PS5かPCか PC構成例を添えて
ご存知の通り、2024年9月2日よりPS5が値上げされた。
現在の価格は、
通常板: 79,980円
デジタル版: 72,980円
PCとの比較がことある事に話題に上がる割に、まともなものを見た試しがなく、私自身PS系のファンで、PCでもPS5でもゲームをするので自分が考える比較をしてみたいと思う。
発売当時の話
発売当時でこそ、55000円という価格でRTX 2070 SUPER 相当のGPU性能を買えたのだから、今までのどのPS世代よりもコストパフォーマンスは優れていたことは疑いようがない。(正確に言えば、2070superの方が~5%上の性能)
発売当時、玄人志向の2070superは、keepaで見ると49444円となっている。
つまり、PS5が積んでいるGPUとほぼ同じ性能の物を買うだけで、もう殆どPS5が買えるだけの価格になってしまっていた。
PCとして成立させるためには、マザーボード、CPU、メモリー、SSD、電源、OS、ケース等も当然、最低限必要になるわけで、やはり最低11/12万円程度は当時でもかかっていただろう。
PS5には、一応コントローラーまで付いてくるのだから、ゲームだけすることを考えたら、どちらがコストパフォーマンスに優れているかは言うまでもなかった。(それでもなお、PS4の発売価格と比べれば高いからか、PCでいいという謎言説は散見されていた)
今、PS5と近い性能を組むならば、どのGPUか
GPUを選ぶ上で最も考慮に入れておくべきはDLSS、FSR等の超解像度技術だろう。
上で書いた2070superがPS5と同じ性能というのは、あくまでもハードウェア固有の処理能力のみを比較した場合であって、現在のPCゲーム環境において、DLSSやFSRなど、ソフトウェア面でのテクスチャイメージとフレームレートの向上を無視はできない。
ゲームにもよるが、DLSSをONにするだけで通常のプレイではほぼわからなない程度の劣化で、フレームレートが1.3~2倍程度になるのだからいかにその影響が大きいかは分かっていただけると思う。
DLSS(GEFORCEシリーズ)と、FSR(RADEONシリーズ)のどちらがいいかと問われば現状はDLSS一択となる。
理由を詳しく知りたい方はこの動画を見て頂ければわかるが、単純にFSRはDLSSに比べて細かいテクスチャ品質が悪く、動くオブジェクトの周りが"ブラー"がかかったように滲むので、全体的にもやっとした画質になってしまい好ましくない。
もともと、このアップスケーリング技術を実装したのもNVIDIAが先であるし、この分野ではAMDは完全に遅れをとっている。
よって、個人的にはGPUはGOFORCE一択の現状である。
そして、現状買える中でPS5を上回っていて、かつ一番近い性能なのはRTX4060になる。(2070super+~5%)
4060はVRAMが8GBのモデルしかないため、この部分では10GB以上ゲームに割り当てられているPS5より劣る部分となり、一部のゲームでは影響が見られる。
しかしながら、調べた限り最新のwukong等でも設定をしっかり調べたうえでVRAM使用量を減らしつつグラフィックを可能な限り維持するような調整をすればVRAMが問題になり、結果としてグラフィックがPS5以下になるようなことは今のところはない。
ただ、今後出てくる特にVRAM消費が激しいゲームについてはこの限りではないだろう。
構成例
ケース : Thermaltake S100 TG 任意のもの(micro ATX) 安くて無難なデザインのものを適当に挙げておく。
マザーボード: B550M Pro4
メモリー: CP2K16G4DFRA32A
CPU: Ryzen 5 5600 BOX
CPUクーラー: 虎徹 MARK3
M.2 SSD: SPATIUM M371 NVMe M.2 1TB
電源: MAG A650BNL
OS: Windows 11 Home
2024/9/7時点での合計価格: 約116000円
ほぼ同じ構成でのBTOの相場: 155000円
現実的に使えることを考えての構成なので、メモリーは最近システムの使用量がどんどん上がっていると感じ、16でもきついので一応32GB。
マザーボードは一番下のチップセットにすれば-5000円できるが、PCIeスロットが3になってしまい、殆どが5%未満の差なものの、一部ゲーム(確認したのはLast of Us part 1)では20%くらいFPSの差があったので、PCIe4が使えるものに。
5600はPS5よりは上。
自作であればPS5と3.6万程の価格差。
BTOは近年自作と比べると割高傾向にあると感じるのであまりおすすめはできない。
選べるケースが多くの場合でかなり限られるのも個人的にはきつい。
自作で組むの自体は解説している動画をしっかり見ればなんら難しいことはない。
価格差の価値がPS5に、或いはPCにあるのか
上記の構成で組めば上でも貼ったPS5と4060等のフレームレートの比較動画での4060と同じようなフレームレートになるはずである。この動画では、PS5の設定とできるだけ近い設定をPCで再現して比較している。
Alan wake 2 を例に取ってみてみると、PS5は51fps前後に対して、4060は55前後である。4060側は当然DLSSONであるが、では何故FPSの差が小さいかといえばPS5にもFSR2が適用されているためだ。
①FSRとDLSS
PS5と4060でFPSの差は小さいものの、FSRとDLSSの技術差は確実に存在する。
下の例において、柵などの細かいオブジェクトが、FSRにおいてはちらついているのが確認できると思う。
比較動画例
静止状態でこれなので、動き続けるオブジェクトについては更に顕著である。
別のゲーム(ラチェクラ)であるがこのシーンなどは特にわかりやすいと思う。
比較動画例
一番右、DLSSでは舞っているのが紙吹雪であるとすぐに視認できるが、一番左FSRでは色のついたミミズのような表現になってしまっている。
こういったものが積み重なると、動いているオブジェクトが多いアクションゲームなどでは全体的にもやっとした画質になってしまう。
最近のゲームであれば大抵地面の草や木の枝は常に風などで揺れる表現がなされていると思うので画面全体がその影響を受けることになり、特に自然の表現が豊かで揺れるオブジェクトが多いゲームではFSRのちらつきが気になる場面が多い。
また、PCであればFSRであっても常にドライバが対応さえすれば最新のFSRのバージョンを適用することができるが、当然殆どの場合でCS機は後回しになるか、あまり大きなスタジオのゲームでなければそもそも最新版は適用されないというのも考えられる。
②VRR
フレームレートを重要と考えるのであれば、考慮せざるを得ないのがVRR(可変リフレッシュレート)である。
体感したことがあればその重要性は今更書くまでもないが、"モニターのリフレッシュレートをGPUが出してくるフレームレートにリアルタイムに同期する"技術である。
簡単にいえば、ゲームが"ぬるぬる"動くようになる。
これはハードウェアの技術なので、動画などではその効果はわからないが、まあ本当に"ぬるぬる"動いて気分がいい。
重めのゲームをしたことがあれば感じる、少し"かくかくする"感覚がVRRでほぼなくなる。
実質的に入力遅延を減らす効果もあるので、FPSが上下しがちなアクションゲーム等であれば操作性の上昇も実感できるレベルで感じられる。
特に上の例のAlan wake 2のような、パフォーマンスモードにしても60fps固定できないようなゲームにおいて有用である。
なお使用には対応したモニターが必要なので、持っていなければ2~5万程のモニターを買う必要はある。
そのVRRであるが、機能自体はあるものの、残念ながらPS5においてはほぼ使い物にならない。
細かい説明は省くが、PS5においてはFPSが48を下回るとVRRが実質的にオフになり、ティアリングやかくつきが出始める。
48fpsを下回らないというのは、ほぼ60fps固定できる余力があるということで、そのようなゲームにおいて、そもそもVRRはそこまで必要なものでもない。
一部ソニーファーストパーティーのゲームで、ゲーム側が"気を使って"48fps未満でも機能するようにしてくれている物もあるのだが、ごく一部であり、本当に必要と感じるFPSのでないゲームでは今のところ実装例は確認していない。
XBOX Series Xではシステム側でここを補っており、48fps以下でも問題なくVRRが動作するので、アクションゲーム等では顕著なプレイフィールの差を感じることと思う。
この点はおそらくシステムアップデートだけで対応できるので、本当にソニーの怠慢。
そもそもVRRの対応自体も発売からだいぶたってからやっと対応したのに対して、XBOXは最初から対応していたはず。
まだ67000円で買えるので、この点に魅力を感じるならば全く悪くない選択肢だと思う。
ただし、ゲームパスは先日の値上げがだいぶ大きいのと、FFは発売されないし、コーエーなどの国産メーカーのゲームも発売されないことが多いし、オンラインの日本人口は推して知るべしなので、個人的にはやはりきつい。
少し逸れたがPCではどうかといえば、GEFORCEでもRADEONでも基本的にどのゲームでも使える。
対応しているモニターもPS5よりも圧倒的に多く、選択肢は広がる。
4060位のGPUを使う場合、これから出てくるAAAゲームは1080pでも60fps 維持がきつい場合がなくはないと思うので、VRRが使えるのは間違いなく大きな利点となる。
③グラフィック設定をいじれる
一般に、CS機のグラフィック設定は2,3段階の「グラフィック優先」「パフォーマンス優先」モードがあるだけでテクスチャ品質や異方位フィルタリングなどの個別の設定を変更することはできない。
予め決められたCS機用のグラフィックの設定プリセットが優れていれば全く問題ないのだが、残念ながら調整が残念なことのほうが多く、同じ性能、例えば2070superでしっかり個別の設定のついて検証しながら設定した場合の方が、DLSSとFSRの差を抜きにしても、多くの場合で良いグラフィックでプレイすることができる。
例外としては、ファーストパーティー製ゲームはやはりこのあたりはしっかりしていて酷い設定にはなっていないし、Unreal Engine製のものも元が軽めでよく見えるものが多い、UBI softもCS機の調整はPS3時代から見てずっと良い。
良い調整をしている開発はまだあるだろうが、やはりどちらかというと悪いものが多い。
PCについては、今は重いゲームが発売されるたびにyoutubeで一つ一つの設定について比較解説したうえでオススメ設定をだすチャンネルがいくつもあるので、それに従えば自分で検証せずとも一番コスパのいい設定を簡単に作れる。
また、いじれないのが一番ネックになってくるのが解像度である。
PCであれば、当然自分の使っているモニターの解像度に合わせてレンダリング解像度を設定する。
例えば1080pのモニターを使っているのであれば、レンダリング像度は当然1080pにするだろうし、その中でFPSが低くなりすぎない程度の設定にして遊ぶだろう。
が、CS機ではこのレンダリング解像度を指定することもできない。
例えばサイバーパンク2077はPS5ではパフォーマンスモードにおいて、動的解像度最大1800p(主に1512p)で動作しているようだ。
もし1080pのモニターでこれをプレイしたならば、1800p-1080p分のピクセル数だけ無駄な処理を行っていることになる。
もちろん細かい事を言えば、表示解像度よりも高い内部解像度で処理した後にダウンスケールした方が、少し良い結果が得られるのだが、それよりもその余分な処理を他のグラフィック設定に回したほうが良い結果になるのは言うまでもない。
実際、PS5でのサイバーパンクは4kモニタでプレイしたとてお世辞にも良いとは言い難いのっぺりとしたグラフィックである。
4kという目標に囚われすぎてレンダリング解像度を上げるよりも、低めのレンダリング解像度でその他の設定を上げるほうが、ほぼ全ての場合においていいグラフィックが得られると思う。
PS5/他CS機でプレイする以上は、"開発者が良いと思った"グラフィック設定でしか遊べないことは留意する必要があり、その設定は決して良いものばかりではない。
④プレイしていく上での金銭的な面
ゲーム体験そのものとはずれるがゲームをする上での費用についても少し書いておく。
・パッケージの有無
ゲームを買う場合、PCであればsteamが主になり、PS5であればDL版はPSNになるが、PS5ではパッケージ版という選択肢もある。
適当な例だが最近発売したガンダムブレーカー4はパッケージ価格が6952円に対してSteam、PSNは8470円である。
それなりの差があるし、一つのゲームをやりきったらすぐ次に行くタイプであれば中古で売るのが面倒でなければある程度では売れるだろう。
Steamではセールがくるまでは定価のままで、新品であっても値崩れしていくパッケージと比べると購入にかかる費用はかさみがち。
ただ、steamはPCを変えてもいつでもDLし直せるのに対して、PS系はPS3がなければPS3のゲームがプレイできないように、過去のライブラリ、パッケージは無意味な物になる場合があるので、昔のゲームをやり直したい欲が強ければsteamの方が向いている。
・PS plusの費用
ご存知の方が多いだろうが、PS5のオンラインプレイは基本的には有料である。
1ヶ月:850円
12ヶ月:6800円 (566円/月)
もちろん毎月フリープレイといって無料でDLできるゲームは貰えるものの、オンラインをやりたいだけの人にとっては無用の長物。
基本的にと言ったのは、APEXや原神など、基本プレイが無料のゲームに関してはPS plusは必要ないため。
時々オンラインをやりたいくらいの人が多いだろう中で、やりたいと思ったら毎回850円要求されるか、年6800円払うか。
オンラインメインであれば年で払えばいいが、ずっとするわけでなければいずれにしても気分はよくないところ。
・本体再販価格
PSハードは再販価格がかなり高い。
私がPS5を買ってPS4proを売るときも、4万円で買ったものが箱等なしで32000円で売れたし、それが相場だった。
PS5には関しては本体が2.5万円も値上がってしまっているので当初価格との比較は無意味ではあるが、今8万円で買ったとしても最低6万円程度では売れると思う。(これからよほどPSが落ちぶれなければ)
PCで同じような価格で売れるかと言われれば当然NO.
電源、SSD、HDD等は組み替える場合流用できるとはいえMB、CPU、GPU、あたりはスペックアップ目的で組み替えるときには流用はし辛い。
結局どちらがいいか
値上げ前の価格67000円とPCの116000円と言われると、ものすごく差があるように感じて、どちらも持っていないならとりあえずPS5で良いと言えると思うが、80000円と116000円と言われると、やはり一気に差が縮まったなという印象。
長々とグラフィック面での事を書いてしまったが、結局のところ、上で挙げたようなFSRとDLSS、VRR、グラフィック設定あたりに差を感じるか、興味があるかが一番だと思う。
そこらへんを活かすには、自分で最適な設定を調べたりなどの時間的なコストもかかるわけなので、そこも含めて楽しめるかというところ。
せっかくPCにするならPS5と同じじゃなく、もっと上と思うならば、今であれば4070か4070superが現実的なところ。
4070superの場合19万くらいで組んで、3,4年は1440pでそれなりのFPSで遊べると思う。
一方で、PS5は④でも触れたように、PS plus以外の面では長期的なコストも抑えられ、経済的なことは間違いない。
なんだかんだ周辺機器が必要になるのもPCのほう。
ゲーム以外でも設定等考える時間的なコストがかかるのもPC。
PCは他にでもできることが・・・というもよく聞く言説で、それも事実なのでそこらへん加味して自分で判断すればいいと思う。
余談
一応、PS4とPS5のアクティブ人数が未だに5:5というのを見て、これから考える人もいるのかなという思いと、単に自分が気になっている部分の整理で書いてみた。
今回のPS5の値上げに関する率直な感想としては、いよいよ日本はPSの発祥国だからという特別扱いを外れて、為替的にはむしろ損をする側に回ったという印象。
今はまだpsplusやゲーム販売価格については一部優遇されたままだが、psplusもこの間国内限定の値上げがあったと記憶しているし、今後もその流れは続くだろう。
今回の値上げで、カジュアル層が一気に購入から遠のくわけで、そうすると日本語ローカライズの優先度は低くなり、パッケージの国内発売はますます少なくなり、インディーには日本語字幕対応すら・・・って多かれ少なかれなりそう。
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