つ有効な助言

      • Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第十章

        注釈  「 」かぎ括弧は会話  ( )丸括弧は心の中の会話又は電話等  [ ]角括弧は生き霊の会話 第十章 真実 パート2  神山は、部屋のドアに鍵をかけ、瑠璃に「さあ、行きましょう。」と声を掛けた。  瑠璃も微笑み返しながら頷いた。 [瑠璃、そこまで本気でやることはないんだぞ。]と、山神は歯ぎしりをしながら言葉を絞り出した。 (だいじょうぶですよ。)  階段を降りる際、急な階段である為、手を差し伸べて降りていった。 [神山!手を繋ぐのはやりすぎだろ。]  そ

        • Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第九章

          注釈  「 」かぎ括弧は会話  ( )丸括弧は心の中の会話又は電話等  [ ]角括弧は生き霊の会話 第九章 真実  瑠璃は、山神の声が聞こえないふりをしている神山に、 「何を仰っておられるのですか。」 「私は霊媒師とかではありませんが、ここに山神さんがおられます。言い換えれば、私に憑依しておられます。」と言いながら右手で胸を撫でた。 「揶揄(からか)うのはおやめ下さい。子供ではありませんので。」と激しい口調で話した。 「確かに変に思われますよね。私もこんな経験は初め

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第八章

          注釈  「 」かぎ括弧は会話  ( )丸括弧は心の中の会話又は電話等  [ ]角括弧は生き霊の会話 第八章 刑事の懐へ 藤沢中央署前    アパートで着替えたあと、事情聴取のため署に出勤した。今日まで、非番ではあるが、緊急案件の対処なので出勤してきた。  交通課に入ると、係長が「今日は非番だろう。」と言ったが、今日の一連の事件を話し、このあと事情聴取を受ける予定である旨を話した。 「立て続けにお手柄だったな。空き巣と殺人とは。」 「一応殺人は否認しておりますが。もしかす

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第八章

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第七章

          注釈  「 」かぎ括弧は会話  ( )丸括弧は心の中の会話又は電話等  [ ]角括弧は生き霊の会話 第七章 昼過ぎ「刑事への第一歩」    用意ができると戸締りをして出かけた。その後、山神の言うとおりに歩いたが、途中から[そろそろ走れ]と言われた。   (以前のように、ギリギリで右左はなしにしてください。歩きならいいですが走っていると何かにぶつかる可能性があります。お願いします。)   [分かった。120メートル先を右だ。]   (それは先すぎて反対に分かりません。幽霊にな

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第七章

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第六章

          注釈  「 」かぎ括弧は会話  ( )丸括弧は心の中の会話又は電話等  [ ]角括弧は生き霊の会話 第六章 闇 午前8時(翌日)藤沢中央署   「源〈ミナモト〉さん、おはようございます。」   「おはようございます。神山さん、今日はいつもより溌剌としていますね。」受付の源婦人警官だ。   「そうですか。いつもと変わりませんが。今日も一日張り切っていきましょう。」   [ほんと、今日はおかしいぞ。]   「何を言っているんですか。いつもと変わりませんよ。」   [もしかして、

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第六章

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第五章

          注釈  「 」かぎ括弧は会話  ( )丸括弧は心の中の会話又は電話等  [ ]角括弧は生き霊の会話 第五章 千葉県九十九里南町   車は千葉県九十九里南町に入った。片側二車線の国道をそのまま進むと左手が県道の交差点があり、そこを曲がった。そして県道を直進すると片側一車線になった。一つ目の信号を右折するとお寺が見えた。隣に車十台ぐらい止めることのできる駐車場があり、そこに止めた。  山神の妻のお墓参りだ。正面の本堂の右側を抜け、奥の墓に向かった。墓地の入り口にある水桶に水

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第五章

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第四章

          注釈  「 」かぎ括弧は会話  ( )丸括弧は心の中の会話又は電話等  [ ]角括弧は生き霊の会話 第四章 駒 夜勤明け午前6時(翌日) 藤沢中央署駐車場 「篠塚先輩、お疲れ様でした。今日は職質も8回で少なかったですね。それに大事にもならず平穏な一日でした。」と言い、ニコニコしながらパトカーを降りてトランクからカバンを出した。  署に入り今日の残務整理のため交通課の席に着いた。席に着いた途端、[神山、報告が終われば事故係に行きパソコンを開け。] [ダメですよ。昨日、南

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第四章

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第三章

          注釈  「 」かぎ括弧は会話  ( )丸括弧は心の中の会話又は電話等  [ ]角括弧は生き霊の会話 第三章 偶然の必然 午前6時 神山の自宅から藤沢中央署   いつものように、けたたましい目覚まし時計の音で起きた。歯ブラシに歯磨き粉を付けて口に入れ、顔を上げた瞬間、歯ブラシを吹き出してしまった。 [汚い奴だなあ。顔にかかったじゃないか。]   びっくりしたのは訳があったのだ。鏡に写った顔が山神であった。恐る恐る顔を上げ、鏡を見直したがやっぱり映っていた。  すると鏡

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第三章

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第二章

          注釈  「 」かぎ括弧は会話  ( )丸括弧は心の中の会話又は電話等  [ ]角括弧は生き霊の会話 第二章 翌日午前11時 山神の入院する救急病院へ   錯覚かもしれないが、あのままではおかしくなりそうなので病院に来た。きのうの病室の前でノックしたが返事はなかった。そうっと開けて、下を向いたままゆっくりと入り、勇気を出して顔を上げた。   神山の意に反し、今日はコチラを向いていた。 [小僧、遅かったな。二日目は勤務に合わす必要からもっと早く起きているはずだろう。] 

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)第二章

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)あらすじと第一章

          注釈  「 」かぎ括弧は会話  ( )丸括弧は心の中の会話又は電話等  [ ]角括弧は生き霊の会話 あらすじ 「ええっ、山神さんでは。なぜ鏡の中に、死んじゃったんですか。」  主人公は刑事の夢を追う神山真一と生き霊の刑事山神一真の二人で一人の笑いあり、驚きあり、裏切りあり、そして執念の捜査により解決した物語である。  山神が生き霊になったのは、元旦の日に交通事故に会い寝たきりになったためであるが、その事故の交通整理をしていた神山が入院先の山神を見舞いに行ったのがきっかけで、

          Buddy is a living spirit(相棒は生き霊)あらすじと第一章

          「ロダン早乙女の事件簿 SECOND・CONTACT」怨嗟の鎖    第三十七話(完)

           佐々木刑事から聞いていたビルに近づいたのでスピードを緩め少しして停車した。既にパトカーが何台も取り囲んでいた。三人は車を降りると、佐々木刑事から危ないので少し下がっていて下さいと言われた。  しかし、いてもたってもいられない私は、 「私も一緒に行かせてほしいと。  佐々木刑事の前にいた多々良刑事が、私の両肩を持ち、 「教授、餅は餅屋に任せてくださいよ。私はあなたを認めた。だから、私たちも認めて下さい。」  おろかな私の言動を謝った。私もあなた方を認めておりますと言った

          「ロダン早乙女の事件簿 SECOND・CONTACT」怨嗟の鎖    第三十七話(完)

          「ロダン早乙女の事件簿 SECOND・CONTACT」怨嗟の鎖    第三十六話

          二時間後、到着した。  津野神さんは、私が先に行きますと言い、森二神さんの家のドアをノックした。扉が開き、なぜお前がおるのじゃと言った。サヨおばあちゃんに心三神が今何をしているか知っているかと聞いた。すると、あの子は最後の仕上げだと言っておったと話した。そして居場所を教えてほしいと聞かれても教えるつもりはないと言った。  しかし、それはこのかたの妹さんの命と引き換えにしているのだと怒ってくれた。  津野神さんは、サヨおばあちゃんの手を持ちながら、 「復讐するのにそこまで

          「ロダン早乙女の事件簿 SECOND・CONTACT」怨嗟の鎖    第三十六話

          「ロダン早乙女の事件簿 SECOND・CONTACT」怨嗟の鎖    第三十五話

           父のスマホにメールが来た。そこに早乙女教授はいるかと。居れば電話を取れと。  父の携帯が鳴った。 「私だ。早乙女だ。百合を返せ。」 (早乙女教授、初めまして。)  ボイスチェンジャーを使っているようだ。 「初めましてなのに、なぜ妹を誘拐した。」 (あなたにとっては不幸だったかも知れませんね。) 「それはどういうことだ。」 (言葉通りですよ。) 「何が目的だ。」 (もう分かっているでしょ。) 「あなたは心三神〈コミノカミ〉さんですね。別名、三神順子さん」

          「ロダン早乙女の事件簿 SECOND・CONTACT」怨嗟の鎖    第三十五話

          「ロダン早乙女の事件簿 SECOND・CONTACT」怨嗟の鎖    第三十四話

          第十六章 誤認 令和4年5月16日(月曜日)午前8時20分 早乙女教授室  進展なく3週間が過ぎた。 「おはよう伊藤さん。」 「教授おはようございます。昨日、百合さんがお洋服をもらっていただけないかと来られて、頂きました。ブランド物ばかりでした。」 「そう言えば、去年より五キロ太ってしまって少しきついのよと言っていたな。でも古着なんて失礼だよね。」 「いいえ、きちんとクリーニングに出されていましたし、まだ今年も流行ですから。それに相当お高いものばかりです。私には到底

          「ロダン早乙女の事件簿 SECOND・CONTACT」怨嗟の鎖    第三十四話